学校にとって消防士というと防災訓練のときですよね。いつも規律正しく号令に従って行動される姿は、かっこよくたくましく感じます。児童生徒は憧れの目で見ています。
その消防士に理科室に来てもらっています。あの橙色の制服で、数メートルのところで活動する姿を見せてくれます。
中学校理科3年 単元「仕事とエネルギー」小単元「仕事の原理」 動滑車の働きのところです。
その消防士に理科室に来てもらっています。あの橙色の制服で、数メートルのところで活動する姿を見せてくれます。
中学校理科3年 単元「仕事とエネルギー」小単元「仕事の原理」 動滑車の働きのところです。
こんな問題を覚えていますか。
天井に固定されているのが“定滑車”、2本のひもで吊り下げられているのが“動滑車”です。そのひもは一本でつながっています。この動滑車があると小さな力で物を持ち上げることができます。動滑車の重さをゼロとすると、答えは5kg となります。この動滑車では、重りの10kg を半分の5kgの重りで吊り合わせることができるということですね。
つまり、この動滑車を使うと半分の力で重りを持ち上げることができます。(動滑車を左右の2本のひもで釣り下げていますから1/2の力で吊り合う。)
これも、下の2つが動滑車です。これだったら重りの4分の1の力で持ち上げることができます。(動滑車が4本のひもで吊り下げられていて1本につながっているので1/4の力で吊り合う。)
この動滑車と同じ原理の装置を使って、消防士は救助活動を行っています。
この動滑車を使って活動(訓練)している写真です。下は競技大会の様子です。
授業では
教師が動滑車の授業の中で、消防士3人に来てもらいました。転落者を救助するときに引き上げるのに使う器具です。テキパキとした動作で実演して見せます。大人をひもを引っ張り軽々と持ち上げます。目の前のできごとに息遣いも感じられます。
天井に固定されているのが“定滑車”、2本のひもで吊り下げられているのが“動滑車”です。そのひもは一本でつながっています。この動滑車があると小さな力で物を持ち上げることができます。動滑車の重さをゼロとすると、答えは5kg となります。この動滑車では、重りの10kg を半分の5kgの重りで吊り合わせることができるということですね。
つまり、この動滑車を使うと半分の力で重りを持ち上げることができます。(動滑車を左右の2本のひもで釣り下げていますから1/2の力で吊り合う。)
これも、下の2つが動滑車です。これだったら重りの4分の1の力で持ち上げることができます。(動滑車が4本のひもで吊り下げられていて1本につながっているので1/4の力で吊り合う。)
この動滑車と同じ原理の装置を使って、消防士は救助活動を行っています。
この動滑車を使って活動(訓練)している写真です。下は競技大会の様子です。
授業では
教師が動滑車の授業の中で、消防士3人に来てもらいました。転落者を救助するときに引き上げるのに使う器具です。テキパキとした動作で実演して見せます。大人をひもを引っ張り軽々と持ち上げます。目の前のできごとに息遣いも感じられます。
最初は、持ち上げられる側とひもを引き持ち上げる側の両方を消防士がしますが、引き上げる役割を生徒たちにやってもらいます。
〔以外と小さい力で持ち上がるな~。〕
〔以外と小さい力で持ち上がるな~。〕
〔持ち上がる高さより、ひもを引っ張る長さは数倍長いぞ。〕
〔これは人の救助に使えるんだ!〕
〔小さな力で、大きな力を生み出せるかもしれない?〕など、ということに現実感を持って気づきます。
消防士は
消防士は、自分たちがこんな場面で役立つとは驚きでしょう。自身が中学校で習ったことが、今救助活動に役立っている。
このようなことは、他の職業にもいっぱいあるのではないでしょうか。電気工事士・自動車整備士・看護師・税理士など、日本には450ほどの資格があるそうです。
この授業は、理科の先生が、地域人材の活用で“充実した授業”を実現したいという思いで行ったものですが、十分な成果が得られたものと思います。その他にも、消防士を身近に感じて「かっこいいな」「仕事は人と人の呼吸でやるんだ!」「学ぶことは働くことの基礎だ」「消防士になりたい」などにつながって、学ぶ意味や学ぶ目的にも迫っています。
