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多極集中型の日本が強い。 2万通りのAIシミュレーションで分かった、2050年幸せな未来 202311

2023-11-17 22:33:00 | なるほど  ふぅ〜ん

多極集中型の日本が強い。 2万通りのAIシミュレーションで分かった、2050年幸せな未来
  Forbes JAPAN | magazine  より 231117


 AI の未来シミュレーションの研究で、都市集中のリスクと地方分散の「正しさ」が明らかになってきた。仕事も人生も、一点集中から分散型に進むべきだというのだ。なぜ今、日本人は地方に向かうべきなのか。京都大学人と社会の未来研究院の広井良典教授教授に伺った。

──2017年に日立コンサルティングと共同でAIを使った日本の未来のシミュレーションを始められました。どのような経緯で始まったのでしょうか。

 広井良典教授(以下、広井):2016年に京都大学に日立京大ラボができました。AIの専門家など日立の技術者が京大キャンパスに常駐し文理融合の新たな社会イノベーションを共同研究するという取り組みで、そこから、AIによる日本の未来をシミュレーションする研究が始まりました。


「2050年に日本は持続可能か」という大きな問いをたてて、人口減少も進むなかで、日本社会が持続可能であるためには何が重要かというのを、AIを使って手がかりを探ってみました。

 まず、日本社会の現在、そして未来にとって重要と思われる、人口とか経済とかエネルギーとか環境などの領域から約150の社会的要因を抽出し、因果連関モデルというものをつくりました。イメージで言えば、多くの要因が互いに影響を及ぼしながら、時間の流れとともに進化して、未来がパラレルワールドのように枝分かれしていく、その2万通りの未来を出して、分析するというものです。

 結論から言いますと、日本社会の未来にとって、都市集中型か、地方分散型かというのが最も本質的な分岐点になるということがわかりました。経済だけでなく格差、健康、幸福度などを考えると、一極集中を緩和し、人口減少が改善する地方分散型のパフォーマンスが高かったのです。その分岐は25年から27年ぐらいに起きることになります。

 さらに、地方分散型の社会になるために必要な要因を分析してみると、再生エネルギーや環境、地域公共交通、コミュニティの文化といったものが上位に出ていました。

──その後、新型コロナウイルスの感染拡大を経て、新しいバージョンも公表されました。

広井:21年の2月に公表した研究では、さらに進んで「包括的な分散型社会」が重要である、という分析結果になりました。

 最初のシミュレーションの「分散型」とは、東京と地方といった、空間的な意味の集中分散であったのに対して、2回目のポストコロナで出たものは、より広い意味の分散型です。

 特に強い要因として出たのが、女性の賃金上昇や女性の働く環境、といった女性活躍の要素です。テレワークやサテライトオフィスなど、コロナで新しく伸びてきた、働き方や住まい方、ひいては生き方のより広い意味での分散も強い要素として出ていました。まさに多様性が重要であるという結果です。

 最終的に、単純な地方分散型というよりも、東京のような大都市圏も地方もウィンウィンの関係の都市地方共存型が望ましいという結果も得られました。しかも、都市と地方がうまくつながることで農業も活性化するという内容でした。



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望ましい「多極集中型社会」
──そもそも、なぜ地方分散型が日本にとっていい未来なのでしょうか。どのように解釈できますか。

広井:いろいろな要因があると思いますが、わかりやすい例としては、47都道府県のなかで東京の出生率いちばん低くて、少子化が最も顕著です。
 東京に人口集中が進めば進むほど、日本全体の出生率が下がり、人口減少がさらに加速していく。人口減少は経済を含めあらゆる領域にマイナスの影響を及ぼします。そういう意味で、地方分散型が望ましいという結果が出たひとつの大きな要因は、人口減少を緩和するという点があったかと思います。

