サハラ砂漠が緑化すると地球環境はどのように変化するのか?
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深刻化する環境問題の1つとして、アフリカ大陸などで見られる急激な砂漠化が挙げられます。では、もしも巨大なサハラ砂漠などを緑豊かな土地に変えた場合、世界にはどのような影響があるのでしょうか?
*Category: Technology|*Source:What If,wikipedia
⚫︎砂漠を農地に変える方法とは?
地球の人口は現在もなお増加しています。しかしそれに伴い、農地不足による食糧不足の問題も起きています。その問題を解決する1つの手段として、地球上の全ての土地の3分の1を占めている、不毛な砂漠を農地に変えるという考え方があります。
砂漠では、蒸気と蒸散により、植物の栽培が困難です。しかし、現在の技術では、砂漠を農地に替えることは不可能ではありません。
砂漠を農地に変える為には、土地の保水力を高める必要があります。その課題は、ごく少量の粘土を土壌に混ぜる事で解決できます。粘土は非常に小さな粒子で、この粘土の層が砂の粒子の一つひとつを取り囲んでいれば、水と栄養分を定着させることができるのです。
アラブ首長国連邦の実験では、この方法で水の使用料を47%削減して、たった40日間で不毛な土地からスイカを育てる事ができました。
しかし、粘土を土壌に混ぜて植物を育てることは簡単ではありません。もしかすると、地下の生態系を乱す可能性や、地表表面の水分を弾いてしまうかもしれません。
砂漠で植物を育てる為には、水のように粘土を植物の根まで行き渡らせる必要があります。これが成功すれば、通常の砂漠の砂より多くの水を含んだ砂になり、砂漠全体が高収量の健康な土壌に生まれ変わるのです。
砂漠すべてを緑地化すると地球の環境はどうなるのか?
砂漠を緑豊かな土地に変える為には、多くの水が必要です。地球上のすべての砂漠を緑地化する為には、約6.7兆リットルの水が必要になります。これは、北米最大の五大湖であるスペリオル湖の水量の約半分に相当します。
また、全ての砂漠に水を撒く為には、世界のGDPの4倍に相当する336兆ドルもの費用も発生します。そして、これを5年ごとに繰り返す必要があるのです。とても現実的とは言えません。
もし仮に実現できたらどうでしょうか?地球上の全ての砂漠が植物を育てられる土地になると、砂漠の周辺にある農場や村で、より多くの食料を育て、生活を豊かにすることができるようになります。また、砂や埃の嵐で道路や鉄道がストップすることもありません。
しかし、それでも意外なデメリットがあります。それは、アマゾンの熱帯雨林をすべて失ってしまうかもしれないという事です。
地球上で最も暑い砂漠であるサハラ砂漠の砂は、風に乗って大西洋を渡り、南米までやってきます。そして、その砂には水分が含まれており、それが雨となってアマゾンに降り注ぎます。
つまり、砂漠の砂はアマゾンにとっては重要な存在なのです。そのため、砂漠を完全に緑化してしまうと、このサイクルが阻害され、アマゾンの熱帯雨林が失われる可能性があります。
アマゾンには、多くの二酸化炭素を吸収することで、気候変動に対抗するという大きな役割もあります。これがなくなれば、地球上の環境バランスが崩れ、気候にも悪影響を出すかもしれません。
砂漠を農地に変えるという技術は、地球上で最も過酷な環境に持続可能な農業成長をもたらす事が出来ます。しかし、ある場所での一歩一歩の前進は、アマゾンのように他の場所での犠牲を伴うこともあるのです。