(228)玲子の災難
四百字詰原稿用紙換算11枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ちあがるように書いてあります。季節の設定は常に真夏である。
登場人物
須藤良子(12。小6)
170㎝。髪をポニーテールに結んだ目を瞠るような美人。165話から登場。
須藤志保(35)
170㎝。良子の母。目を瞠るような清楚な美人。
玲子(35)
志保の友人。ちょっとくずれた感じの気のよさそうな美人。職業はホステス。修一と同じマンションの二階に住む。
N=ナレーション
快晴。修一宅外観にN『土曜日の午前――』
ドアにフックをかませて全開にしてある絵。
同、室内
上半身裸、トランクス姿の修一、机の椅子に掛けウォークマンの画面をスクロールし曲を探している。
『ローリングストーンズ。スタート・ミー・アップ』と表示した画面のアップに声「今日の朝一発はこれに決定。気分が高揚するけんね」
コードつきのブルーツゥースイヤホンを耳にさそうとした時に玄関から「お兄ちゃん、いるー?」と声がした。
椅子に掛けたまま後ろに反って玄関の方を見て「おお、良子ちゃん、あがりんさい」と言うのを玄関側からの視点で描いた絵。
Tシャツ、尻がはみ出る短パン、スニーカーの良子がドアの方に向かって靴を脱ぎながら「おじゃまします」と言う。
室内に入りかけて流しに朝食後(丸皿、コーヒーカップ、グラス、箸等)の食器が置いたままになってるのを目にする。
水をジャーっと出しながら食器を洗ってる良子を室内から見て、
修一「ああ、すぐ片付けるけん洗わんでもええんよ」
スポンジで食器を洗いながら、
良子「はーい、でもこんなのすぐだから」
椅子に掛けたまま台所の良子を見て、
修一「良子ちゃん、また背が伸びたんとちがう?」
食器を洗い終わり右手で蛇口を閉め左手でポケットからハンカチを出しながら、
良子「一㎝伸びて一七〇㎝になっちゃった」
ハンカチで手を拭きながらこちらにやってきて、
良子「このまえ話した学校の女子トイレで盗撮してたヤツ始末したよ」
ベッドに腰を降ろした良子に、
修一「おお、そりゃお手柄。ミスらにゃええがと心配しちょったんよ」
修一「盗撮されとった子は心に傷をおって対人恐怖症にならにゃええがねえ」
深刻そうに頷き、
良子「わたしもそれが心配なの・・・」N『と、学校であった詳しい経緯を話してくれたが、その中に早苗の名前が出たので驚いた』
良子の短パンの隙間から下着がチラっと見える絵のアップにN『早苗と良子がギクシャクせぬよう、早苗と知り合いである事をいま話しとくべきだと思った』
驚いた風を装い、
修一「なんとゆう偶然じゃろ、その桧垣先生って人、知っちょるよ」
良子「(驚き)えっ、なぜお兄ちゃんが先生を知ってるの?」
修一「実はバイクで走ってたときにーー」
天井のシーリングライトの絵にN『やくざに絡まれてたアベックを通りがかった早苗が助けたのを目撃し、なかよしクラブにスカウトした』『と、余計な部分は、はしょって説明した』
良子「(感心し)へー、先生ってそんなに強かったんだ、おっどろいたー」
良子「あっ、学校の報告と、もう一つ用事があったんだった」
良子「別に頼まれた訳じゃないけど、玲子さんがすごく困ってるから助けてあげて」
修一「どうしたん?嫌な客にストーカーされちょるん?」
立ち上がり、
良子「私が話すより玲子さんから直接聞いた方がいいから一緒に来て」
注、ここから修一はTシャツ、ズボン、スニーカーに着替えてる。
外通路の絵に修一の声、
「じき俺の身長を抜きそうじゃね」
三階の通路を並んで歩きながら不安そうに修一の横顔を見て、
良子「お兄ちゃんより高くなったらイヤ?」
修一「とんでもない。俺は高身長の女が好きじゃけん良子ちゃんに見下ろされたいわ」
良子「(喜色をうかべ)ほんとに!」
階段を降りながら、
良子「ねえ、なぜ高身長の女が好きなの?」
修一「そりゃ手足が長くてスタイルがええからに決まってるやん」
階段を降りる修一の膝から下の絵に彼の声、
「背が高い女は首も指もシュッと長いから、そういう造形美に惹かれるんよね」
修一「背が高い女はそれだけで豪華で見応えがあるわ」
ほっとし、
良子(お兄ちゃんが高身長女が好きだと聞いて安心したよ)
