民主党の川上委員の質問で始まった今日の予算委員会、自民党の質問でかなり紛糾して、何度となく議事進行が止まりました。その辺の模様、テレビでご覧になった皆さんも多かったのではないかと思います。まあこれは前回の予算委員会の時にも書いた話ですが、国民の皆さんにテレビで観ていただくのが恥ずかしい感じですね。同じ質問を繰り返しては、答弁が気に入らないと言って止まる。そしてまた同じ質問を繰り返す・・・。そもそも今日は、経済・財政と、外務・防衛に関する集中審議を行うための予算委員会だったはず。にも係わらず、それ以外の関係ない質問を繰り返しては審議をストップさせていた野党の皆さんですが、これが責任ある国会審議の状況と言えるのでしょうか。
特に今日は、自民党の質問の中で重大な事実誤認と思える発言がありました。それは、「国会公務員の総額人件費の2割削減」の論議の中で、公務員制度改革の話しになった時のこと。公務員の労働基本権の回復の問題に言及した自民党の質問者が、「争議権を公務員に認めている国など存在しない!」と大声で言い切ったのです。
まあご本人も勢いで口を滑らせたのかも知れませんが、これは明らかに事実誤認ですね。そもそも、ILO87号条約および98号条約で認められている労働基本権、いわゆる団結権、団体交渉権、争議権の定義と具体的解釈を全く理解していないからこういう発言が出るのではないかと思いますし、それに対して委員会室に居た自民党議員のほぼ全員が「その通りだ!」と同調していたことからして、そもそも公務員の労働基本権の問題がこれだけ長い間、国際的な批判を受けながらも全く進展を見せなかったその原因が分かったような気がしました。
ただ、この事実誤認に対して、その場にいた政府閣僚の誰もが的確な反論を出来なかったことも残念でなりません。特定の公務員に対して、加盟国が国民的合意の下でスト権に制限を加えることを国際労働機関(ILO)は否定していません。ただそれはあくまで限定的な話で、公務員全体に一律に争議権を否定することは明確に否定されていますし、今だにそういう状況にある日本は、先進国の中では全くの少数派であり、ILO条約違反の状態にあるのです。そもそもILOは、日本政府に対して「国の行政に直接従事しない公務員への、結社の自由の原則に沿った団体交渉権及びストライキ権を付与すること」を勧告しているのですから。
さて、この自民党委員による事実誤認が予算委員会の議事録にそのまま載った場合、それに対してはきちんとした反論を試みてみたいと思っています。