新聞記者 （２０１９年日本映画）

久しぶりに映画館に足を運んで映画を観ましたが、本当に面白かった。日本では近年社会派の映画

がほとんど製作されずに話題にも上りにくい。テレビでも政治関係の話題がタブーなのか、報道で

さえ自粛傾向が見られる。ただ本作品はサスペンス映画として、よく出来ており、新聞社内のカメ

ラがハンディーカメラで撮って臨場感を演出したり、国会や国会内部の非日常感と普通に暮らす人

々の生活環境の対比がよく描かれて、日常に潜む不安が胸に迫る。


主演の松坂桃李の演技は圧倒的で、エリート公務員の苦悩、葛藤が見事に演じきっていて、ラスト

のアップが素晴らしい。対する田中哲司もとてもよく、映画全体が緊張感をもって2時間の長さが

全く気にならない。残念なのはダブル主演のシム・ウンギョンで恐らく日本人女優に断られまくっ

ての出演あと思われるが、肝心の記者の日本語が拙く、ここでストーリーが止まってしまう。英語

のセリフのシーンは全然違和感がないので勿体ない。



土曜の朝早い上映で観客はまばら、私を含めて年配の人が多かった。でも政治に興味がないような

人も是非見て欲しい。過剰なアクションやアニメ（私は両方とも好きですが）に頼らない、人間ド

ラマも本当に面白い。邦画もこれだけ出来る、ということが分かった。そんな映画です。