━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
┃┃ 思考を促す社会科授業(3)
ー思考を促す発問の条件②ー
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
「思考を促す発問」第二の条件は、「考えることはできるが、簡
単に答えは出ない」というような「揺さぶり」をかけることです。
「揺さぶり」には様々な方法がありますが、今回は以下の二点を紹
介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(1)二者択一で考えるもの
(2)自分たちの生活に立ち返って考えられるもの
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
深い社会的事象を追究する問いに、当てずっぽうで正解できる子
は多くありません。しかし、二者択一で提示すれば、どの子も予想
をする事ができます。このように解決の手がかりを提示し、その理
由を考える事で全員の思考を促すことができると考えます。
具体的な授業場面(6年生歴史単元:室町時代『金閣と銀閣』)
で説明をします。金閣と銀閣の両方を扱った後、このように発問し
ました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
みなさんは、金閣と銀閣どちらに住みたいですか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やんちゃ君を筆頭に、最初は金閣派が優勢です。ピカピカの金箔
に囲まれた贅沢な生活をイメージするようです。しかし、話し合い
を深めていくと、その優劣が拮抗してきます。金閣は落ち着かない
という意見も多く出てくるのです。
そこですかさず、補助発問を出します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「そこに(自分が)一生住む」と仮定して考えてごらんなさい
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
自分たちの生活に立ち返り、揺さぶります。すると話し合いの中
で子ども達は、「銀閣のほうが良い」と言うようになりました。銀
閣は障子、ふすまなど、現代日本の住宅様式の原点でもあります。
その価値に触れる事で、銀閣が作られた室町時代から現代に繋がる
文化の重要性について認識できました。結果、本時の大本命である
「書院造」「日本文化の良さ」に迫っていくことが可能となったの
です。
「銀閣の建築様式は現代の私たちの生活様式につながっているの
ですよ」と、ただ解説するのは簡単です。しかしそれだけでは定着
がおぼつきません。揺さぶりにより児童の思考を促しながら「書院
造」についておさえていくことで、理解及び学力定着面で確かな効
果を得た場面となりました。