白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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明日は棋士対AQ3番勝負

2018年02月19日 23時46分04秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
明日はAQと棋士の三番勝負が行われますね。
幽玄の間youtubeの日本棋院チャンネルで中継されますので、ぜひご覧ください。

直近の大会時点でのAQの実力は、相当なレベルながらも今回の棋士達ほどではなかったと思いますが・・・。
しかし相手は疲れを知らぬAI、どれだけ強くなっているか分かりません。
DeepZenGoなどと比べると弱点が多いはずですが、それが出ない場合は棋士が負けても全くおかしくなさそうですね。

ところで、本日幽玄の間を覗いてみると、珍しくDeepZenGoが負けていました。
その対局をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
金澤秀男八段の黒番です。
黒△の当てに白△とつなぎました。
・・・えっ、うそでしょ?

この手はそのぐらいあり得ない手です。
例えばプロも人間ですから、ごく稀には当たりを見逃してしまうようなこともあります。
しかし、ここで白△とつなぐことは絶対にあり得ません。
白Aの抜きしか考えられないのです。





2図(実戦)
実戦はこのように進みましたが、これは手順を変えると・・・。





3図(実戦)
黒1に対して白2と抜けば、やはり黒3とつなぐ一手です。
実戦はここで白Aと一手パス同然の手を打ち、黒Bと頭を出されたのと同じことです。
普通に考えれば、この損が負けに直結したのでしょうね。


死活などで間違えることは有名ですが、こうした不思議なミスもあるのですね。
しかし、そんな弱点を抱えながらも現在の戦績は通算2907勝107敗、勝率96.45%・・・。
どんどん現実感の無い数字になっていきますね。
私は以前window標準のフリーセルにはまっていた時期がありましたが、確かそのぐらいの勝率だった気がします(笑)。
DeepZenGoの通算成績は過去のバージョンでのものも含んでいますから、今の強さはどれほどのものでしょうか・・・。