
新宿でローリングストーンズのドキュメンタリー映画を観た。監督はマーティン・スコセッシ。スコセッシといえばやはりミュージシャン、しかもバンドを追った長いドキュメンタリー作品に「LAST WALTZ」があるのをご存知の方も多いと思う。これはTHE BANDのドキュメンタリー。この「ラスト・ワルツ」をかつて観て以来、スコセッシは、私には、好きな監督のひとりである。
しかしThe ROLLING STONES "SHINE A LIGHT"は、ラストワルツのようなものをイメージするとやや違って、ニューヨークでのコンサートを一発録りして、それを中心にして組み立てた映画であって、前後に、最近ますます淀川長治さんにそっくりなスコセッシ監督自身が出てきて作品を解くという構成になっている。まあこのあたりは、観ればすぐにわかることなので、ここで話してしまっても問題はないかと思われる。
ライブの舞台は、ニューヨークのセントラルパークの西側の通りを何本かはいったところにあるBeacon Theatreというコンサートの殿堂だ。かつてジョン・レノンが住んでいたダコタハウスからも1キロぐらいのところにあり、American Museum of National Historyの裏手にあたる。映画でみると、2階の客席には、新宿旧三越の裏入口にあるライオンのようなのの、その巨大なのが座っていたりして、日本で言えば歌舞伎座のような雰囲気とでも言おうか、という雰囲気である。
映画は全体にスコセッシ監督が自分のかつての映画で使った作風をなぞっているようなところがあるのが若干気にならないこともないが、それでも可能な限りの意地を見せ、最後までよりよい作品のためにネゴシエーションし、という態度は維持されている、と言っていいと思う。いい絵を撮るためにはストーンズのメンバーに協力してもらわなければならない、どんな曲をやるのかさえわかれば。待ちに待ったセットリストが届くと同時に、オープニングのステージが光に満ちる。(つづく)