よしーの世界

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環境先進国 江戸   鬼頭宏

2020-11-04 06:45:38 | 
当時の海外の都市に比べて、江戸が環境に対して優しい都市だったことはよく知られている。当時の

ロンドンもパリも汚れた都市で、それは日本を訪れたヨーロッパの人々がその清潔さを驚きを込めて

記述していることでも分かる。本書では江戸を高度な有機経済社会であったとして、それを裏付ける

史料と共に紹介している。確かに幕府の厳しい取り締まりもあり、循環型システムは効率的で理にか

なったものと思える。


江戸時代の災害の多さにも言及している章があるが、台風、高潮、洪水、旱魃の季節異常に、地震、

津波、噴火と枚挙に暇がなく、それらを原因に飢饉が襲うという事態で、度重なる災害に遭いながら

、生き抜く人々の力強さが見て取れる。


勿論、江戸と現代の日本を単純に比較することは出来ない。体格を見ても当時の平均身長は男性で約

157cm、女性で約148cmという。食糧事情もあり、平均寿命も今より圧倒的に短い。


それでも大量消費、ストレスをため込む現代に江戸の環境に対する精神を学ぶことはあっていい。今

資本主義自体が袋小路に入った状態だ。改めて考え方を見直す時期にある。


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