90歳までピンピン! 崑ちゃん流、若さをキープする5つの健康法
青春 onlain より 220205 大村崑
人生100年時代を迎え、多くの方は最後まで「元気ハツラツ!」に生き抜きたいと望むはずです。しかし、健康的で充実した毎日をいつまでも送るのは、そう簡単なことではありません。「元気ハツラツ!」でおなじみの大村崑さんは「90歳を迎える今が、人生で一番健康!」と話します。なぜ90歳の今が一番元気なのか、体だけでなく心も元気な秘密はどこにあるのか、その健康法について教えていただきました。
⚫︎崑ちゃん流「健康法」教えます!
筋トレを始めて、成果が実感できるようになったら、欲が出てきました。ジムに通う以外にも、健康のため、若さを保つために家でもいろいろなことがやりたくなったのです。
そこで、本などで勉強して、ぼくなりのエクササイズや健康法を考え、実践しています。これはもう、「ぼくなり」の健康法なので、合う合わないがあると思います。「そんなんずっとやってるわ!」って人もいるかもしれません。
でも、自分の体のことを考えて新しいことを始めるって、意外に楽しいもんです。おもろいと思ったもの、自分に合うものを見つけられたら、ぜひやってみてください。
⚫︎朝起きたら、まずお風呂で発声練習
毎朝、起きたら、体をシャキッとさせたくて、一番に風呂に入ります。風呂に入ってまずやるのが、シャワーを浴びながらの発声練習。いくつになっても、ハリのある若々しい声でおしゃべりしたいのです。
声も年齢とともに老けます。声帯という筋肉も、ほったらかしにしていたら、衰えるばかりで、すぐに年寄りっぽい弱々しい声になってしまいます。そんな弱々しい声で演技をしてみなはれ、見ているお客さんかて、なんや気が滅入ってきて、ロクに笑えへんでしょ。
そうならないように、毎日、発声練習をして声帯の筋肉を鍛えているというわけです。
風呂場は湿度が高いので、喉を使う発声練習にはもってこい。シャワーで口を湿らせておいて、アエイオウー、アエイオウー、アエイオウー、とくりかえします。喉の奥から声を出すのがポイントです。
発声練習のおかげか、電話の声も「若々しくて、90歳とはとても思えない」などとほめられたりします。
それに発声練習は、喉の筋肉の筋トレ。鍛錬を続けることで、きっと誤嚥の予防にもなると信じています。
⚫︎1年365日、毎日「ブロッコリー」生活
ブロッコリーは筋トレをしている人間の間では、鶏の胸肉と並んで大人気の食品です。ぼくも毎日1房ずつ食べつづけています。
ライザップで教えてもらったのですが、ブロッコリーはまさに栄養の宝庫だそうです。とくに多いのがビタミンC。その量は100グラムあたりのブロッコリーで、レモンの約5倍以上!
ほかにもビタミンE、葉酸、カリウム、カロテン、クロム、食物繊維など多種多様な栄養素が含まれているそうですが、なんと言っても驚くべきは筋肉が大きくなるのに欠かせない「たんぱく質」の量。100グラムあたりの含有量が4・3グラムにもおよびます。
これは、ニンジンやキャベツ、タマネギなどのおなじみの野菜の、約4~5倍もの量になるそうです。筋肉を増やしたい人間にはたまらん食材。ブロッコリーさまさまです。
しかも、糖質はニンジンの半分以下、ジャガイモの10分の1以下。筋肉を育てるのに不可欠なたんぱく質を多く含み、糖質は少なくて、低カロリーのブロッコリー。筋トレをしている人たちが競って食べるのもうなずけます。
うちではアマニ油をかけてレモンを搾しぼったり、明太マヨネーズをかけたり、と目先を変えることで、毎回おいしく食べています。
ブロッコリーのいいところは、60回は噛まないと、なかなか飲み込めないところ。しっかり噛むことで、顔の筋トレもできている気がしてます。
あるとき医者から、よく噛んで食べものを小さく噛み砕いてから飲み込めば、胃腸への負担も小さくてすみ、長生きできる、と聞いたことがあり、ブロッコリー以外の食べものも基本的には、ひとくちにつき30回以上よくよく噛んで食べているぼくです。
食事でほかに気をつけているのは、炭水化物をとりすぎないようにすること。
でも、まったくとらないというわけではなく、ごはんもパンも食べています。おいしいですもん。ただし、食べるのは午前中だけ。寝るまえの夕食では、口にしまへん。ごはん抜き、パン抜きの夕食にもすぐに慣れました。腹八分が守れて快調でっせ。
⚫︎伸ばして、縮めて……足指ゴルフボールで転倒しらず
ダイニングテーブルの下のぼくの足元には、いつもゴルフボールが4つも5つも転がっています。ごはんやおやつを食べながら、食後に瑤子さんとおしゃべりしながら、あるいはテレビを見ながら、ゴルフボールを5本の足指でつかんでギューッと握るのを習慣にしています。これも、ぼくなりの健康法のひとつです。
