ニクソン時代から長年、共和党の大統領選に関わり、トランプの政治顧問も務めたロジャー・スト
ーン。選挙に勝つためにはどんな手も使う“闇のプリンス”と呼ばれるストーンをベルギーのドキュ
メンタリー監督クリストファ・グルドブランセンが密着取材した。
冒頭見たこともない太い葉巻に火をつけるストーンのアップから始まり度肝を抜かれる。彼は7歳
の時に党の州大会を仕切っていた頃から葉巻を吸っていたという。「西洋文明を守るのは大変だよ」
と嘯き、ビル・クリントン、そしてヒラリーに対しての根拠のないデマを流し、あらゆる手段を使
い大衆を扇動した。
そして2020年大統領選でのトランプ敗北が濃厚になると、ストーンは各地の集会で「民主党が選
挙で不正をした」と根拠のない発言を始め、右派団体に「街頭で抗議しろ」と命じ、混乱に陥れ
る。バイデンの勝利が確定しても、ストーンは「選挙は終わってない、諦めるな」と群衆を煽り、
トランプが「2021年1月6日に首都に集まれ」と呼びかけた結果、トランプ支持の群集は議
事堂に乱入した。
すでにアメリカの共和党はトランプの影響下にあり、現在の選挙でもトランプが優位に居る。し
かし自分たちだけが正当で、支持しない人々を貶めようとする人物が大統領でいいのだろうか?
支配力を失いつつあると言われながら、未だにアメリカは強大な力を有している。0.1%とも言わ
れるアメリカの超大金持ちたちの欲望は際限がなく、有り余る資金をトランプやストーンに注ぎ
込む。トランプが再び権力を握れば、アメリカは完全に二分されてしまう。(BS世界のドキュ
メンタリー 2023年 デンマーク)