白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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農心杯第8戦

2017年11月27日 19時10分55秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
まずはお知らせです。
著書「やさしく語る 碁の本質」の第4刷が発行されることになりました!
これも皆様のご支持のおかげです。
ありがとうございます。

さて、第4刷の発行にあたって、問題があれば修正したいと思います。
既に判明している問題点はこちらにまとめてありますので、もし記載されていないミスやおかしなところがありましたら、お知らせ頂けると助かります。
期限は明日までと急ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、「布石の本質」の方も売れているようですが、こちらはまだ増刷には至っていません。
布石は漠然とした分野なので、碁の本質の方が明快に感じられるところはあるでしょうね。
こちらの方もPRを続けていきたいと思います。


さて、本日は農心杯第8戦が行われました。
日本代表、一力遼八段(20)の相手は中国の党毅飛九段(23)です。
党九段の存在は10年ぐらい前から話題になっていたと思いますが、前回のLG杯でついに世界戦優勝を果たしました。
昨日も絶好調の申旻埈六段の連勝を止め、その実力を示しています。



1図(テーマ図)
党九段が黒△とボウシした場面です。
左辺の白はいかにも頼りない姿ですね。





2図(変化図)
白としては、このような打ち方が真っ先に浮かびます。
自然ではありますが、全体の白に全く眼が無いのが気になりますね・・・。
安定するまで時間がかかりそうで、気分が悪いです。





3図(実戦)
しかし、一力八段にかかるとあら不思議、あっという間に強固な形が出来上がりました!
×印のあたりに眼ができそうなので、いつでも生きられそうです。
打つ人によってこうも違うものでしょうか・・・。

特別な手は何も打っていないのですが、組み合わせやタイミングが実に上手いですね。
流石のセンスです。





4図(実戦)
落ち着いた流れになり、コミ6目半が物を言いそうなので白乗りの形勢と思っていました。
しかし、ここでなんと黒1、3!
いきなりツケて切るとは、物凄い力自慢の打ち方です。
中国棋士特有の戦い方という気がします。

・・・と書いていて思いましたが、最近の日本の若手の中にはこういうことをする人もいる気がします。
例えば許家元七段あたりならやりそうなイメージがありますね。

実戦は強引な仕掛けに一力八段のペースが乱れたでしょうか。
苦しい戦いに引きずり込まれ、あっという間に非勢に陥ってしまいました。
ここまで思い通りに進んでいただけに、悔やまれる敗戦だったでしょうね。


明日の党九段と韓国棋士の対局が第2ラウンドの最終戦なので、井山九段の出場は第3ラウンドの初戦になります。
ここまで日本勢としては非常に残念な結果で、井山九段に全てを託すしかありません。
日程的にも5連勝は非常に大変ですが、実力を示すチャンスでもあります。
井山九段の大暴れを期待しています。