せっかくの機会ですから、運動とエネルギー 仕事の原理 の学習をしてみませんか。
私が学生のころ(1967年が中学3年生)と違うところがあります。それは単位です。
力の単位は、g重(グラムジュウ)、kg重(キログラムジュウ) でした。今は N(ニュートン)です。
仕事の単位は、g重cm(グラムジュウセンチメートル)、kg重m(キログラムジュウメートル)でしたが、今はJ(ジュール)です。
このNやJが中学校で学習する単位です。どうしてこのように変わったかというと、国際単位系を教科書に採用することになったのです。
【 力 】
1kg重は、1kgの質量のものに加わる地球の重力の(力の)大きさです。
1Nは、1kgの質量のものに1m/s2の加速度を生じさせる力の大きさです。
※ 地球の標準重力加速度の大きさは、9.80665m/s2 です。
【 仕事 】
1kg重mは、1kg重の力で物体を1m動かすときの仕事です。
1Jは、1Nの力で物体を1m動かすときの仕事です。
【 換算 】・上記から計算すると・
1kg重≒9.8N
1kg重m≒9.8J
いかがでしたか。もっともっとたくさん地域の皆さんに学校に来てもらって授業が行われています。このように“学び”が大きく広がっていきます。
力と仕事の問題はいかがでしたか。先ほど勉強しましたからスラスラと解けた人もおられたと思います。中学生当時は難しかったですね。でも難しかったことも、年齢や経験を積むと、意外と意欲が高まって理解が進むところがあります。そんな方もおられたんじゃないかと思います。
最後まで読んでいただき、地域と学校の関りについて、ご理解いただきありがとうございました。
〔これは人の救助に使えるんだ!〕
〔小さな力で、大きな力を生み出せるかもしれない?〕など、ということに現実感を持って気づきます。
消防士は
消防士は、自分たちがこんな場面で役立つとは驚きでしょう。自身が中学校で習ったことが、今救助活動に役立っている。
このようなことは、他の職業にもいっぱいあるのではないでしょうか。電気工事士・自動車整備士・看護師・税理士など、日本には450ほどの資格があるそうです。
この授業は、理科の先生が、地域人材の活用で“充実した授業”を実現したいという思いで行ったものですが、十分な成果が得られたものと思います。その他にも、消防士を身近に感じて「かっこいいな」「仕事は人と人の呼吸でやるんだ!」「学ぶことは働くことの基礎だ」「消防士になりたい」などにつながって、学ぶ意味や学ぶ目的にも迫っています。
せっかくの機会ですから、運動とエネルギー 仕事の原理 の学習をしてみませんか。
私が学生のころ(1967年が中学3年生)と違うところがあります。それは単位です。
力の単位は、g重(グラムジュウ)、kg重(キログラムジュウ) でした。今は N(ニュートン)です。
仕事の単位は、g重cm(グラムジュウセンチメートル)、kg重m(キログラムジュウメートル)でしたが、今はJ(ジュール)です。
このNやJが中学校で学習する単位です。どうしてこのように変わったかというと、国際単位系を教科書に採用することになったのです。
【 力 】
1kg重は、1kgの質量のものに加わる地球の重力の(力の)大きさです。
1Nは、1kgの質量のものに1m/s2の加速度を生じさせる力の大きさです。
※ 地球の標準重力加速度の大きさは、9.80665m/s2 です。
【 仕事 】
1kg重mは、1kg重の力で物体を1m動かすときの仕事です。
1Jは、1Nの力で物体を1m動かすときの仕事です。
【 換算 】・上記から計算すると・
1kg重≒9.8N
1N≒0.102kg重
1kg重m≒9.8J
1J≒0.102kg重m
ということになります。こうなった理由はお分かりのように、昔の単位は重力加速度を使った重力単位系でした。(工学系では今でも重力単位系が使われています。)現実問題としては、質量5kgのものを持ち上げたり支えたりする力は5kg重と質量と力が同じ数字になりますから簡単に理解できますね。しかし、地球の重力加速度は場所や高度によって変わってしまいますから気を付けて使う必要があります。
