【ロックドゥカンブ】
前走の菊花賞4着は、僅かキャリア4戦だが、初の京都コース、長距離輸送でも全く動じることなく威風堂々とした姿。逞しい精神力を示した。4番枠から少し重心が後ろだった時に発馬が切られ、行き脚がつかず。道中は無理することなく、中団馬群のインに入れ、脚をタメる。長丁場だけにこの形がベスト。人馬一体となって完璧な折り合いを見せる。だが、インで脚をタメることに成功した分、三分三厘の勝負どころで馬群を捌けずにポディションを落としてしまう。直線入り口では13番手だった。そこからインを突いて馬群を縫うように伸びる。最後までその脚色は衰えず、上位2頭に迫るも、僅かに届かなかった。馬体を併せて勝負根性を発揮するタイプだけに、抜け出す時に一頭だけだったのは辛かった。前々走のセントライト記念1着は、好発を決め、道中は馬なりのまま好位のインへ。入れ替わりの激しい流れに戸惑うことなく、道中の折り合いもスムーズ。ペースアップした3角で慌てることなくジッと我慢。インで一瞬はズブさを見せるが、4角では抜群の手応えに。直線でスムーズに馬場の3分どころへ持ち出すと、全身を目一杯伸ばしたダイナミックなフォームで、坂上でも脚色が衰えることはなく、ラスト1ハロンを推定11秒8で駆け抜けた。遅生まれで、現状は3歳春。キャリア3戦でこの強さ。少しズブさはあるが、エンジンが掛かれば四肢を目一杯伸ばしたフォームから長くいい脚を使える。今年の菊花賞出走組のその後を紐解くと、1,2着馬は体調不良でこのレースを回避。4,5着馬は次走で惨敗。その他も同様だ。いかに3000㍍を目一杯走ると反動が出るかを物語っている。思えばディープインパクトが国内で唯一星を落としたのが、菊花賞後に出走したこのレースだった。この中間は疲れを癒すために短期放牧に出し、帰厩後は南Pを中心に乗り込まれ、1週前は長めからビシッとやられてきた。最終追いにも注目だ。鞍上には世界のM・キネーン。ロックの全レースのVTRや中山コースの高低差に関する資料を要求するなど、意欲満々。南半球産の遅生まれ。
【ダイワメジャー】
引退レースで妹ダイワスカーレットと初対決。師走のグランプリを盛り上げる。前走のマイルCS1着は、前2走と違い、好発を決めると手綱をしごいて先頭争いへ。ハナへ立つくらいの気合いだったが、2ハロン目で内のローエンとフサイチが絡んできたために無理することなく控える。3角の上り坂からはガッチリ手綱を抑えて脚をタメる。勝負どころの4角でも、押さえるのに苦労するほどの抜群の行きっぷり。直線を向いても内へモタれるのを矯正しつつ、手綱は握られたまま先頭へ躍り出る。残り250㍍地点で満を持して右ステッキが放たれると、グンと加速。外からスーパーホーネットに差し切るかの勢いで迫られるも、ゴール前で右手前に替え、もうひと踏ん張り。貫禄の走りで押し切った。14番枠で内の速い馬を見ながら無理に行くことなく、好位の外めへ。年を重ねたことで昨年ほどの行きっぷりがない。手綱を押して好位を取りに行った。三分三厘でも下手に動くことなく直線へ。入り口でハミをかけ直し、良い感じでスッーと進出するも、そこで内から突進されて体勢を崩す大きな不利が。そこから懸命に左ステッキが入るも、今ひとつの伸び。ゴール前でAムーンと馬体を接触して完全に戦意を喪失した。力を出し切れなかった。3走前の毎日王冠3着は、残念ながら秋緒戦を飾ることができなかった。道中は緩みない流れを、インから好発を決めて4番手追走。無理に競りかけることなく余裕十分の追走。目標を前のコンゴウリキシオー一本に絞り、3角でジワッと差を詰める。3、4角中間で馬体を併せ、4角では抑え切れない手応えで抜き去る。直線の坂上でハミをかけ直し、仕掛けを開始。坂を上った残り300㍍地点では左ステッキ2発が注入される。だが、伸びるどころか外へ膨らんでしまい、反応が鈍い。そこから右→左→右と何度も手前を替え、必死の粘りを見せるも、最後は差し馬2頭に交わされてしまった。かなりの乱ペースを早めに追いかける形。