AKB48の旅

AKB48の旅

物語は紡がれ続ける

2016年04月23日 | AKB
長野)10年桜、ともに輝いて
http://www.asahi.com/articles/ASJ4441R6J44UOOB006.html

2005年12月のある日。バレエのコンクールのため長野から上京した8歳の西村菜那子さんは、家電好きの父親と秋葉原の街を歩いていた。すると、1枚のチラシを受け取った。ディスカウント店「ドン・キホーテ」内にある劇場で「AKB48」が公演をする、という内容だった。

 12月8日にオープンしたAKB48劇場。収容約250人の客席が埋まらず、メンバーが路上でチラシを配り、観覧を呼びかけていたのだ。父と劇場へ。「少し年上の女の子たちが、赤いチェックのスカート姿で懸命に踊っていた」。そんな第一印象だった。

 素通りしようとする西村さん親子に食らいつくように、チラシを渡してきたメンバー。父がインターネットで調べ、それが折井あゆみさんだったとわかる。諏訪郡出身で「親近感がわいた」。不思議な縁に導かれるように、AKB48への憧れを抱くようになった。

 16年3月27日、横浜スタジアム。高橋みなみさんの卒業コンサートにOGとして駆けつけた折井さんと、NGT48のメンバーとなった西村さんは、10年のときを経て「再会」した。しかし伝説的な「初期メンバー」に、西村さんは「声をかけられなかった」。

 現在、NGT48劇場での公演で「あなたとクリスマスイブ」という曲を担当することが多い西村さん。くしくも折井さんが10年前の公演で担当していた曲だ。今はまだ遠い先輩だが「いつかは折井さんのようなリーダー的な存在になる」と、西村さんは誓う。

 AKB48の人気曲「10年桜」にこんな歌詞がある。

 《10年後にまた会おう この場所で待ってるよ 今よりももっと輝いて》

 直接言葉を交わすことのなかった2人だが、それぞれ輝きを増した10年後の再会だった。


高橋さんの卒業を象徴とする形で、既存の巨大な物語創成エンジンがフェードアウトすることになると思われる。それでもこうして、多元的重層的に物語は紡がれ続けるんだろうけど、果たして物語の消費に追いつく創造は間に合うんだろうか。