白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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農心杯第9戦

2017年11月28日 23時44分26秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は農心杯第8戦が行われました。
対局者は党毅飛九段(中国)と金明訓五段(韓国)です。
日本棋士が絡まない対局は、私には非常に分かり難いです。
15年ぐらい前なら多少は分かっていた気がしますが、最近はついていけない碁が非常に多いですね。



1図(実戦)
序盤早々戦いになっています。
一番分からないのがこうしたところです。
序盤は広い所がたくさんありますが、世界の碁はすぐに戦いが始まる傾向があります。
日本の棋士とは碁というゲームの捉え方自体が違っているところがあるのでしょうね。

もっとも、これはあくまで傾向であり、日本の棋士にも色々なタイプがいることはご存知の通りです。
特に最近の若手棋士は中国や韓国の碁をかなり研究しているので、少なからず影響を受けていると感じます。
例えば井山七冠にしても一力八段にしても、元来はじっくりタイプだったように思いますが、ここ数年の碁は非常に激しいですね。
力勝負の碁に慣れておかなければ、世界で勝ち抜けないということでしょう。





2図(実戦)
黒△の大石を狙って、白△と形の急所に迫りました。
こうしたところの感覚は万国共通ですね。
この後の進行を追えば、急所の効果で黒にゆとりが無くなっていくことを感じられるのではないでしょうか。

皆様が中国や韓国の碁から学ばれるなら、こうしたところに注目して頂くと良いでしょう。
何しろ戦いが多いので、形の急所などは頻繁に現れます。





3図(実戦)
白△と取ってコウ争いが始まりました。
元々Aの所でコウ争いをしていたのですが、そちらが霞んでしまうほどの大きさです。
何しろ、黒×と白×の生死に関わっていますから・・・。

ところで、アマの皆様にはコウ争いが嫌いな方が多く、何が何でもコウを避けるという方も少なくありません。
まあ、どうしても嫌いなものは仕方ないという面もありますが、コウ争いの基本中の基本ができているかどうかだけは確認して頂くと良いですね。

それは、自分がコウに勝った時の図と相手がコウに勝った時の図を、具体的に想定して比べることです。
そのために必要とされる読みの手数は非常に少ないです。
時にはややこしいコウもありますが、大半は数手読めば十分な筈です。
シチョウ関係を読むよりもはるかに簡単でしょう。

それだけでもできていれば、花見コウを仕掛けるチャンスを逃したり、リスクの高いコウ争いを仕掛けることは少なくなるでしょう。
コウ立ての数を考えることなどはもちろん大切なのですが、そちらはかなり難易度が上がります。
何しろ、全局を見渡して地道に確認していかなければいけません。
まずは基本の方をしっかりと意識して頂きたいですね。

コウを仕掛けて勝つ、または大きなコウ替わりを得る、ということは碁の中でも最も大きな喜びの1つでしょう。
この喜びを知ることで、碁の楽しみ方は大きく広がると思います。