よしーの世界

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円朝芝居噺 夫婦幽霊   辻原登

2020-11-24 06:42:51 | 
先日神田神保町の中華ダイニングで食事をして、ふと目の前の古本屋さん店頭で本書を目にしました。

300円という安価で即購入!これが本当に面白い。三遊亭円朝は江戸時代末期に生まれた天才噺家で

現代落語家の祖とも言われ、今でも演じられている噺を数々創作し(「怪談牡丹灯籠」「双蝶々」「真

景累ヶ淵」「文七元結」等々)、噺家を芸人から芸術家まで格上げした名人です。円朝を書いている本

もいくつか出ているので興味のある人は是非。


話は作者の円朝像から、どうやら円朝の口演されていない幻の速記本を発見するところから始まる。速

記を私は詳しく知らなかったが、すでに廃れていて、さらにいくつかの式があり解読するのに苦労を重

ね、謎もいくつか浮かんでくる。後半に作者の想像も含めた推理が登場するが、ここも相当ワクワク出

来ます。


そして円朝芝居噺「夫婦幽霊」ですが、速記で残っていたものが、円朝口演として実に素晴らしい。そ

の語り口調が目の前で演じているようにリアルで、ぞくぞくしてしまう。色と欲は噺の二大テーマだが

登場人物もどこかに居そうでキャラも立っていて、噺の中に円朝自身や歌舞伎俳優の中村仲蔵も実際に

登場し、情景描写も見事で、実際に円朝が取材をしていたようで目に浮かぶようだ。


今や空前の落語ブームで寄席もかなり客が押し寄せるような騒ぎ(コロナで厳しい局面も)、何しろ落

語家が800人もいるという驚くべきもので、本格派から、軽いノリの落語家、テレビの人気者とあら

ゆる落語家を見ることが出来る。家に居る時間も増えているので、テレビでも「落語研究会」「日本の

話芸」「お茶の間寄席」等放送していますので、一度観て楽しんでください。


円朝芝居噺  夫婦幽霊     辻原登       講談社
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