 それから、私の解釈を入れた理解ですが、これからの日本は「新分散型社会」が望ましくなると思っています。
 新分散型社会とは、経済構造の面からも、分散型の構造になっていかざるをえない。これから重要になってくる4つの経済分野、つまり「デジタル」「医療・介護」「再生可能エネルギー」、そして農業を含む「食糧安全保障」ですが、これらの性質が分散的であることを見れば、明らかです。

 AIで出てきたのは、単純な集中か分散かの二者択一ではなく、大きくは分散だけど、集中の要素が一定程度含まれているような姿です。
 私はそれを「多極集中」と呼んでいますが、日本に限らず、極がたくさんあって、それぞれの極はある程度集約的な構造になっている、集中と分散がうまく組み合わさった姿のパフォーマンスが高いものとなっています。

──日本の現状の方向性について、どのように見ていますか。

広井:まず、現状は一極集中かというと、必ずしもそうではありません。
 日本では、札幌、仙台、広島、福岡の人口増加率は近年首都圏並みかそれを上回るぐらいで、同時に地価の上昇率も高い。ですから、今進んでいるのは決して一極集中ではなくて、「少極集中」と言えるようなものでしょう。
 これからの望ましい方向としては、少極集中をさらに、多極集中と言えるような姿にしていくことです。これまでは「一極集中か多極分散か」という議論がありましたが、多極分散だと、今のような人口減少の時代には、低密度になりすぎて、財政的な効率性を考えても成り立たない。だから、多極化しつつ、ある程度集中しているような多極集中なのです。地方都市でいえば、20万~30万人かそれ以下でも十分賑わいがあるような姿です。

──小規模地方都市や第一次産業を再興し、多極集中型にできるでしょうか。

広井:そういう方向の芽は、今色々なかたちで出始めていると感じます。
 08年をピークに人口減少社会になりましたが、人口が増加していった時代は、良くも悪くもすべてが東京に向かって集中していった時代でした。
 人口増加とともに人口は大都市圏に流れ込みました。今は人口減少の時代ですから、これまでとは逆の分散に向かうベクトルが強くなっていくのではないでしょうか。 

──人々の人生も分散化が進んでいくということでしょうか。

広井:どこで暮らして、仕事をして、どんな生き方が自分にとって望ましいと考えるのか。
 働き方、生き方、住まい方というのは、つまり幸福そのものとも言えるでしょう。働き方、生き方、住まい方の分散型というAIのシミュレーションから出てきた方向性が、これからの時代、コロナの後の幸福のあり方と重なっていると感じます。

 人口増加の時代は、集団で1本の道を上る昭和的なイメージでした。経済成長という目標がはっきりしていて、画一的であることがよかった。それが、山頂まで至ると、つまりある程度成熟した社会になると、視界が360度開けてきます。

 それぞれが自分の人生をデザインして、自分が望ましいと思う方向に、より自由度の高いかたちで歩んでいく。それが経済活力にとっても、サステナビリティにとっても、ウェルビーイングにとっても望ましい姿になるのではないでしょうか。分散とは多様性です。多様な土壌、環境からこそ、イノベーションも生まれてくるでしょう。 

⚫︎地域や農業を再興する新しい事業
 日本農業
大学在学中に大西千晶が設立。有機農業を営み、六次産業で「たんとスープ」を展開。持続可能な食料システムの提案や、農の関係人口増加にも取り組む。オーガニックビレッジも企画。
 千葉エコ・エネルギー
千葉大学発の環境・エネルギー系ベンチャー企業で、代表取締役は馬上丈司。水田などの営農地の上で太陽光発電を行うソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に取り組む。


▶︎ひろい・よしのり◎1986年、東京大学大学院修士課程修了。
厚生省、MIT客員研究員、千葉大学法経学部教授を経て、2016年より現職。専門は公共政策と科学哲学。著書に『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、大佛次郎論壇賞受賞)、『日本の社会保障』(岩波新書、エコノミスト賞受賞)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など。

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