空の絵にプルルルと静かなエンジン音にN『そのころ、某ホテルに向かう早苗――』
ノースリーブと膝丈のスカートでリードに乗る早苗の絵にN『今日は下着のモデルのカメラテストを受けるのでちょっと緊張してる』
スカートの奥に下着が見える絵のアップにN『スタイルには自信あるけどポーズを取る自信がないからだ』『テストに落ちるのは気にならないけどーー』
リードでホテル内の地下駐車場に入ってゆく姿にN『せっかくチャンスを与えてくれた修ちゃんをがっかりさせたくないな・・・』
玲子宅のドアの絵にN『玲子宅――』
注、やつれた玲子と志保が低いテーブルを間に脚を斜めに崩し、向かい合って床に座っている。テーブルの上にグラスに入った麦茶あり。
「玲子さん、お兄ちゃんを連れて来たよー」と声がし、玲子と志保が玄関の方を見る。
良子の後に続き修一が入ってきて「こんにちは」と言ったので玲子と志保が驚く。
修一に会ったときめきに頬を染め、
志保「岩城さんを呼びに行ってたの?」
良子「うん。お兄ちゃんならどんなトラブルでも解決してくれるから」
志保(ほんとだわ、私なんかなんの力にもなれないし最初からそうすべきだった)
床に正坐しながら、
良子「玲子さん、一人で悩んでないでお兄ちゃんに相談して。きっと解決してくれるから」
修一が胡坐をかいて座ると志保が立ちあがって、
志保「岩城さん、冷たい麦茶でいい?」
キッチンに行きかける志保に、
修一「すんません」と軽く会釈する。
無表情で玲子を見て、
修一「この前ぶんどった金で商売始めて全額溶かしてしもたんじゃろ?」
玲子、驚く。
玲子「良子ちゃんから聞いたの?」
修一「良子ちゃんは何も話してくれんかったが察しはつく」
修一「はっきりゆうが玲子さんはチーママには向いてるが、経営者には向いとらんよ」
玲子驚く。
台所でお茶を入れてた志保も修一の方を見て驚く。
修一「なぜかと言うと人がいいから非情な決断ができまい?」「こいつは店の為にならんと思ってもよお切らんじゃろ?」
修一「きつい事をゆうが、玲子さんは何回店をやっても失敗するやろね、そういう性格なんよ」
玲子、猛烈に落ち込む。
修一「今さら遅いが商売を始める前に一言ゆうてくれとったら・・・」
愕然と肩を落とし「はーーっ」と深いため息をつき、
玲子「ママとしっくりいかず居心地が悪くて独立を考えてた時に・・・」
お茶を持ってきた志保が片膝をついて、
志保「はい、岩城さん」とテーブルに麦茶を置き、修一が「ありがとう」と礼を言う。
片膝をついた志保の股間に下着が見える絵のアップ。
修一がチラっとそれを見ると志保がそれに気づいて頬を染めて恥らう。
玲子「ママに居抜きで安い掘り出し物があるって教えられて飛びついたのが運のつき・・・」
天井のシーリングライトの絵に玲子の声、
「カウンターに八人座ったら一杯になる小さなバーだけど」
夜。玲子の店の外観の絵に声、
「ママに紹介された女の子とバーテンを雇ってさあ開店と意気込んでたら・・・」
店内で、やくざが八人カウンターに座ってる絵に声、
「開店早々に明らかにその筋の人らが入ってきて席を陣取り」
バーテンと雇った女が、やくざと意味ありげな視線を交わしてる絵に声、
「一本十何万もするボトルを次々抜いたあげくツケにしとけってお金を払わず閉店まで連日ねばるの」
サラリーマン客が店をのぞく。
ヤクザ達が一斉に不気味な目つきで客を睨む。
サラリーマン客が恐れて帰ってゆく絵に玲子の声、
「新規のお客さんはドアを開けた瞬間にあいつらを見て逃げるように帰っちゃうし・・・」
悄然とし、
玲子「開店早々やくざに潰されるなんて情けなくて、もう地上から蒸発したい・・・」
玲子「ママが同情して店を買い取ってあげるって言ってくれてるんだけど・・・」
テーブルに肘をつき、その手で額を支えて打ちひしがれ、
玲子「その金額がタダ同然なのよね、足元を見るにもほどがあるでしょうに・・・」
修一「トータルで店になんぼ突っ込んだん?」
玲子「何十年もかけてこつこつ貯めた八百万と人さらいからぶんどった三千三百とで計四千百万・・・」
天井のシーリングライトの絵に声、
「店の補償金に一千万積んでるから全額溶かした訳じゃないんだけど・・・」
腕組みして黙考する修一を良子と志保が不安そうに見る。
修一「そりゃママにきっちりハメられたのう・・・」
玲子、志保、良子、凝然とする。
