(175)心の結びつき
四百字詰原稿用紙換算9枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
綾乃(35) 170㎝。楚々とした美人で寿司幸の女将だったが離婚し今は独り身。
綾乃の隣に住む男(30)。無精ひげをはやし異常な目つき。見るからに変質者めいており腕っぷしが強そう
N=ナレーション

修一宅、室内
ベッドに掛けて両手を後ろについてる綾乃の前で、修一がウォークマンを持って選曲している。
ウォークマンの画面をタップする。
スピーカーから♪が流れる。
綾乃「このピアノ、ロマンチックですごくいい感じ。なんて曲なの?」
修一「ヘンリーマンシーニの『スターダスト』でござる」
椅子の背に向かって跨り、綾乃と向かい合い、
修一「これからどうするつもりな?」
綾乃「貯金に手をつけたくないからスーパーのレジ打ちか事務職でも探すつもり」
修一「ううん・・・」と腕組みして沈思する。
修一「綾乃はどこに就職しても男に妄執されてトラブルに巻き込まれようのう・・・」
強い視線で見つめ、
修一「身に覚えがあろうが?」
綾乃、自嘲の籠った目をして頷く。
ベッドに掛けた綾乃の艶めかしい太腿のアップに修一の声、
「綾乃の美貌は不幸を招いても吉に作用する事はなかろう」「そんな気がしてならんわい」
綾乃「じゃあどうすればいいの?」
綾乃「仕事しなきゃ貯金を食い潰すだけだし、そんなのいや」
無邪気に、
綾乃「取りあえず一回やって」
修一、あっ気にとられる。
綾乃「欲望が解消したら頭もすっきりして、いい考えが浮かぶわ」
修一「そうじゃね」と喜色満面で椅子から立ち上がる。
綾乃「髪が邪魔よね?」と言って両手で長い髪を後ろで束ねる。
そして髪を無造作にねじって輪っかを作り、そこに髪を通す。
ぎゅっと絞ると、あっという間に髪がアップに纏まったのを修一が惚れ惚れと眺めてる絵にN『鏡も見ずに、あっという間に髪をまとめた綾乃の仕草になんとも言えない女らしさを感じてぐっときた』
注、この時点では二人共まだ服を着ている。
ベッドに仰向けになった綾乃にのしかかってブラウスの上から脇を嗅ぎ
修一「汗で蒸れた甘酸っぱい匂いが堪らん・・・」
頬を染め、
綾乃「腋を嗅がれるのは恥ずかしいけど修ちゃんが興奮してくれるのなら嬉しい・・・」
天井の絵に二人の声、
「済んだら綾乃の家を見に行くぞ」
「はい」
○綾乃宅
築三十年の古い四階建て1Rマンションの外観に綾乃の声「ここの四階なの。エレベーターとオートロックがないのが難点だけど」
注、二人、マンションの前に停めたアパッチに跨っており、綾乃はスカートがまくれ上がって太腿がむき出しになっている。
アパッチに跨ってマンションを見上げ、
修一(築三十年ってとこか?オートロックがないのは不用心じゃのう・・・)
二人でマンション内の階段を上がりながら、
修一(五千万も持ってながらこんなボロマンションを選ぶとはなんと堅実な性格か)
修一(そんなとこがいじらしくてグっとくるんじゃが)と尻を鷲掴みすると綾乃が「あん~」とはしゃぐ。
綾乃がドアに鍵を差し込んでるのを通路の端からロングで描いた絵。
綾乃がドアを開けた時、隣の部屋のドアがガチャと開く。
見るからに変質者めいた男(30)が出て来て、部屋に入る綾乃の横顔をねばりつくような目で見る。
男と修一の目が合う。
2人、凝視し合う。
男が怯んで目を反らす。
出口に向かう男の後ろ姿を見て、
修一(なんと分かりやすいヤツよ。綾乃を狙っとるんが一目瞭然じゃ)
修一(ベランダから侵入してきそうなヤバげなヤツじゃのう)
陰湿な目で振り返った男を直視し、
修一(いや、こいつの目つきはすでに綾乃を独占した気でおる目じゃ・・・)
すでに室内に入ってた綾乃が、ドアの前で通路の向こうを見てる修一に、
綾乃「どうしたの?」
ドアの方に向かって靴を揃えて脱ぎながら、
修一「見るからに気色悪いやつじゃのう」
綾乃「修ちゃんもそう思った?」
部屋に向かいながら振り向き、
綾乃「スキを見せないよう顔が合っても無視してるんだけど」
注、玄関を入ってすぐに台所、トイレ、ユニットバスがあり、その奥の部屋はカーテンはあるが家具もなくガランとしてる。布団が綺麗に畳んであり、まだ開けてない大きな段ボール箱が4つ重ねてある。
がらんとした部屋を見て、
修一「いつ引っ越したんな?」
