記号は無駄に意味を話したがる
犬歯で断ち切った 狂気が胃袋で 慢性的な疾患を啜ってまた蘇生する ああ、こすれ合う...
行方
碧の彼方の、永遠の境界のほとりで 百万の言葉を閉じ込めて死んでいた旅人 唇は濡れ...
口ずさむのは昔の歌ばかり
梅雨明けの、叩きつける光の中 入道雲を切り裂くようにジェット機が飛ぶ 蝉の抜け殻を...
Elegie
零れたまま、冷えて テーブルで壊死したいつかのディナー、指でなぞると 思い出の腫瘍...
ブルーダスト
暗い部屋 苦い果実の夜、音律を 破壊し尽くしたジャズ 二等星から伸びた刃が しどけな...
午前零時の流動
グロスの様に時間が歪むのを見た、午前零時のなだらかな幻覚 本物の狂気の前には錠剤...
湿度の高い夜に死んだ猫の爪が昂ぶりの口火を切る
湿度の高い夜に死んだ猫、そいつの鳴声が隣で聞こえる暮れ方 茜は誰かの血を含んだよう...
クラウディ・ボート
吐いた息には リアルが無かった はらはら軽くて ふらふら落ちて 網戸に集まる 虫...
時々何の理由も無く弄ばれてしまう
自戒的な項目を幾つか、カラの皿の上に並べて、はたしてそれは幻想の様なものかと自問...
死にもしないのに転生の夢を見る
光線が 頭の中を ゆっくりと駆けるのを見ていた それはまるで泳ぐ蛇のようで そし...