白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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棋士紹介第3回・富士田明彦六段

2019年01月04日 23時59分59秒 | 棋士紹介
<本日の一言>
本日は仕事始めで、指導碁を沢山打ちました。
明日は市ヶ谷の日本棋院で打ち初め式が行われますが、私も指導碁を担当します。
楽しい対局になると良いですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は棋士紹介の第3回です。

<富士田明彦六段(公式プロフィール)

平成3年(1991年)11月8日生まれの27歳です。
普段の姿は、勝負師らしからぬ好青年という印象です。
ただ個人的には嫌いですね。
2連敗しているので・・・。

昨年の成績は41勝8敗で勝ち星4位でした。
勝率は0.837で堂々の1位です。

さて、富士田六段の碁ですが、独特の世界観があると感じます。
どちらかと言えば厚み重視だと思いますが、厚みの活用を急がないのです。
相手にどんどん走られて大丈夫かな? と思ってみていても、いつの間にか地が追い付いている・・・。
そんな碁が多い気がします。
その点では、大竹英雄名誉碁聖に似ているところがあるかもしれません。

最近のプロの碁はスピード重視の傾向が強いです。
その一方で、富士田六段のようなじっくりタイプで結果を残す人もいます。
色々なタイプの打ち手が活躍する世界であって欲しいですね。

それでは、富士田六段の印象的な対局をご紹介しましょう。



1図(実戦)
2018年10月4日、碁聖戦予選での柳時熏九段(黒)との対局です。
白△まで、じっくり構えていますね。
左下の白は非常に手厚いですが、9手もかかっているので、ダブり気味と判断する棋士も多いのではないでしょうか?





2図(実戦)
白△まで、左上でも勢力を築きました。
この後、黒Aから消しにきましたが・・・。





3図(実戦)
白1、3と中央黒を攻撃!
ここまで力を溜めてきた富士田六段、ここでついに動き出しました!





4図(実戦)
・・・と思いきや、黒×を取るだけで矛を収めました。
地としてはごく僅かな利益しか得ていませんが、さらに厚みを築いたことに満足ということでしょう。
黒はあちこち走り回っているのですが、富士田六段は全く焦っていないように見えますね。
この落ち着きが、安定した成績を残すことにつながっているのでしょう。

本局の結果は黒半目勝ちでしたが、富士田六段らしい碁だと思ったのでご紹介しました。