先日、私立高校の授業料無償化についての話をブログに書いたのですが、今日、こんな記事を見つけました:
『大阪府の私立高無償化、年収600万円まで対象拡大へ』(朝日新聞 2010年10月3日)
大阪府が独自に取り組んでいる私立高校の無償化に向けた助成制度ですが、これまで年収350万円以下に制限されていたものを年収600万円にまで引き上げようというもの。実現すれば「府在住の私立高校生約7万人の半数程度が対象になる」ということですから、これは完全無償化に向けての大きなステップでしょう。「家庭の経済事情にかかわらず、子どもが公立でも私立でも自由に選べるようにしたい」という橋下徹知事の言葉、これぞまさに政治がめざすべき道で、私も全面的に応援したいところです。
ところが・・・
その財源案がいけません。
記事によると、最初は財源として「私立小中学校への運営助成費(年間約63億円)の削減」を見込んでいたとのこと。私学側の反発によって小幅の削減額に止めざるを得なくなったようですが、私立高校の学費無償化のために私立小中学校への助成を削るというのは、さすがにちょっと整合性がありません。助成の削減によって、私立小中学校へ通う子どもたちに悪影響が出たら、それこそ元も子もないのですから。
そして出てきた代替案ですが、これにも個人的に賛成できません。
その案は、府職員の給与を年350億円ずつ3年間、削減することによって財源を確保しようというもの。ん~、どうして公共サービスを充実させようという案の財源のために、それを担う公務員の待遇を下げようとするのでしょうね。それが一番、安易でてっとり早いからでしょうか。いや、100歩譲って、大阪府職員の皆さんの給与が法外に高い、というならまだ議論の余地があると思います。しかし、例えばラスパイレス指数(=国家公務員と地方公務員の基本給与を比較するための指数で、国家公務員を100とした時の地方公務員給与の水準を表す)で見た時、大阪府は2008年でこそ、98.5で全国30位でしたが、2009年にはそれがガクッと下がって92.2になり、なんと全国46位(最下位は岡山県で91.9)になっています。つまり、大阪府の職員の給与水準は、すでに大幅に引き下げられていて、全国で最低レベルになってるんです。
ということで、「私立高校の授業料無償化」という方向は素晴らしいと思いますが、それを「公務員給与の更なる削減」で実現しようという政策オプションは、私自身は大いに疑問です。提案の根拠と、そしてこれからの労使対話の行方に注目したいところですが、果たしてこれが本当に正しい道なのかどうか、府民に皆さんにもしっかりと議論に参加して欲しいと思います。
『大阪府の私立高無償化、年収600万円まで対象拡大へ』(朝日新聞 2010年10月3日)
大阪府が独自に取り組んでいる私立高校の無償化に向けた助成制度ですが、これまで年収350万円以下に制限されていたものを年収600万円にまで引き上げようというもの。実現すれば「府在住の私立高校生約7万人の半数程度が対象になる」ということですから、これは完全無償化に向けての大きなステップでしょう。「家庭の経済事情にかかわらず、子どもが公立でも私立でも自由に選べるようにしたい」という橋下徹知事の言葉、これぞまさに政治がめざすべき道で、私も全面的に応援したいところです。
ところが・・・
その財源案がいけません。
記事によると、最初は財源として「私立小中学校への運営助成費(年間約63億円)の削減」を見込んでいたとのこと。私学側の反発によって小幅の削減額に止めざるを得なくなったようですが、私立高校の学費無償化のために私立小中学校への助成を削るというのは、さすがにちょっと整合性がありません。助成の削減によって、私立小中学校へ通う子どもたちに悪影響が出たら、それこそ元も子もないのですから。
そして出てきた代替案ですが、これにも個人的に賛成できません。
その案は、府職員の給与を年350億円ずつ3年間、削減することによって財源を確保しようというもの。ん~、どうして公共サービスを充実させようという案の財源のために、それを担う公務員の待遇を下げようとするのでしょうね。それが一番、安易でてっとり早いからでしょうか。いや、100歩譲って、大阪府職員の皆さんの給与が法外に高い、というならまだ議論の余地があると思います。しかし、例えばラスパイレス指数(=国家公務員と地方公務員の基本給与を比較するための指数で、国家公務員を100とした時の地方公務員給与の水準を表す)で見た時、大阪府は2008年でこそ、98.5で全国30位でしたが、2009年にはそれがガクッと下がって92.2になり、なんと全国46位(最下位は岡山県で91.9)になっています。つまり、大阪府の職員の給与水準は、すでに大幅に引き下げられていて、全国で最低レベルになってるんです。
ということで、「私立高校の授業料無償化」という方向は素晴らしいと思いますが、それを「公務員給与の更なる削減」で実現しようという政策オプションは、私自身は大いに疑問です。提案の根拠と、そしてこれからの労使対話の行方に注目したいところですが、果たしてこれが本当に正しい道なのかどうか、府民に皆さんにもしっかりと議論に参加して欲しいと思います。