そこで、世界的には1960年に採択された国際単位系が使われるようになったんです。
簡単にいうと、 長さはm(メートル) 質量はkg(キログラム) 時間はs(秒)この3つだけで、色々な量を表そうというものです。
力は、組立単位でkg・m/s2、このことをN(ニュートン)と決められています。
仕事は、組立単位でm2・kg/s2(=N・m)、このことをJ(ジュール)と決められています。
では、中学校理科3年生の問題を解いてみましょう。
(写真クリックで拡大)
(写真クリックで拡大)
ということになります。こうなった理由はお分かりのように、昔の単位は重力加速度を使った重力単位系でした。(工学系では今でも重力単位系が使われています。)現実問題としては、質量5kgのものを持ち上げたり支えたりする力は5kg重と質量と力が同じ数字になりますから簡単に理解できますね。しかし、地球の重力加速度は場所や高度によって変わってしまいますから気を付けて使う必要があります。
そこで、世界的には1960年に採択された国際単位系が使われるようになったんです。
簡単にいうと、 長さはm(メートル) 質量はkg(キログラム) 時間はs(秒)この3つだけで、色々な量を表そうというものです。
力は、組立単位でkg・m/s2、このことをN(ニュートン)と決められています。
仕事は、組立単位でm2・kg/s2(=N・m)、このことをJ(ジュール)と決められています。
では、中学校理科3年生の問題を解いてみましょう。
(写真クリックで拡大)
(写真クリックで拡大)
解説
① 動滑車が2m持ち上がるためにはその上のひもの両方が2mずつ短くなるということですね。ひもは1本でつながっているので、短くなった分の2m+2mの計4mを引かなければいけません。これが答えです。
② 10kgの重りを引き上げる力を考えるとき、問題文に100gの物体に働く重力は1Nというのがあります。重り10kg(10000g)だったら、これに働く重力は
100g・・・・ 1N
(10000÷100=100)重りが100倍
10000g・・・・100N
つまり、100Nが重力となります。これを2本のひもで持ち上げるので、ひも1本当たり
100N÷2=50N
が.引き上げる力になります。それがP点にかかる力ですから答えは50Nとなります。
③ 重りを持ち上げるためにはP点と反対のひもも50Nの力で上に引いています。定滑車は力の方向を変えるだけですから、ひも引く力Fの大きさは50Nで変わりません。
④ 問題①でひもを引く長さは4m、問題③で引く力の大きさは50Nですから、仕事は
仕事=力×長さ
ですから、
50N×4m=200N・m=200J
となり、仕事は200Jです。
⑤ この動滑車を使わない場合は、直接10kgの重りを2m持ち上げるということですから、力は100N、持ち上げる高さは2mです。すると仕事は
100N×2m=200N・m=200J
となります。
問題④のひもを引く仕事200Jと同じですね。道具を使っても使わなくても、仕事は同じということです。
このことを『仕事の原理』と言います。
似たように、力が小さくてすむ装置として、斜面や釘抜きのてこ、油圧ポンプ、ジャッキー、ブレーキなどがあります。力が小さくなった分、力を加える長さはどれも長くなっています。
力が1/2になると長さは2倍になります。1/3だったら3倍、1/4だったら4倍です。
この逆の装置が、自転車のペダルです。ペダルを1回転すると、大きな車輪が2回転して、自転車を4m進めます。ペダルの1回転は1mですから、ペダルを踏む力はタイヤが地面を押す力の4倍になります。
これが 仕事の原理 です。
いかがでしたか。もっともっとたくさん地域の皆さんに学校に来てもらって授業が行われています。このように“学び”が大きく広がっていきます。
力と仕事の問題はいかがでしたか。先ほど勉強しましたからスラスラと解けた人もおられたと思います。中学生当時は難しかったですね。でも難しかったことも、年齢や経験を積むと、意外と意欲が高まって理解が進むところがあります。そんな方もおられたんじゃないかと思います。
最後まで読んでいただき、地域と学校の関りについて、ご理解いただきありがとうございました。