つづく
四百字詰原稿用紙換算11枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ちあがるように書いてあります。季節の設定は常に真夏である。
登場人物
須藤良子(12。小6)
170㎝。髪をポニーテールに結んだ目を瞠るような美人。165話から登場。
須藤志保(35)
170㎝。良子の母。目を瞠るような清楚な美人。
玲子(35)
志保の友人。ちょっとくずれた感じの気のよさそうな美人。職業はホステス。修一と同じマンションの二階に住む。
N=ナレーション
快晴。修一宅外観にN『土曜日の午前――』
ドアにフックをかませて全開にしてある絵。
同、室内
上半身裸、トランクス姿の修一、机の椅子に掛けウォークマンの画面をスクロールし曲を探している。
『ローリングストーンズ。スタート・ミー・アップ』と表示した画面のアップに声「今日の朝一発はこれに決定。気分が高揚するけんね」
コードつきのブルーツゥースイヤホンを耳にさそうとした時に玄関から「お兄ちゃん、いるー?」と声がした。
椅子に掛けたまま後ろに反って玄関の方を見て「おお、良子ちゃん、あがりんさい」と言うのを玄関側からの視点で描いた絵。
Tシャツ、尻がはみ出る短パン、スニーカーの良子がドアの方に向かって靴を脱ぎながら「おじゃまします」と言う。
室内に入りかけて流しに朝食後(丸皿、コーヒーカップ、グラス、箸等)の食器が置いたままになってるのを目にする。
水をジャーっと出しながら食器を洗ってる良子を室内から見て、
修一「ああ、すぐ片付けるけん洗わんでもええんよ」
スポンジで食器を洗いながら、
良子「はーい、でもこんなのすぐだから」
椅子に掛けたまま台所の良子を見て、
修一「良子ちゃん、また背が伸びたんとちがう?」
食器を洗い終わり右手で蛇口を閉め左手でポケットからハンカチを出しながら、
良子「一㎝伸びて一七〇㎝になっちゃった」
ハンカチで手を拭きながらこちらにやってきて、
良子「このまえ話した学校の女子トイレで盗撮してたヤツ始末したよ」
ベッドに腰を降ろした良子に、
修一「おお、そりゃお手柄。ミスらにゃええがと心配しちょったんよ」
修一「盗撮されとった子は心に傷をおって対人恐怖症にならにゃええがねえ」
深刻そうに頷き、
良子「わたしもそれが心配なの・・・」N『と、学校であった詳しい経緯を話してくれたが、その中に早苗の名前が出たので驚いた』
良子の短パンの隙間から下着がチラっと見える絵のアップにN『早苗と良子がギクシャクせぬよう、早苗と知り合いである事をいま話しとくべきだと思った』
驚いた風を装い、
修一「なんとゆう偶然じゃろ、その桧垣先生って人、知っちょるよ」
良子「(驚き)えっ、なぜお兄ちゃんが先生を知ってるの?」
修一「実はバイクで走ってたときにーー」
天井のシーリングライトの絵にN『やくざに絡まれてたアベックを通りがかった早苗が助けたのを目撃し、なかよしクラブにスカウトした』『と、余計な部分は、はしょって説明した』
良子「(感心し)へー、先生ってそんなに強かったんだ、おっどろいたー」
良子「あっ、学校の報告と、もう一つ用事があったんだった」
良子「別に頼まれた訳じゃないけど、玲子さんがすごく困ってるから助けてあげて」
修一「どうしたん?嫌な客にストーカーされちょるん?」
立ち上がり、
良子「私が話すより玲子さんから直接聞いた方がいいから一緒に来て」
注、ここから修一はTシャツ、ズボン、スニーカーに着替えてる。
外通路の絵に修一の声、
「じき俺の身長を抜きそうじゃね」
三階の通路を並んで歩きながら不安そうに修一の横顔を見て、
良子「お兄ちゃんより高くなったらイヤ?」
修一「とんでもない。俺は高身長の女が好きじゃけん良子ちゃんに見下ろされたいわ」
良子「(喜色をうかべ)ほんとに!」
階段を降りながら、
良子「ねえ、なぜ高身長の女が好きなの?」
修一「そりゃ手足が長くてスタイルがええからに決まってるやん」
階段を降りる修一の膝から下の絵に彼の声、
「背が高い女は首も指もシュッと長いから、そういう造形美に惹かれるんよね」
修一「背が高い女はそれだけで豪華で見応えがあるわ」
ほっとし、
良子(お兄ちゃんが高身長女が好きだと聞いて安心したよ)
空の絵にプルルルと静かなエンジン音にN『そのころ、某ホテルに向かう早苗――』
