貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

兵庫県大屋の翡翠

2024-07-19 18:14:02 | ややレア

クリスタルワールド御徒町店さんにて。現在は入手不可能なレア鉱物。
「大屋の翡翠」。




1977年(昭和52)3月、兵庫県養父市大屋町加保坂で道路工事の際に蛇紋岩が出土、その中に角閃石類やバーミキュライトに取り囲まれて曹長石を伴う翡翠輝石塊が発見された。地層と一体になっているため翡翠の自然産状を示す日本唯一の事例といわれている。昭和58年3月に「加保坂の硬玉(ヒスイ)原石露頭」として兵庫県指定文化財に指定。詳しくはこちら。ただしけっこう誤表記のある記事です。

クリワさんの説明。
《曹長石と混在する翡翠輝石岩です。発見現場は兵庫県が文化財に指定して保護されています。この標本は昭和52年の林道工事の時に下の谷(日城谷)に捨てられた廃石の中から採取したものです。現在では谷での採集も禁止されています。》
「宝石としての価値はゼロです」とも書かれていた。これは大屋町のサイトにもある言葉。

現地写真はこちら。ウィキコモンズから。

色は白っぽいですけど、あちきはこういう淡いのは好みです。
そして何より長石との混合。結晶面がキラキラと光る。

稀少というだけでなく、いい石だと思います。

     *     *     *

翡翠がどうやってできるかというのは、いまだに謎。
一時は「低温高圧状態で曹長石から生成される」という見解が有力だったが、その際にできるはずの石英があまり見られないことから、曹沸石からではないかという説が有力になっている。らしい。けどその曹沸石がどうやってできたのかはどうもよくわからない。
ところが大屋地域では曹長岩中に大きな結晶が見られるだけでなく、曹長岩中の亀裂に翡翠が脈状に生成している例もあり、「熱水からの生成」ではないかとする説も出ている。こちら。ええ? 熱水からあんな姿のものが出る?

結局のところ、まだ「わからない」のです。産状の地層がはっきりしているこの翡翠でも、何かがわかるわけではない。
ただ、こういう長石のキラキラが入るというのは、糸魚川のものにはあまりないようで、だとしたらちょっと特殊かもしれません。あちきのような素人が持つべきではない石かな。

翡翠は「国石」。しかし謎を秘めた石。
そして翡翠の一番の魅力は、糸魚川あたりへ行けば「(運がよければ)誰でも手に入れることができる」ということかもしれません。えらく民主主義的(?)な石ですね。そういう石が国石になっているというのはいいことではないでしょうか。


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