鉄マニズム
ホイドーズ鉄マンの日々
 



悲劇、将軍の行方

第十一話 [様は勇壮]

二人は町をでて、稲田村を通り、岩木岳の入り口まで来た。

くる途中、稲田村の人たちも[お等が村の仁太が凄いことになっている]と皆、沿道から声を上げて応援した!

次郎丸から貰った足軽用の甲冑を身にまとった仁太は
ばぁさまを見つけた。

[ばぁ~さま~!いってくるじゃ~!]

ばぁさまは手を合わせて、嬉しいやら、悲しいやらで涙が止まらなかった。

仁太はこれでもかと胸をはり、村人達にいった!

[えい、えい、お~!]

村人達も仁太に応えるのだった!
[えい、えい、お~!仁太頑張れよ~!]


話を戻そう、
二人は岩木岳の麓で馬を放した。

とうてい馬が行ける場所ではないのだ。
目の前は岩だらけ、ず~と遠くの方は木々が茂っている。


次郎丸は言った。
[仁太、さてどうする]

仁太、
[まずは潜ります!]

次郎丸、(次からは次)
[なに?潜るだと?]

仁太 (次からは仁)
[はい、ばぁさまが言うには、この岩山をのぼっていくと大きな湖があります、その中に潜って湖の底にある井戸を見つけろと!そしてみつけたらその中に入れと、、]

次、
[そうか、なかなか普通に山を登る訳ではなさそうだ。よしまずは湖へ行こう]

二人が岩山を登っていくと、おおきな湖があった。

まずは仁太が活きよい良く飛びこんだ!

すぐ後に次郎丸がつづいた!

湖の中はさほど深くはなく、甲冑をまとった二人はすぐに水底についた!

しかし、水のなかは藻だらけで視界も悪い。

目当ての井戸など探せそうにない、甲冑を脱いでいちど岸に上がり作戦をたてねば、と思ったその矢先。

次郎丸の持つ[鬼神槍]が動いた!

グンと次郎丸の体ごとある方向に引っ張っていった。

仁太もその後をはなされまいと必死に追った。

すると目の前に[井戸]が現れた。


勢いよくその井戸を目指す槍!

次郎丸は吸い込まれそうになるのを、槍を井戸の口に突き刺して、それをしのいでいた!


その後に来た仁太がこれでよし!と合図をし、その井戸に吸い込まれていった!

次郎丸もその後につづくしかない!

次郎丸は突き刺していた槍を抜いて、そのまま井戸に吸い込まれていった。

つづく

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悲劇、将軍の行方

第十話 [鬼の住みか]

[仁太、わかったか!!]次郎丸は聞いた。

[はい、次郎丸様、しかと聞いて参りました]

[わたくしのばば様が言うには、兎に角遠いと、大人の足で十日はかかると、]

そうか、それならば早々にたたねばな!
次郎丸は側近の三人をよんだ。

蔵三、鷹滋、冬力である。
そして仁太。

[みんな、聞いてくれ。]

次郎丸はいった。

[これより鬼退治に向かう!]

三人は待ってましたとばかり強く頷いた。
次郎丸は言った!
[しかし、行くのは俺と仁太、二人である!!]

三人は声がでないほど驚いた。

もっと驚いたのは、もちろん仁太である!

冬力が
[次郎丸様、一体なぜ?]

蔵三が
[おい!冬力!将軍をつけぬか!]

次郎丸は[よいではないか、次郎丸でよい]

そして静かに胸の内を話はじめた、


[みんな、聞いてくれ、俺は兄を殺めた鬼が憎い、しかし、まだはっきりと鬼が兄を殺したという訳ではない、

今はまだ、かもしれぬ。なのだ

だがもはやこの噂は城内はもとより、町中がしっておるだろう、

なにもせぬ訳では収まらぬ、

しかし、俺はこの国を預かる身、

これが兄を殺したのが隣国の仕業であれば兵を率いて討伐にでもいけよう。

しかし相手は鬼!
まず、本当にいるかどうかもわからぬ。
そこでだ、俺はまず仁太と二人で鬼を見つけ、真相を探らねばならぬ、

かといって、将軍である俺が兵を率いて鬼退治とあらば、

その隙に、、と、この国を我が物にしようとする輩もいるであろう!

そこでだ、]


次郎丸は少し間を空けて、

[俺は蔵三として行く!
その間、蔵三!おまえが俺の影武者としてこの国を守っていてはくれぬか!

そして鷹滋、冬力
このことはここに居る四人だけの秘密だ。]

蔵三が言った
[ならば、本当に私がいって、真相を探って参りまする!
なにも次郎丸様が行かれることも、、]

次郎丸は
[兄は俺の兄である、この国の長ではあるが
俺の大好きだった兄上なのだ、

みんな、俺に行かせてはくれぬか?]

次郎丸は皆に頭を下げた。

みんなは将軍の頭を下げる姿をみて、


首を縦に振るしかなかった。


気の毒なのは仁太である。

将軍と一緒といえど相手は鬼、何千という兵を率いての鬼退治だと思っていたのだから、、

仁太は部屋の隅をみながら呆けていた。
次郎丸が言った
[仁太そういう訳だ、宜しく頼むぞ!]

蔵三、冬力、そしていつぞや仁太を放り投げた鷹滋が

手を付いて[仁太殿、次郎丸様をお頼み申します]と

仁太は我に帰って、すっくと立ち

[わかったでござんす!男仁太!命を懸けて将軍様をお守りいたしまする!]

後がつづかなかった仁太は
ひとりで
[えい、えい、お~!]と言った。

その光景につい男達は笑った

久々に笑った。


翌朝、次郎丸は蔵三に似せた口髭を付け兜を深く被り、馬に乗り、案内人の仁太と共に町を出た。

それを口髭を剃り落とした蔵三が将軍として見送った。

町にはそれを見ようと人が沢山出ていた、

仁太は昨日教えてもらった事を連呼した[下にぃ~、下にぃ~、蔵三殿鬼退治の出陣でござる~、下にぃ~、下にぃ~]


町の出口にいた文衛は蔵三を装う次郎丸を見て思った。

[はて、蔵三様の持っているあの布にくるまれた大きな棒らしきものはなんだろう?]

鬼神槍である。

つづく

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