ノースリーブと膝丈のスカートでリードに乗る早苗の絵にN『今日は下着のモデルのカメラテストを受けるのでちょっと緊張してる』
スカートの奥に下着が見える絵のアップにN『スタイルには自信あるけどポーズを取る自信がないからだ』『テストに落ちるのは気にならないけどーー』
リードでホテル内の地下駐車場に入ってゆく姿にN『せっかくチャンスを与えてくれた修ちゃんをがっかりさせたくないな・・・』
玲子宅のドアの絵にN『玲子宅――』
注、やつれた玲子と志保が低いテーブルを間に脚を斜めに崩し、向かい合って床に座っている。テーブルの上にグラスに入った麦茶あり。
「玲子さん、お兄ちゃんを連れて来たよー」と声がし、玲子と志保が玄関の方を見る。
良子の後に続き修一が入ってきて「こんにちは」と言ったので玲子と志保が驚く。
修一に会ったときめきに頬を染め、
志保「岩城さんを呼びに行ってたの?」
良子「うん。お兄ちゃんならどんなトラブルでも解決してくれるから」
志保(ほんとだわ、私なんかなんの力にもなれないし最初からそうすべきだった)
床に正坐しながら、
良子「玲子さん、一人で悩んでないでお兄ちゃんに相談して。きっと解決してくれるから」
修一が胡坐をかいて座ると志保が立ちあがって、
志保「岩城さん、冷たい麦茶でいい?」
キッチンに行きかける志保に、
修一「すんません」と軽く会釈する。
無表情で玲子を見て、
修一「この前ぶんどった金で商売始めて全額溶かしてしもたんじゃろ?」
玲子、驚く。
玲子「良子ちゃんから聞いたの?」
修一「良子ちゃんは何も話してくれんかったが察しはつく」
修一「はっきりゆうが玲子さんはチーママには向いてるが、経営者には向いとらんよ」
玲子驚く。
台所でお茶を入れてた志保も修一の方を見て驚く。
修一「なぜかと言うと人がいいから非情な決断ができまい?」「こいつは店の為にならんと思ってもよお切らんじゃろ?」
修一「きつい事をゆうが、玲子さんは何回店をやっても失敗するやろね、そういう性格なんよ」
玲子、猛烈に落ち込む。
修一「今さら遅いが商売を始める前に一言ゆうてくれとったら・・・」
愕然と肩を落とし「はーーっ」と深いため息をつき、
玲子「ママとしっくりいかず居心地が悪くて独立を考えてた時に・・・」
お茶を持ってきた志保が片膝をついて、
志保「はい、岩城さん」とテーブルに麦茶を置き、修一が「ありがとう」と礼を言う。
片膝をついた志保の股間に下着が見える絵のアップ。
修一がチラっとそれを見ると志保がそれに気づいて頬を染めて恥らう。
玲子「ママに居抜きで安い掘り出し物があるって教えられて飛びついたのが運のつき・・・」
天井のシーリングライトの絵に玲子の声、
「カウンターに八人座ったら一杯になる小さなバーだけど」
夜。玲子の店の外観の絵に声、
「ママに紹介された女の子とバーテンを雇ってさあ開店と意気込んでたら・・・」
店内で、やくざが八人カウンターに座ってる絵に声、
「開店早々に明らかにその筋の人らが入ってきて席を陣取り」
バーテンと雇った女が、やくざと意味ありげな視線を交わしてる絵に声、
「一本十何万もするボトルを次々抜いたあげくツケにしとけってお金を払わず閉店まで連日ねばるの」
サラリーマン客が店をのぞく。
ヤクザ達が一斉に不気味な目つきで客を睨む。
サラリーマン客が恐れて帰ってゆく絵に玲子の声、
「新規のお客さんはドアを開けた瞬間にあいつらを見て逃げるように帰っちゃうし・・・」
悄然とし、
玲子「開店早々やくざに潰されるなんて情けなくて、もう地上から蒸発したい・・・」
玲子「ママが同情して店を買い取ってあげるって言ってくれてるんだけど・・・」
テーブルに肘をつき、その手で額を支えて打ちひしがれ、
玲子「その金額がタダ同然なのよね、足元を見るにもほどがあるでしょうに・・・」
修一「トータルで店になんぼ突っ込んだん?」
玲子「何十年もかけてこつこつ貯めた八百万と人さらいからぶんどった三千三百とで計四千百万・・・」
天井のシーリングライトの絵に声、
「店の補償金に一千万積んでるから全額溶かした訳じゃないんだけど・・・」
腕組みして黙考する修一を良子と志保が不安そうに見る。
修一「そりゃママにきっちりハメられたのう・・・」
玲子、志保、良子、凝然とする。
つづく