ゴルフボールはけっこう滑ります。そやから、最初のうちは往生しました。やっとつかめたと思っても、すぐに落ちてしまって、握れまへんのや。
どうやら、ぼくの足指の筋肉はよほど弱っていたらしいですな。
ぼくたち現代人は、1日に何時間も靴を履いてすごしているために、足の指は縮こまりっぱなしで、足指の筋肉は衰えるばかりだそうです。
いろいろな本によると、足指の筋肉が弱っていては、大地をしっかりと踏みしめて歩くこともできないし、よく言われる、かかとから着地して、つま先で蹴り上げる「正しい歩き方」もむずかしいらしい。ペタペタ歩きになって転倒しやすくもなるそうです。
そこで、足指の筋肉の鍛錬のために、食事の時間やテレビを見る時間などを利用して、テーブルの下のゴルフボールを足の指で握るようになったというわけです。
今では足指でゴルフボールをギュッと握って、持ち上げることもできるようになりました。足指に筋肉がしっかりついてきた証拠ですな。そうしたら、うれしいことに、蹲踞をするのがラクになったのです。しかも、足のむくみがかなり改善された。足の指を動かすことで、滞っていた血液が流れるようになったためかもしれません。
妻の瑤子さんは足の指を使って、「グーチョキパー」ができます。足の指の筋肉が発達していて、よく動くんですな。ぼくもゴルフボールのエクササイズで早いとこ、瑤子さんに追いつきたいもんです。
⚫︎「医者はふたり以上持て」が、ぼくのモットー
セカンドオピニオンという言葉が広く言われるようになるまえから、ぼくは「医者はふたり以上持て」と言っていました。実際、ぼくには東京と大阪にひとりずつ主治医がいます。
ひとりきりしかいない場合には、その医者が黒と言えば、黒でいくしかない。選択肢がないわけです。が、ふたりいれば、選択肢が広がります。
たとえば、ふたりの医者がともにAという薬をすすめたら、ぼくはAを飲むことにします。ひとりがAを、もうひとりがBをすすめたら? その場合には、資料や関連する本を読んでから自分で考えて、自分で決めます。
最後に決めるのは、自分。そして、決めるためには、素人なりに勉強もしなければあきまへん。面倒だと思うかもしれませんが、これも大切な自分の体を守るため。
薬についても、ぼくなりのやり方があります。市販の薬を使うときには、ぼくは能書(添付文書)のなかの[注意]から先に読みます。これを読まないで、[効能・効果]だけを読んで薬を飲む人もいるようですが、怖いやん。
[注意]にはたとえば、「緑内障、前立腺肥大、排尿困難のある人は医者に相談してください」と書かれていたりします。それに気づかずに前立腺肥大の人などが薬を飲めば、重大な副作用が現れる危険性もあります。
ところが、この[注意]の多くは小さな細い字で書かれています。そこで、読みとばさないように、かならず[注意]を先に読むようにしているのです。能書の小さな細い文字は、虫メガネを使ってでも読む。これもぼくのモットーです。
⚫︎どんな日でも、ユーモアを忘れない
笑いを仕事にしてきたぼくは、「笑いは幸せの入口」だと思っています。
寂しかったり悲しかったりしても、笑えば楽しくなります。家に笑い声が響くと、それだけでも幸せな気分になれる。それに、夫婦喧嘩を防ぐには、笑いが一番。雲行きが怪しくなったら、どちらかが笑わせる。笑っていると喧嘩するのがアホらしくなります。
ぼくは残された人生を、1日でも2日でも楽しい日を多いものにしたい。だから、1日最低でも1回は瑤子さんを笑わせています。大笑いでなくても、小さな笑いでも手数多くくりだせば、楽しくなれますし、相手も笑いで返してくれれば最高です。
笑いのジャブをいくつもくりだしているうちに、アッパーカットが当たって、大笑いになることもあります。
ダジャレでもモノマネでもなんでもOK。その日、見たり、聞いたりしたことにひと工夫、ひとひねりを加えて、笑いをつくり出しています。
ダジャレひとつひねり出すのにも、ときには脳をフル回転させます。そやから、人を笑わせる努力は、すぐれた「脳トレ」にもなります。喜劇役者のぼくが言うんやから、間違いおまへん。
⚫︎PROFILE 大村崑 1931年11月1日生まれ。兵庫県生まれ。
キャバレーのボーイから司会、そしてコメディアンへと転身。昭和30年代、黎明期のテレビ軽演劇『やりくりアパート』『番頭はんと丁稚どん』『とんま天狗』に出演し一世を風靡する。大塚製薬オロナミンCのCMで子どもから大人まで幅広い層に好かれる国民的タレントとしての地位を確立。現在は講演活動で全国を駆け回りながら、映画にも出演。精力的に活動を続けている。著書に『崑ちゃん ボクの昭和青春譜』(文藝春秋)などがある。