よしーの世界

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おっさんの掟   谷口真由美

2023-01-07 08:01:32 | 
ここに日本社会の縮図を見た。著者が日本ラグビー協会で体験したことを実名で証言しているが、改

革とは縁遠い協会の幹部とのやりとりが赤裸々に描かれていた。日本の「~協会」は度々問題が指摘

されるが、一部の人間が権力を握り、スポンサーや参加する大企業の意向を忖度し、常に現状維持で

内実が世間にさらされることは殆どない。


谷口氏のラグビー愛は本書で知ったが、外部から見た協会体質は中に入ればおかしいことだらけ。理

事会で発言するのは女性理事ばかりで、それが日本ラグビー協会の名誉会長だった森喜朗・東京オリ

ンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長(当時)が「女性がたくさん入っている理事会は

時間がかかる。ラグビー協会はいままでの倍、時間がかかる。女性の優れているところですが、競争

意識が強い。誰かひとりが手を挙げると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね」という発

言に繋がる。この発言で森氏は辞任に追い込まれるが、その後も隠然たる力を持って影響を与えてい

るようだった。


日本では長く続いている団体、大企業にこの傾向がみられる。私も変えた方がいいのではと思うこと

は提言もするが、現状を変えることに消極的な人が多い。特にある程度の地位に居る人はあまり目立

った動きをしたくないようだ。


本書のように自らが体験したことをキチンとした形で発表することは、現実を認識するために必要だ。

ラグビー協会は「協会内で知りえた情報を口外すれば法的措置を含む断固たる措置を採る」と著者に

脅しをかけたようだが、これこそ日本社会の体質。マスコミも協会におもねる様な記事ばかり取り上

げることなく、改善を促すために内情暴露も時には必要だ。


   おっさんの掟   谷口真由美           小学館新書


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