悲劇、将軍の行方
第十二話 [発見]
次郎丸はもの凄い寒さの中で目覚めた、
辺りはなんと一面雪、季節は夏である。
しかも辺りといっても上も下も全て雪に覆われている、ただ真っ白なのだ、
とてつもなく大きなかまくらの中にいるようでもある。
よく見ると人一人やっと出てこれるぐらいの水穴が足下にあった。
次
[ここから出たのか?]
しかし、仁太の姿がない、もしや、水の中から出てこれずそのまま、、
そう思い水穴の中をのぞいてみた、
すると後ろから
[じろ~まるさま~!]と声がする、
[仁太?]
振り向いても仁太はいない、はて?
次郎丸はもう一度、辺りをよく見てみた。
すると近くの雪面がもこもこと動いている、
その中から仁太は出てきた。
次
[仁太!大丈夫か?]
仁
[はい、何とか、、]
次
[ここはなんじゃ?]
仁
[ばば様が言うには、ここが(雪枕)ってぇところでしょう。なんでも、決して雪が消えることのない、不思議な所だっていってました。]
仁
[次郎丸様、いまんとこばば様の言うとうり来ております]
仁
[水底の井戸、雪まくら、]
次
[で、この後はどうなる?]
仁
[はい、この後は、、]
と、仁太が言いかけた時、[ドーン!!]と大きな音がした!
何かと、そちらに目をやると、雪の壁をもの凄い勢いで破り何かが突進してくる!
仁
[次、次郎丸様!猪熊です!猪熊です!]
次
[なに?いのくま?なんだそれは?]
それは熊のように大きなイノシシであった!
その猪が雪の壁を破り、どんどんかまくらの中に入っては、また違う壁を破り出ていった。
しかし、もの凄い数である、
次
[仁太、なるほど、流石、鬼への道、奇想天外、摩訶不思議じゃ!]
仁
[オイらも話だけ聞いて来たもんですから、ほんとたまげることばかりです!]
仁
[ほんで次は、]
次
[仁太、わかったぞ!こいつらに付いていくのだな!]
仁
[さすが、次郎丸様!]
次
[よし!ならば付いていくぐらいならば乗ってしまえ!
いくぞ!仁太!]
次郎丸と仁太はお互いの体を縄で結んだ。そしてその縄を鬼神槍にも結び、猪熊の群に投げ込んだ!
鬼神槍は一匹の猪熊の背中に刺さり二人は一気にその流れに飲み込まれた。
そのまま(雪まくら)壁の向こうに抜けた。
二人はまるで鯨にモリを突き刺して引っ張られる漁師のようであった。
つづく
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