「限界分譲地」とは投機型分譲地、原野商法、別荘地、リゾートマンション等、高度成長期から
バブル期に流行した、杜撰な土地ビジネスがもたらした負の遺産である。著者はそこに住む当事
者で独自に取材をした過程を本書に記している。限界分譲地に登場する人々は実際にそこに住ん
でいない人も多い、ネットなどの情報もほとんどなく投資対象とした人、その土地に縁もないま
ま相続してしまった人は売るに売れず、税金や維持費を捻出し続けなけなければいけない。
以前、田舎に居住することも考えて、茨城県の土地を見に行ったことがある。そこには家が建ち
並んではいたが、近所にスーパーもなく、通りには人影なく、住んでいないと思える家屋が多数
あり、うら寂しい印象だった。本書に出てくる限界分譲地は、僅かしか家屋が建てられておらず、
今なお多数の区画が更地のまま残されている状態と、さらに上を行く。
そのまま寂れてしまうのかと思いきや、コロナ禍以降、新築分譲が急増しているという。しかし、
バス便もろくにない分譲地で、高齢になり車の運転もままならなくなったとしたら、移動手段は
どうするのだろう?日本では都市計画は愚か、宅地開発に関して、行政主導での将来を見据えた
キチンとした計画を殆ど見ない。タワマンはじめ業者まかせの開発は危険だ。
限界分譲地 吉川祐介 朝日新書
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