いくらGI4勝馬とはいえ、休み明けでこの流れでは厳しかったか。昨年のこのレースはディープインパクトの3着。道中はAメインが引っ張る淀みない流れを離れた2番手で折り合いに戦専念。さすがにこの距離のため、積極的な競馬はできず。コーナー6回の競馬でうまく息を入れることに成功し、折り合いもスムーズ。前のAメインを特に意識することなく三分三厘で仕掛ける。直線入り口で楽な手応えのまま先頭へ躍り出ると、今秋3走で見せた粘り強い末脚でゴール前まで応戦。勝ち馬には桁違いの脚を使われたが、2着とは僅差。不向きの競馬でよく頑張った。ベストは桁違いのスピードを生かせるマイル。明らかにこの距離は長いし、前走で攻める競馬をしたために折り合いの心配もある。2,3番手でうまく折り合って脚をタメ、三分三厘でスパートできる形なら。鞍上はM・デムーロ。
【チョウサン】
前走のジャパンC6着は、スタンド前のホームストレッチでフサイチがハナを主張したが、それを内から果敢に突いていった。そこのラップはジャパンC史上最速だったが、そっからは軒並み緩いラップを刻み、1000㍍通過が60秒1。明らかなスローペースで、更に3角にかけて12秒7-12秒8-12秒6と流れが緩む。逃げるのが横山典で、番手が若手の松岡。無理に競りかけることもなく、チョウサンの思惑通りのペース配分だった。直線を向き、スッと右手前の替え、独特の前脚のフォームから馬場を強く叩く走法で粘りを見せたが、最後は力負け。横山典は「馬場が悪くチョウサンには向かなかった」と。前々走の天皇賞8着は、やや重の馬場に脚を取られ、道中から行きっぷりが悪く、直線でジワジワと差を詰めるのが精一杯だった。仕方なし。3走前の毎日王冠1着は、道中は後方で折り合いに専念する形。緩みない流れでスムーズな折り合い。前のブライトトゥモローを見ながら4角で痺れる手応え。坂上で外めへ持ち出し、鞍上の懸命なアクションに応え、粘り強く伸びる。ゴール前100㍍で左手前に替え、もうひと伸び。底力に満ちた末脚だった。展開が向いたことは確かだが、差し馬も厳しい流れを追走している。それでいて自身ラスト1ハロン11秒5としっかり踏ん張っている。決してフロックではない勝ち方だ。特徴的な前脚のフットワークで馬場を強く叩きつける。それ故、馬場の硬さを生かして蹴っぱりを生かすタイプ。理想は野芝の高速馬場。冬開催の最終週の馬場は向かない。高速馬場が残っていれば。脚力はGIでも通用する。
【フサイチパンドラ】
前走のジャパンC9着は、目下絶好調。この日も激しくイレ込むことなく落ち着いていた。12番枠から行き脚がついてハナを主張する。だが、ゴール版付近で内からチョウサンが競りかけてくる。無理に競りかけることなくスッと3番手の外に控える。ムキになることもなく終始、スムーズな追走姿。流れの緩んだ3,4角では抑えるのに苦労するほどの抜群の行きっぷり。直線を向き、坂上では馬任せでスッと加速して先頭へ。オッと思わせる場面を作ったが、坂を上りきった残り300㍍付近で脚色が鈍り、最後は完全に脚が上がってしまった。前々走のエリザベス女王杯2着は、攻め強化によるテンションの高さを懸念したが、落ち着き払った姿。道中は無理することなく馬の行く気に任せ、外めの5番手追走。折り合いを欠くことなく気持ち良さそうな走り。残り4F手前の下り坂で手綱を緩めるとグーッと加速。4角で3番手までポディションを上げる。直線を向き、メンバー最速の上がり33秒9の末脚で迫るも、勝ち馬には着差以上の内容で完敗。だが、自身は中距離の上がりの掛かるを得意とするタイプ。それがメンバー最速の切れを使い、瞬発力勝負の流れに対応してきた。揉まれ弱いのでスッと先行できることが条件となる。前走は1角でゴチャついてリズムを崩したことも影響したか。小回り中山向きとはいえないが、うまく息を入れて先行できれば。
【マツリダゴッホ】
長くいい脚が持続するタイプではなく、頭が高く一瞬の脚で押し切りたい。前走の天皇賞惨敗は大外枠で発馬直後に大きく外に膨れた。中山コースは実績が示すとおり最適な舞台。AJCC、オールカマー快勝時のような4角で一気にマクる競馬が合っている。GIでは力不足は否めない。
