白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本日の対局

2017年11月23日 18時23分32秒 | 対局
皆様こんばんは。
市ヶ谷の日本棋院では、先週から2階の大規模な改修が始まりました。
様子を見てみようとしたら、そもそも2階全体が封鎖されていましたね。
工事期間は来年1月31日まで(予定)と、しばらく不便になってしまいますが、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、売店は1階に移して営業しています。

さて、本日は対局がありました。
相手は二十四世本因坊秀芳ということで、幽玄の間で中継されました。



1図(テーマ図)
私の黒番です。
白△と押されたところですが、どこを急ぐべきでしょうか?
石の強弱を考えれば、答えは自ずと浮かび上がります。

なお、黒△に関しては捨てるつもりで打っているので、こちらは無視してください。
「やさしく語る 碁の本質」で言うところの、弱過ぎる石は捨てるですね。





2図(正解図)
白△が眼形の厚い強い石ですから、そこに近付き過ぎている黒△は弱い石です。
そこで、しっかりとつながる黒1が正解です。
つながることによって自然と地もできるので、これで決して遅れません。

また、右辺に関しては黒×は全て強い石です。
「やさしく語る 布石の原則」では、強い石の周りは小さいというキーワードが出てきます。
つまり、赤印のあたりに打つ手は小さいのです。





3図(実戦)
ところが、実戦は黒1!
小さいはずの右辺を囲いに行きました!
結果白10までとなり、黒△が攻めの対象に・・・。
この棋士、自分の本の内容を理解できていないのでしょうか?

まあ、本当のことを言えば、あえて基本から外れた打ち方をしました。
上辺は苦しい戦いになりますが、そこを上手くかわすことでポイントを挙げようと・・・。
ただ、後から振り返ってみると、やはりこれは無理でしたね。

私の碁を並べても勉強にならないので、皆様は本の方を信用してください。





4図(実戦)
とは言え、しっかり考えた末の打ち方ですから、大きく形勢が傾くようなことはなかったと思います。
ですが、ここで黒1と打った手がポカに基づく失着でした。
この手でAとハネていれば、まだまだこれからの碁でしょう。





5図(変化図)
後に白1と伸びてくれば、黒2でぴったり連絡形、というつもりでしたが・・・。
白3、5で黒△が切れてしまうではありませんか!
つまり黒全体の連絡は不完全であり、1手かけたのに薄いという酷い結果になりました。
後は自分なりに頑張ってはいましたが、この部分の薄さが最後まで尾を引いてしましました。

本局は中継付きということで、負けがはっきりしてからも打ち続けてみました。
大体形が決まったところで投了しましたが、盤面で少し勝てるかどうかという形勢でしょう。