「プルースト石」だけど喘息持ちでゲイの変人天才美文小説家マルセル・プルーストとはまったく関係ない。(余計) フランスの化学者ジョゼフ=ルイ・プルースト(1754-1826)から。
和名は淡紅銀鉱。「レッド・シルバー」と呼ばれる石の一。以下の4つの鉱物で「プルースタイト・グループ」とされる。
プルースタイト 淡紅銀鉱 Proustite Ag3AsS3
ザンソーコナイト 黄粉銀鉱 Xanthoconite Ag3AsS3
パイラルジライト 濃紅銀鉱 Pyrargyrite Ag3SbS3
パイロスティルプナイト 火閃銀鉱 Pyrostilpnite Ag3SbS3
みんな舌噛みそうな名前ですな。化学式もなんか読めない。前2つと後2つは同質異形。硫化鉱物で砒素かアンチモンかの違い。珪素も水もなし。濃いいぜ。
この石の存在は、以前あった鉱物結晶紹介サイト「ホシノカケラ」で知りました。独特の渋めの赤が美しい、大きな単結晶で、「これが銀?」と驚いたものでした。
しかしレアストーンで大きな結晶はあまり出ない。小さいものでも高価。銀だしね。
けれど先日、エヌズミネラルさんのヤフオク版でお手頃価格品が出た。小さいから老眼では無理かなと躊躇したけど、まあポチっ。
Imiter Mine, Imiter District, Tinghir Province, Draa-Tafilalet Region, Morocco.
左右9mm。
通常光だと黒っぽくもあり青っぽくもあり赤っぽくもある、わけわからん色。
電球色ライトで照らすと、赤が浮かび上がる。
不思議な石です。どうしても銀とは思えない。まあ老眼にはちときついですが。
【追記】『岩石と宝石の大図鑑』には、「光に対して敏感で、強い光を浴びると透明な緋色から不透明な灰色へと変化する」とあります。電灯色ライトで赤く見えるのは、強い光ではないからということなのでしょう。
銀鉱物はほかに、アージェンタイト(輝銀鉱)/アーカンサイト(針銀鉱)Ag2S、ステファナイト(脆銀鉱)Ag5SbS4などがある。詳しくはこちら。
しかし改めて考えると、「ホシノカケラ」に出ていた美結晶は、とんでもなく高いものだったのでしょうな。サイトの消滅も残念だけど、あの素晴らしいコレクションはどこへ行ったのか。博物館を作りたいと著者さんは言っていたのだけど……
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