【サンツェッペリン】
前走の菊花賞14着は、道中にハミをグッと噛み、力みながらの追走。一周目のスタンド前でモロに掛かってしまった。前々走のオールカマー9着は、緩い流れのなか3番手追走。終始、気分良さそうに走っていたが、三分三厘でペースアップした時にズブさを見せ、手応えに余裕がない。直線も成す術なく沈んでしまった。馬インフルエンザの影響で帰厩が遅れ、攻めの動きも今ひとつだった。先行してバテない持久力が武器で、うまくハミを外してリラックスしたち追走ができれば。中山向きのタイプ。展開の鍵を握る。
【コスモバルク】
前走のジャパンC13着は、発馬直後に他馬の出方を見ながらの競馬。1角でゴチャついて首を左右に振って行きたがった。そこで力んでしまい、その後も懸命になだめられたものの、ロスの多い競馬。結局、2番手から直線はバテてしまった。鞍上もテン乗りで手探りの状態だった。前々走の天皇賞5着は、逃げ馬不在のため果敢にハナへ。以前の掛かり癖は見せることもなく、制御の利いた道中。2番手のデルタのプレッシャーはあったものの、きれいな平均ペースの流れを刻む。だが、直線を向くと大きく外に膨れ、それを立て直して内側へ切れ込む滅茶苦茶な騎乗だった。左回りでは外に膨れる癖があり、乗り難しい。有馬記念は一昨年に4着している。先行して粘り強い脚を発揮するには持って来い。昨年は厳寒期で馬体が絞りきれず、攻めをビシビシやったためにイレ込んでしまった。攻め過程には注意。
【シルクネクサス】
前走の鳴尾記念12着は、天皇賞から間隔が開き、楽をさせたために太めが残っていた。しかも、瞬発力勝負の流れでは力を発揮できなかった。折り合いが付くようになってきたが、ここはいかにも相手が強い。
【ハイアーゲーム】
前走の鳴尾記念1着は、4番枠から緩い流れに乗じて好位をキープ。道中は抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。3角で3,4番手のインへ潜り込み、直線へ。進路がなかなか開かず、抜け出せなかったが、手応えに余裕があるので焦ることはない。残り1F地点で逃げ馬とレインダンスの隙間を突き、グンと一瞬の切れ味で加速。小気味良いフットワークで差し切った。前走のアルゼンチン共和国杯6着は緩みない流れを好位からの追走。少し気負った走りで、抑え切れない感じの道中。持ったまま直線の坂上で追い出しを開始させると、グンと一瞬は抜け出して見せ場を作る。だが、ゴール前で脚色が鈍ってしまった。3歳時に2400㍍の青葉賞1着、ダービー3着の実績はあるが、気負って走る面があるし、完歩の小さいピッチ走法のため、現在では1800㍍がベストなのは確か。一瞬の決め手は鋭いものを持っているので、いかに馬群で我慢できるか。そうすれば2500㍍でも脚は使えるだろう。
【アドマイヤフジ】
前走の鳴尾記念3着は、久々だが、好仕上がりだった。13番枠から行きがつかず後方からの競馬。この距離は忙しく、道中の追走にあまり余裕がない。4角から直線にかけて狙っていた進路はあったものの、口向きが悪く、モタれて走っていたために突っ込めず。仕掛けてからの反応は今ひとつだったが、坂上で狭いところをグンと加速して割ってきた。それでも、モタれて走っていた。大型馬で小回りの北海道シリーズでは力を発揮できなかった。ゆったり走れる2500㍍はピッタリ。6月の宝塚記念4着は、道中、無理せず後方を進む。これはペースを察知した鞍上の好判断。無理せず馬の行くに任せた道中。三分三厘で手応えは良くなかったが、バテた先行馬を捌いて外めへ。直線でジワジワ追い上げ、見せ場を作った。大型馬で機敏さに欠けるため、広いコースで2500㍍くらいが合っている。ベストは目黒記念の競馬。小回りでコーナー6回の中山2500㍍、スッと先行できれば粘れる力はある。後ろから行くなら、宝塚記念のようによっぽど前崩れの展開でないと。抽選待ち。
