白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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結城聡九段-王磊八段戦

2019年01月26日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
大坂なおみ選手、全豪オープン優勝!
4大大会2連勝で、世界ランクは1位になったとか。
凄すぎますね・・・。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日、第3回ワールド碁チャンピオンシップの国際予選3回戦が行われました。
シニア予選2回戦で高尾紳路九段と三村智保九段が敗れたのは残念でしたが、3回戦は唯一の日中対決を結城聡九段が制し、準決勝に日本棋士3名が進出することになりました。
明日、王銘エン九段が劉昌赫九段(韓国)に勝てば日本代表の枠抜けが確定します。

それでは、今回は結城聡九段(46)と王磊八段(41)の対局をご紹介しましょう。
王八段はかつて中国でトップ争いをしていた棋士で、世界戦準優勝経験もあります。
なお、棋譜は日本棋院ネット対局幽玄の間にて中継されました。



1図(実戦)
結城九段の黒番です。
左上で早くもややこしい戦いが始まっています。
結城九段は昔から難解型を好んで打っていますね。
研究が足りないとすぐに形勢が悪くなるリスクがありますが、そこは抜かりないということでしょう。





2図(実戦)
黒△まで、予定通りの進行なのでしょう。
上辺、左辺の白への攻めを狙っています。
武闘派の結城九段らしい作戦ですね。





3図(実戦)
白1に対して、すぐさま黒2と追及したのも結城九段らしいですね。
この手ではとりあえず黒5と頭を出しておく手も自然に見えますが、結城九段は白5と打たれても凌ぎに困らないことを読み切って手を抜いているのです。
雰囲気で打たず、とにかく読みを入れていくのが結城九段の碁ですね。






4図(実戦)
白1に対して、黒2、4とコウを仕掛けていった手順だけを見るとギョッとしますね。
しかし、このコウに勝てば黒Aと眼を取りにいく狙いがあるので、黒にとっては楽なコウです。
勢いに任せたわけではなく、計算尽くのコウ仕掛けでした。


本局は黒2目半勝ちとなりました。
結城九段の快勝だったと思います。