綾乃「5日前。修ちゃんに家探しを手伝ってもらいたかったけど、図々しい気がして遠慮したの」
綺麗に畳んだ布団の上に枕が一つ置いてある絵。
それを泣きそうな顔で見つめ、
修一「5日もこの布団に一人で丸まって寝たんか・・・」
泣きそうな顔で、
修一「心細かったろうのー、淋しかったろうのー・・・」
綾乃、虚を突かれて修一を見る。
修一「綾乃が不安にさいなまれて寝てる姿を想像したら俺は泣きそうになるわい・・・」
目じりを濡らし、ぼう然と修一を見て、
綾乃「しゅうちゃん・・・」(そんなに私の事を思ってくれてたとは・・・)
目尻を拭い切なげに、
修一「なんで俺に相談してくれんかったんかのー・・・」
顔をくしゃくしゃにして修一の胸に飛び込み、
綾乃「独りぼっちになった気でいた・・・」
綾乃「けど今の修ちゃんの言葉で私達は下半身だけの繋がりじゃない事が分かった」
綾乃「これからは修ちゃんに何でも相談するから勘弁して、ねっ」
修一「ほんまじゃのう?」
修一の頬を両手で挟んでキスし、
綾乃「約束する。ぜったい修ちゃんを心配させないし失望もさせない」
ツバの糸を引いて唇を離し、
修一「よし。まず部屋のチェックじゃ」
綾乃「え、どういう事?」
ベランダをガラッと開けて見回し、
修一「直感で分かるんじゃ」
庇(ひさし)の下にB1が停まってるのを視認し、
修一「さっきのヤツ、絶対この部屋に侵入しちょるぞ」
綾乃「ええーっ!」と驚愕する。
唇に指を立て、
修一「しっ、盗聴器を仕掛けられとるかもしれん」と言われて綾乃ががくがく頷く。
綾乃、浴室に向かう修一の後を不安げについてゆく。
浴室内。鏡の前に置かれたコップに歯ブラシが2本立ててあるのに目を止めた修一に恥ずかしそうに、
綾乃「修ちゃんがいつでも泊まれるように。パジャマも買ってあるよ」
顔をくしゃくしゃにして綾乃を見つめ、
修一「どこまで可愛い女なんじゃ、もうかなわんのー」
頬を染めて嬉しそうに、
綾乃「修ちゃんに愛されてるのがビンビン伝わってきてすごく嬉しい」
修一、風呂の天井蓋がほんの少しずれてるのに気づく。
修一が綾乃にそれを指し示すと、
綾乃「(ぞっとし)まさかそこから・・・?」
つづく
四百字詰原稿用紙換算9枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
綾乃(35) 170㎝。楚々とした美人で寿司幸の女将だったが離婚し今は独り身。
綾乃の隣に住む男(30)。無精ひげをはやし異常な目つき。見るからに変質者めいており腕っぷしが強そう
N=ナレーション

修一宅、室内
ベッドに掛けて両手を後ろについてる綾乃の前で、修一がウォークマンを持って選曲している。
ウォークマンの画面をタップする。
スピーカーから♪が流れる。
綾乃「このピアノ、ロマンチックですごくいい感じ。なんて曲なの?」
修一「ヘンリーマンシーニの『スターダスト』でござる」
椅子の背に向かって跨り、綾乃と向かい合い、
修一「これからどうするつもりな?」
綾乃「貯金に手をつけたくないからスーパーのレジ打ちか事務職でも探すつもり」
修一「ううん・・・」と腕組みして沈思する。
修一「綾乃はどこに就職しても男に妄執されてトラブルに巻き込まれようのう・・・」
強い視線で見つめ、
修一「身に覚えがあろうが?」
綾乃、自嘲の籠った目をして頷く。
ベッドに掛けた綾乃の艶めかしい太腿のアップに修一の声、
「綾乃の美貌は不幸を招いても吉に作用する事はなかろう」「そんな気がしてならんわい」
綾乃「じゃあどうすればいいの?」
綾乃「仕事しなきゃ貯金を食い潰すだけだし、そんなのいや」
無邪気に、
綾乃「取りあえず一回やって」
修一、あっ気にとられる。
綾乃「欲望が解消したら頭もすっきりして、いい考えが浮かぶわ」
修一「そうじゃね」と喜色満面で椅子から立ち上がる。
綾乃「髪が邪魔よね?」と言って両手で長い髪を後ろで束ねる。
そして髪を無造作にねじって輪っかを作り、そこに髪を通す。
ぎゅっと絞ると、あっという間に髪がアップに纏まったのを修一が惚れ惚れと眺めてる絵にN『鏡も見ずに、あっという間に髪をまとめた綾乃の仕草になんとも言えない女らしさを感じてぐっときた』
注、この時点では二人共まだ服を着ている。
ベッドに仰向けになった綾乃にのしかかってブラウスの上から脇を嗅ぎ