前走の菊花賞4着は、僅かキャリア4戦だが、初の京都コース、長距離輸送でも全く動じることなく威風堂々とした姿。逞しい精神力を示した。4番枠から少し重心が後ろだった時に発馬が切られ、行き脚がつかず。道中は無理することなく、中団馬群のインに入れ、脚をタメる。長丁場だけにこの形がベスト。人馬一体となって完璧な折り合いを見せる。だが、インで脚をタメることに成功した分、三分三厘の勝負どころで馬群を捌けずにポディションを落としてしまう。直線入り口では13番手だった。そこからインを突いて馬群を縫うように伸びる。最後までその脚色は衰えず、上位2頭に迫るも、僅かに届かなかった。馬体を併せて勝負根性を発揮するタイプだけに、抜け出す時に一頭だけだったのは辛かった。前々走のセントライト記念1着は、好発を決め、道中は馬なりのまま好位のインへ。入れ替わりの激しい流れに戸惑うことなく、道中の折り合いもスムーズ。ペースアップした3角で慌てることなくジッと我慢。インで一瞬はズブさを見せるが、4角では抜群の手応えに。直線でスムーズに馬場の3分どころへ持ち出すと、全身を目一杯伸ばしたダイナミックなフォームで、坂上でも脚色が衰えることはなく、ラスト1ハロンを推定11秒8で駆け抜けた。遅生まれで、現状は3歳春。キャリア3戦でこの強さ。少しズブさはあるが、エンジンが掛かれば四肢を目一杯伸ばしたフォームから長くいい脚を使える。今年の菊花賞出走組のその後を紐解くと、1,2着馬は体調不良でこのレースを回避。4,5着馬は次走で惨敗。その他も同様だ。いかに3000㍍を目一杯走ると反動が出るかを物語っている。思えばディープインパクトが国内で唯一星を落としたのが、菊花賞後に出走したこのレースだった。この中間は疲れを癒すために短期放牧に出し、帰厩後は南Pを中心に乗り込まれ、1週前は長めからビシッとやられてきた。最終追いにも注目だ。鞍上には世界のM・キネーン。ロックの全レースのVTRや中山コースの高低差に関する資料を要求するなど、意欲満々。南半球産の遅生まれ。
【ダイワメジャー】
引退レースで妹ダイワスカーレットと初対決。師走のグランプリを盛り上げる。前走のマイルCS1着は、前2走と違い、好発を決めると手綱をしごいて先頭争いへ。ハナへ立つくらいの気合いだったが、2ハロン目で内のローエンとフサイチが絡んできたために無理することなく控える。3角の上り坂からはガッチリ手綱を抑えて脚をタメる。勝負どころの4角でも、押さえるのに苦労するほどの抜群の行きっぷり。直線を向いても内へモタれるのを矯正しつつ、手綱は握られたまま先頭へ躍り出る。残り250㍍地点で満を持して右ステッキが放たれると、グンと加速。外からスーパーホーネットに差し切るかの勢いで迫られるも、ゴール前で右手前に替え、もうひと踏ん張り。貫禄の走りで押し切った。14番枠で内の速い馬を見ながら無理に行くことなく、好位の外めへ。年を重ねたことで昨年ほどの行きっぷりがない。手綱を押して好位を取りに行った。三分三厘でも下手に動くことなく直線へ。入り口でハミをかけ直し、良い感じでスッーと進出するも、そこで内から突進されて体勢を崩す大きな不利が。そこから懸命に左ステッキが入るも、今ひとつの伸び。ゴール前でAムーンと馬体を接触して完全に戦意を喪失した。力を出し切れなかった。3走前の毎日王冠3着は、残念ながら秋緒戦を飾ることができなかった。道中は緩みない流れを、インから好発を決めて4番手追走。無理に競りかけることなく余裕十分の追走。目標を前のコンゴウリキシオー一本に絞り、3角でジワッと差を詰める。3、4角中間で馬体を併せ、4角では抑え切れない手応えで抜き去る。直線の坂上でハミをかけ直し、仕掛けを開始。坂を上った残り300㍍地点では左ステッキ2発が注入される。だが、伸びるどころか外へ膨らんでしまい、反応が鈍い。そこから右→左→右と何度も手前を替え、必死の粘りを見せるも、最後は差し馬2頭に交わされてしまった。かなりの乱ペースを早めに追いかける形。