量子コンピューティング技術を活用し、半導体材料探索時間を大幅短縮
Monoist より 220217
量子コンピューティングは製造業でも活用進む、その可能性と現実
昭和電工は2022年2月10日、量子コンピューティング技術を活用し、半導体材料の最適配合探索時間の大幅な短縮化を実証したと発表した。従来の数十年以上から、数十秒に高速化できることを確認した。
半導体材料は、多くの材料をさまざまな比率で配合することで、高性能化を図る。その組み合わせは膨大で、これまで同社が用いていたAI(人工知能)技術による探索では、最適解を得るために数十年以上の期間が必要だった。そのため、理論上の一部の組み合わせのみ抽出し、最適配合の組み合わせを探索せざるを得なかった。
同社は今回、富士通の量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」に着目。この技術は、計算量が大きくなる組み合わせの最適化問題に特化した情報処理技術だ。
デジタルアニーラでは、統計力学の解析手法となる、イジングモデルの入力が必要とされる。そのため同社では、材料の配合条件から半導体材料の特性を予測するAIモデルを独自開発し、それをイジングモデルで表現することに成功した。
このAIモデルとデジタルアニーラを連携させることで、半導体材料の最適配合探索時間を高速化。従来のAIモデルによる探索時と比較して、探索時間を約72万分の1となる数十秒に短縮できた。加えて、半導体材料としての性能を約30%高める配合も可能になった。
同社は今後、この成果をさまざまな素材開発に応用し、開発を加速させるとしている。