宇宙飛行士選抜試験 大鐘良一、小原健右

宇宙飛行士は特別な存在だ。子供の頃に誰もが憧れ、夢の職業として体力、知力に優れた一握りの

人が目指し本気で考えた人の中の、ほんの数人が到達する。人類が宇宙空間から地球を眺め、人類

が月に到着した時に興奮し、日本人の何人かが宇宙飛行士に選ばれ、身近に感じた人も一定数以上

いるだろう。しかし、宇宙飛行士になるには、どのような試験があるのか全く分からない。想像も

つかない。本書は宇宙飛行士になるための選抜試験をドキュメントしたものだ。


登場するのは私たちから見て本当に優れたエリートばかりで、なるほど宇宙飛行士を目指すのは、

こういう人たちかと納得がいく。しかし彼らは例えばパイロットや医者というキャリアを捨てJAXA

（ジャクサ）の職員になる。給料は約３０万円～約３６万円だから今までの生活とは完全に変わる

し、勿論アメリカに住むことになる。


実際読んでみると驚くべき試験の連続で、これに耐えうる人物を選抜するのだと改めて感心してし

まった。特に閉鎖環境での生活はちょっと想像を絶する。自分には絶対に無理と思い知らされる内

容で、しかもチームワークが本当に大事なのだと実感した。


やはり本は読むべきだ。普段の生活で知ることが出来ない状況を教えてくれる。好奇心の目がまた

一つ芽生え、さらなる知的好奇心が広がっていく、知れば知るほど、さらに知りたくなる。その事

がとても楽しい。


宇宙飛行士選抜試験　　　　　大鐘良一、小原健右　　　　　　光文社新書