いくらGI4勝馬とはいえ、休み明けでこの流れでは厳しかったか。昨年のこのレースはディープインパクトの3着。道中はAメインが引っ張る淀みない流れを離れた2番手で折り合いに戦専念。さすがにこの距離のため、積極的な競馬はできず。コーナー6回の競馬でうまく息を入れることに成功し、折り合いもスムーズ。前のAメインを特に意識することなく三分三厘で仕掛ける。直線入り口で楽な手応えのまま先頭へ躍り出ると、今秋3走で見せた粘り強い末脚でゴール前まで応戦。勝ち馬には桁違いの脚を使われたが、2着とは僅差。不向きの競馬でよく頑張った。ベストは桁違いのスピードを生かせるマイル。明らかにこの距離は長いし、前走で攻める競馬をしたために折り合いの心配もある。2,3番手でうまく折り合って脚をタメ、三分三厘でスパートできる形なら。鞍上はM・デムーロ。
【チョウサン】
前走のジャパンC6着は、スタンド前のホームストレッチでフサイチがハナを主張したが、それを内から果敢に突いていった。そこのラップはジャパンC史上最速だったが、そっからは軒並み緩いラップを刻み、1000㍍通過が60秒1。明らかなスローペースで、更に3角にかけて12秒7-12秒8-12秒6と流れが緩む。逃げるのが横山典で、番手が若手の松岡。無理に競りかけることもなく、チョウサンの思惑通りのペース配分だった。直線を向き、スッと右手前の替え、独特の前脚のフォームから馬場を強く叩く走法で粘りを見せたが、最後は力負け。横山典は「馬場が悪くチョウサンには向かなかった」と。前々走の天皇賞8着は、やや重の馬場に脚を取られ、道中から行きっぷりが悪く、直線でジワジワと差を詰めるのが精一杯だった。仕方なし。3走前の毎日王冠1着は、道中は後方で折り合いに専念する形。緩みない流れでスムーズな折り合い。前のブライトトゥモローを見ながら4角で痺れる手応え。坂上で外めへ持ち出し、鞍上の懸命なアクションに応え、粘り強く伸びる。ゴール前100㍍で左手前に替え、もうひと伸び。底力に満ちた末脚だった。展開が向いたことは確かだが、差し馬も厳しい流れを追走している。それでいて自身ラスト1ハロン11秒5としっかり踏ん張っている。決してフロックではない勝ち方だ。特徴的な前脚のフットワークで馬場を強く叩きつける。それ故、馬場の硬さを生かして蹴っぱりを生かすタイプ。理想は野芝の高速馬場。冬開催の最終週の馬場は向かない。高速馬場が残っていれば。脚力はGIでも通用する。
【フサイチパンドラ】
前走のジャパンC9着は、目下絶好調。この日も激しくイレ込むことなく落ち着いていた。12番枠から行き脚がついてハナを主張する。だが、ゴール版付近で内からチョウサンが競りかけてくる。無理に競りかけることなくスッと3番手の外に控える。ムキになることもなく終始、スムーズな追走姿。流れの緩んだ3,4角では抑えるのに苦労するほどの抜群の行きっぷり。直線を向き、坂上では馬任せでスッと加速して先頭へ。オッと思わせる場面を作ったが、坂を上りきった残り300㍍付近で脚色が鈍り、最後は完全に脚が上がってしまった。前々走のエリザベス女王杯2着は、攻め強化によるテンションの高さを懸念したが、落ち着き払った姿。道中は無理することなく馬の行く気に任せ、外めの5番手追走。折り合いを欠くことなく気持ち良さそうな走り。残り4F手前の下り坂で手綱を緩めるとグーッと加速。4角で3番手までポディションを上げる。直線を向き、メンバー最速の上がり33秒9の末脚で迫るも、勝ち馬には着差以上の内容で完敗。だが、自身は中距離の上がりの掛かるを得意とするタイプ。それがメンバー最速の切れを使い、瞬発力勝負の流れに対応してきた。揉まれ弱いのでスッと先行できることが条件となる。前走は1角でゴチャついてリズムを崩したことも影響したか。小回り中山向きとはいえないが、うまく息を入れて先行できれば。
【マツリダゴッホ】
長くいい脚が持続するタイプではなく、頭が高く一瞬の脚で押し切りたい。前走の天皇賞惨敗は大外枠で発馬直後に大きく外に膨れた。中山コースは実績が示すとおり最適な舞台。AJCC、オールカマー快勝時のような4角で一気にマクる競馬が合っている。GIでは力不足は否めない。
