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よしーの世界

好きな神社仏閣巡り、音楽、本、アートイベント情報を中心にアップします。

賤民とは何か   喜田貞吉

2021-11-03 07:45:44 | 
欧米の絵画ではあまり見かけないが、日本の昔からの絵には庶民が大挙して出てくるものが多い気がす

る。しかも絵の中の人物たちは笑っている、踊っているものが多い。絵画に対する価値観の違いもある

と思うが、描いて高い報酬を得るためにヨーロッパの絵画は宗教画、国王、貴族など権力を有する者を

描いたものが中心で、例えば自画像や名もない人物を描いたゴッホは、生存中に多額の報酬を手にして

いない。そして有名なゴッホの「ジャガイモを食べる人々」を観ると暗く沈んだ当時の庶民の暮らしぶ

りをうかがい知ることが出来る。


、、と教科書にも登場する人々は何故差別を受けていたのか、著者は研究により、それぞ

れに解説を加えているが、日本では農業に牛馬を使役することが多かったため、老いた牛馬を最後始末

する職業が元々あり、その仕事自体が仏教の影響で忌み嫌われ、神社にも参拝出来ない立場に追い込ま

れたとある。


しかし虐げられた人々は祭り等の警護の役目も請け負うようになり、その一部の人たちは成り上がり、

力を持ち地方豪族から武士として実力を蓄えていく事になる。昔からと呼ばれた河川敷を住処と

していた人々は芸能にも通じ歌舞伎を起こすが、歌舞音曲によって貴人たちとも付き合いが出来るが、

貴人たちの為に裏で動くことも多かったようだ。これは様々な史実から想起できるが特殊技能は権力を

持つ人間には重宝されたと思い当たる。


日本にある差別は表面化されないために奥が深い。しかし差別用語だと言って簡単に隠蔽してはならな

い。当然あるものとしてキチンと認識することが重要だと思う。朝廷、貴人、武士、豪族、そして

達の複雑な絡み合いは歴史を辿ると色々な事が見えてきて本当に面白い。


  とは何か   喜田貞吉          河出書房新社
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