修一「汗で蒸れた甘酸っぱい匂いが堪らん・・・」
頬を染め、
綾乃「腋を嗅がれるのは恥ずかしいけど修ちゃんが興奮してくれるのなら嬉しい・・・」
天井の絵に二人の声、
「済んだら綾乃の家を見に行くぞ」
「はい」
○綾乃宅
築三十年の古い四階建て1Rマンションの外観に綾乃の声「ここの四階なの。エレベーターとオートロックがないのが難点だけど」
注、二人、マンションの前に停めたアパッチに跨っており、綾乃はスカートがまくれ上がって太腿がむき出しになっている。
アパッチに跨ってマンションを見上げ、
修一(築三十年ってとこか?オートロックがないのは不用心じゃのう・・・)
二人でマンション内の階段を上がりながら、
修一(五千万も持ってながらこんなボロマンションを選ぶとはなんと堅実な性格か)
修一(そんなとこがいじらしくてグっとくるんじゃが)と尻を鷲掴みすると綾乃が「あん~」とはしゃぐ。
綾乃がドアに鍵を差し込んでるのを通路の端からロングで描いた絵。
綾乃がドアを開けた時、隣の部屋のドアがガチャと開く。
見るからに変質者めいた男(30)が出て来て、部屋に入る綾乃の横顔をねばりつくような目で見る。
男と修一の目が合う。
2人、凝視し合う。
男が怯んで目を反らす。
出口に向かう男の後ろ姿を見て、
修一(なんと分かりやすいヤツよ。綾乃を狙っとるんが一目瞭然じゃ)
修一(ベランダから侵入してきそうなヤバげなヤツじゃのう)
陰湿な目で振り返った男を直視し、
修一(いや、こいつの目つきはすでに綾乃を独占した気でおる目じゃ・・・)
すでに室内に入ってた綾乃が、ドアの前で通路の向こうを見てる修一に、
綾乃「どうしたの?」
ドアの方に向かって靴を揃えて脱ぎながら、
修一「見るからに気色悪いやつじゃのう」
綾乃「修ちゃんもそう思った?」
部屋に向かいながら振り向き、
綾乃「スキを見せないよう顔が合っても無視してるんだけど」
注、玄関を入ってすぐに台所、トイレ、ユニットバスがあり、その奥の部屋はカーテンはあるが家具もなくガランとしてる。布団が綺麗に畳んであり、まだ開けてない大きな段ボール箱が4つ重ねてある。
がらんとした部屋を見て、
修一「いつ引っ越したんな?」
綾乃「5日前。修ちゃんに家探しを手伝ってもらいたかったけど、図々しい気がして遠慮したの」
綺麗に畳んだ布団の上に枕が一つ置いてある絵。
それを泣きそうな顔で見つめ、
修一「5日もこの布団に一人で丸まって寝たんか・・・」
泣きそうな顔で、
修一「心細かったろうのー、淋しかったろうのー・・・」
綾乃、虚を突かれて修一を見る。
修一「綾乃が不安にさいなまれて寝てる姿を想像したら俺は泣きそうになるわい・・・」
目じりを濡らし、ぼう然と修一を見て、
綾乃「しゅうちゃん・・・」(そんなに私の事を思ってくれてたとは・・・)
目尻を拭い切なげに、
修一「なんで俺に相談してくれんかったんかのー・・・」
顔をくしゃくしゃにして修一の胸に飛び込み、
綾乃「独りぼっちになった気でいた・・・」
綾乃「けど今の修ちゃんの言葉で私達は下半身だけの繋がりじゃない事が分かった」
綾乃「これからは修ちゃんに何でも相談するから勘弁して、ねっ」
修一「ほんまじゃのう?」
修一の頬を両手で挟んでキスし、
綾乃「約束する。ぜったい修ちゃんを心配させないし失望もさせない」
ツバの糸を引いて唇を離し、
修一「よし。まず部屋のチェックじゃ」
綾乃「え、どういう事?」
ベランダをガラッと開けて見回し、
修一「直感で分かるんじゃ」
庇(ひさし)の下にB1が停まってるのを視認し、
修一「さっきのヤツ、絶対この部屋に侵入しちょるぞ」
綾乃「ええーっ!」と驚愕する。
唇に指を立て、
修一「しっ、盗聴器を仕掛けられとるかもしれん」と言われて綾乃ががくがく頷く。
綾乃、浴室に向かう修一の後を不安げについてゆく。
浴室内。鏡の前に置かれたコップに歯ブラシが2本立ててあるのに目を止めた修一に恥ずかしそうに、
綾乃「修ちゃんがいつでも泊まれるように。パジャマも買ってあるよ」
顔をくしゃくしゃにして綾乃を見つめ、
修一「どこまで可愛い女なんじゃ、もうかなわんのー」
頬を染めて嬉しそうに、
綾乃「修ちゃんに愛されてるのがビンビン伝わってきてすごく嬉しい」
修一、風呂の天井蓋がほんの少しずれてるのに気づく。
修一が綾乃にそれを指し示すと、
綾乃「(ぞっとし)まさかそこから・・・?」
つづく