【サンツェッペリン】
前走の菊花賞14着は、道中にハミをグッと噛み、力みながらの追走。一周目のスタンド前でモロに掛かってしまった。前々走のオールカマー9着は、緩い流れのなか3番手追走。終始、気分良さそうに走っていたが、三分三厘でペースアップした時にズブさを見せ、手応えに余裕がない。直線も成す術なく沈んでしまった。馬インフルエンザの影響で帰厩が遅れ、攻めの動きも今ひとつだった。先行してバテない持久力が武器で、うまくハミを外してリラックスしたち追走ができれば。中山向きのタイプ。展開の鍵を握る。
【コスモバルク】
前走のジャパンC13着は、発馬直後に他馬の出方を見ながらの競馬。1角でゴチャついて首を左右に振って行きたがった。そこで力んでしまい、その後も懸命になだめられたものの、ロスの多い競馬。結局、2番手から直線はバテてしまった。鞍上もテン乗りで手探りの状態だった。前々走の天皇賞5着は、逃げ馬不在のため果敢にハナへ。以前の掛かり癖は見せることもなく、制御の利いた道中。2番手のデルタのプレッシャーはあったものの、きれいな平均ペースの流れを刻む。だが、直線を向くと大きく外に膨れ、それを立て直して内側へ切れ込む滅茶苦茶な騎乗だった。左回りでは外に膨れる癖があり、乗り難しい。有馬記念は一昨年に4着している。先行して粘り強い脚を発揮するには持って来い。昨年は厳寒期で馬体が絞りきれず、攻めをビシビシやったためにイレ込んでしまった。攻め過程には注意。
【シルクネクサス】
前走の鳴尾記念12着は、天皇賞から間隔が開き、楽をさせたために太めが残っていた。しかも、瞬発力勝負の流れでは力を発揮できなかった。折り合いが付くようになってきたが、ここはいかにも相手が強い。
【ハイアーゲーム】
前走の鳴尾記念1着は、4番枠から緩い流れに乗じて好位をキープ。道中は抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。3角で3,4番手のインへ潜り込み、直線へ。進路がなかなか開かず、抜け出せなかったが、手応えに余裕があるので焦ることはない。残り1F地点で逃げ馬とレインダンスの隙間を突き、グンと一瞬の切れ味で加速。小気味良いフットワークで差し切った。前走のアルゼンチン共和国杯6着は緩みない流れを好位からの追走。少し気負った走りで、抑え切れない感じの道中。持ったまま直線の坂上で追い出しを開始させると、グンと一瞬は抜け出して見せ場を作る。だが、ゴール前で脚色が鈍ってしまった。3歳時に2400㍍の青葉賞1着、ダービー3着の実績はあるが、気負って走る面があるし、完歩の小さいピッチ走法のため、現在では1800㍍がベストなのは確か。一瞬の決め手は鋭いものを持っているので、いかに馬群で我慢できるか。そうすれば2500㍍でも脚は使えるだろう。
【アドマイヤフジ】
前走の鳴尾記念3着は、久々だが、好仕上がりだった。13番枠から行きがつかず後方からの競馬。この距離は忙しく、道中の追走にあまり余裕がない。4角から直線にかけて狙っていた進路はあったものの、口向きが悪く、モタれて走っていたために突っ込めず。仕掛けてからの反応は今ひとつだったが、坂上で狭いところをグンと加速して割ってきた。それでも、モタれて走っていた。大型馬で小回りの北海道シリーズでは力を発揮できなかった。ゆったり走れる2500㍍はピッタリ。6月の宝塚記念4着は、道中、無理せず後方を進む。これはペースを察知した鞍上の好判断。無理せず馬の行くに任せた道中。三分三厘で手応えは良くなかったが、バテた先行馬を捌いて外めへ。直線でジワジワ追い上げ、見せ場を作った。大型馬で機敏さに欠けるため、広いコースで2500㍍くらいが合っている。ベストは目黒記念の競馬。小回りでコーナー6回の中山2500㍍、スッと先行できれば粘れる力はある。後ろから行くなら、宝塚記念のようによっぽど前崩れの展開でないと。抽選待ち。