「太陽エネルギー再現」へ、核融合炉の組み立て開始 仏
AFP bb news 200731
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【AFP=時事】フランスで今週、核融合を実証するために設計された巨大な実験装置の組み立て作業が始まった。正式な認可を受けてから14年後の組み立て開始だ。核融合は太陽の光や熱を生み出す反応で、地球上でも安全かつ存続可能なエネルギー源となる可能性がある。
国際熱核融合実験炉として知られる実験装置の建設地で、仏南部にある小さなコミューン(自治体)のサンポールレデュランスには、ここ数か月の間に世界中から装置の構成部品が集まってきていた。科学者チームは今後、「世界最大のパズル」と表現されるITERの実験装置を完成させるための組み立て作業を慎重に進めることになる。
この実験施設の目的は、核融合エネルギーを持続的かつ安全に商業規模で生成できることの実証だ。最初の実験は2025年12月に開始される予定となっている。核融合とは、太陽や他の恒星のエネルギー源で、軽い原子核同士が融合してより重い原子核に変わる際に膨大なエネルギーが放出される現象を指す。
課題はこのエネルギーから電力を取り出す装置の構築だ。装置は、核融合反応器内の適切な位置に設置し、強力な磁場で制御する必要がある。
■低リスク
ITER計画は2006年、米国、ロシア、中国、英国、スイス、インド、日本、韓国、27の欧州連合加盟国の35か国が共同で立ち上げた。
ITERの国際研究チームは、「核融合は安全で、燃料の量が極めて少なく、(従来型の原子力発電所のような)炉心溶融(メルトダウン)による暴走事故の物理的な可能性がない」としている。
さらなる利点は、核融合反応の燃料である重水素と反応制御で必要なリチウムが豊富に存在していることだ。これらは、この先何百万年も供給可能と考えられており、国際チームは、「パイナップル1個分くらいの量の核融合燃料は、石炭1万トンに相当する」と説明している。
ITERの「トカマク型」核融合炉には、全部で約100万個の構成部品が必要となる。その一つは非常に強力な超電導磁石で、4階建てビルほどの高さがあり、1個の重量が360トンにも上る。
■「立体パズル」
この巨大装置を組み立てるため、現場では約2300人が作業に当たっている。
反応炉が完成すれば、恒星中心部で起こる核融合反応が再現でき、その温度は約1億5000万度に達すると考えられる。これは太陽核の温度を約10倍上回る数値だ。
装置は2035年までに本格稼働できる可能性がある。ただ、あくまで実験計画であるため、電力を生産するようには設計されていない。核融合発電技術が実現可能であると証明されれば、それぞれの核融合炉は従来型原子炉と同等の運用コストで約200万戸にエネルギーを供給できるようになると推算されている。
だが、このような「人工の太陽」に対しては、莫大(ばくだい)に費用がかさむ科学の妄想だとして環境保護論者らから批判の声が上がっている。
事実、ITER計画は予定より5年遅れており、総費用もすでに当初予算の3倍となる約200億ユーロ(約2兆5000億円)にまで膨らんでいるとされる。 【翻訳編集】AFPBB News
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