白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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棋士の採用について・その2

2019年01月16日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)
<本日の一言>
稀勢の里が引退しましたね。
横綱になって以来、ずっと無理をしてきたのでしょう。
人気横綱が短命で終わってしまうのは残念ですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
だいぶ間が空きましたが、今回は棋士の採用方法を説明するシリーズの第2回です。
前回は一般枠のお話でしたが、今回は特別枠についてのお話です。
私の勘違いや見落としが無いとも限りませんので、正確な情報を求める方はこちらをご覧ください。

<女流特別採用>
いわゆる「女流枠」ですね。
採用時23歳以下の女性が受験可能です(年齢制限は一般試験と同じです。)。
一般試験の終了後に行われるので、まず一般試験を受け、直後に女流試験にも参加するという人が多いですね。
人によってはかなりのハードスケジュールになることもあるでしょう。
現在の採用人数は年に1人です。
形式や採用人数の変化はあっても、昔から行われてきた試験です。

女流棋士の歴史は古く、江戸時代には既に存在していたようです。
性別による有利不利があまり無いゲームですからね。
ただし環境の差は大きく、プロアマ問わず平均棋力には大きな差がありました。
情報化などの恩恵で、現在は強い女流棋士も珍しくなくなりましたが、全体的にはまだ差があります。
ですが、藤沢里菜女流三冠や上野愛咲美女流棋聖、仲邑菫新初段らの活躍次第では、後に続こうという子供たちが沢山出てくるかもしれませんね。

<女流特別採用推薦>
名前が紛らわしいですが、こちらは「推薦」です。
今年新設された制度で、実力のある女子院生を試験とは別枠で採用するというものです。
具体的な条件も記されていますが、簡単に言えば院生Aクラスに定着するぐらいの実力があればチャンスはあります。
ただし、現在は院生のレベルが高いですから、そう簡単なことではありません。

この制度の誕生理由ですが、一言で言えば女流棋士が少ないということにつきるでしょう。
女性が一般枠で入段することも可能とは言え、それが実現できた女流棋士は歴代で4人しかいませんからね。
女子院生のレベルはずいぶん上がりましたが、男子院生もまたレベルが上がっているのです。
囲碁ファンからの需要は明らかに女流棋士>男性棋士ですが、現実には男性棋士の方が圧倒的に数が多いです。
個人的には、このバランスは是正する必要があると思います。
もちろん、頭数だけ増えれば良いというものではありませんが。


さて、特別採用は他にもありますが、長くなったので今回はここまでにします。