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🔯なぜ人は「占い」を信じるのか…?「脳神経学」「遺伝学」「心理学」の研究でわかったこと 220313

2022-03-13 21:58:00 | なるほど  ふぅ〜ん

なぜ人は「占い」を信じるのか…?「脳神経学」「遺伝学」「心理学」の研究でわかったこと
  現代ビジネス 週刊現代 より 220313


「幸運の女神には前髪しかない」とは古代ギリシャの格言だ。出逢った時に躊躇したら女神は二度と捕まえられない。自分の運命も同じなのだろうか?最新科学から解き明かす、運と心の関係とは。

⚫︎本当に自分の判断か?
 前回紹介した『最強の戦国武将が「強運を引き寄せる」ためにやっていた、意外なこと』と『「強運」に恵まれている人は「占い」をこう使う…著名人に聞いた「幸せの引き寄せ方」』では、これまで運命を司るとされてきた占星術や風水など、伝統的な思想の理論を紹介した。

こうした考えは、実は現代社会にも意外な影響を与えている。

「中華圏では現在でも風水のしきたりが信じられており、香港では、どの企業のオフィスも気の流れを意識してデザインされています。経営者が風水について専門的に学んでいなくとも関係ありません。そういうことを会社が大事にすることで社員が安心するのです」(財閥系金融EBSI高級副総裁・大村良幸氏)

 そうした風水信仰の象徴が、英国人建築家のサー・ノーマン・フォスターが設計し、ハイテク建築として世界的に名高いHSBC(香港上海銀行)本社ビルだった。ところが最高の“気”を受けていた同社の風水が、'03年を境に変わり、それと時を同じくして同社の業績も下降線をたどるようになったのだという。

「きっかけはMTRC、サンフンカイといった企業によってIFC(国際金融センター)が建設されたことにあります。この建物ができたことにより、最高の龍穴上にあったHSBCの風水環境が変わってしまったのです」(香港在住風水マスター・孟意堂久美子氏)

 HSBCと埋立地に突如登場したIFCの“風水戦争”は、香港資本と中国資本によるつばぜり合いの象徴と見られ、市民の間で有名になっている。
 その後、香港の民主化運動は中国政府によって弾圧され、独立自治は難しくなった。香港の象徴だったHSBCビルから運気が去ったことは、人々に微妙な心理的変化を与えているのだ。

 私たちの周囲では、人知を超えた不思議なことがたびたび起こる。どこに生まれ、どの言語を話し、誰と結婚をしてどんな子を授かるのか。仕事の成功や貧富の差といった人間の生涯にまつわることは、すべて「自己責任」なのだろうか?
 そうした疑問を最新の脳神経学と遺伝学から検証した書籍が、昨年、発刊された。ケンブリッジ大学研究員、ハナー・クリッチロウ氏による『「運命」と「選択」の科学(原題「TheScienceofFate」)』だ。同氏はこう語る。

「私たち人類は誕生以来、何に、あるいは誰に運命を握られているのかを解き明かそうとしてきました。運命や宿命とは、古代ギリシャでは人知を超えた“全能の力”によって操られるものであり、中世には神が一人一人の行く末を最終的に審判する存在でした。

 しかし、産業革命を経て、宗教と距離を置くようになった現代社会では、多くの人が自分の人生は自分が決める、と思うようになっています。

 私自身、脳の研究を始めるまでは、運命的な出来事を信じるタイプか、それは単なる偶然であると一蹴するタイプかと問われたら、完全に後者だったと言えます。

ところが脳神経学や遺伝学を学んでいくうちに、ことはそう単純でないとわかってきたのです」

⚫︎巡り合わせを研究する
 クリッチロウ氏が驚いたのは、自分の意思で選んだと思っていた多くの出来事に進化や遺伝といった生物学的特性が潜んでいることだった。

「たとえば誰かと恋に落ち、相手の子供を作りたいと願ったとします。それは100%自分が選んだことに思えますね。

 ですがこうした恋愛行動を生物学的に検証したところ、私たちは自分にとって“魅力的な体臭”がする人を無意識に恋人として選んでいることがわかってきました。

 しかもその匂いとは、自分とは異なった免疫システムを持つ相手を識別するものだったのです」

 二人の間に生まれた子供は両親から異なる免疫を受け継ぐことで、遺伝的にはるかに強くなり、生存可能性が高くなる。

「近年は人がどんな政治的イデオロギーを選択するかにも遺伝が関係すると考えられています。それどころか、童貞を失う年齢にまつわる遺伝子までが特定されているのです。こうした事例を知るにつれ、私は人間が自由意志であらゆる物事を選択しているとは到底思えなくなりました。

 今では私は『運命』を信じています。それは生物学的制約を意味する言葉であり、運命を変えるのは容易なことではないというのが私の意見です」

 生物としてあらかじめ定められた道筋こそが「運命」。だから変えられない。果たしてそうか。

 人間の意識の流れを研究することで発展してきた心理学の観点からも見てみよう。

 明治大学教授の諸富祥彦氏が言う。
「心理カウンセリングや心理療法の起源は、いわゆる17〜18世紀の悪魔祓い(エクソシズム)です。その後、エネルギー療法や催眠術が試みられるようになり、精神分析が生まれます。これらはすべて一続きであり、怪しい要素を排除していった結果、心理療法になっていったのです。

 現代では、風水や占星術など、いわゆる占い的なものの心理学化が進んでいると思います。占いに頼る人は何らかの悩みを抱えている場合が多い。私は心理カウンセラーですが、私のところに相談に来る方も似ています」

 諸富氏によれば,心理学の分野では,運命は重要な研究テーマの一つとされてきたという。

 分析心理学の創始者,ユングが唱えた心理学の基本概念に「コンステレーション」がある。諸富氏が続ける。
「これは、バラバラに思える出来事が、実は相互に関わり意味をなすことを指しているのです。

 コンステレーションは“人生における巡り合わせ”と言ってもいいでしょう。その人にどういう巡り合わせが起きているのかを探るのがカウンセリングであり、ユング心理学を大事にしている我々にとって、『運命』は、まさにど真ん中の研究テーマなのです」

 心理学では、人間の意識は、運命を変える可能性を秘めていると考える研究者が少なくない。
「わかりやすい例を挙げます。『自分に悪い運気のようなものがついているな』と感じた時に神社に行き、厄祓いしてもらいますね。それは一種の心理療法と言えます。

 なぜなら、お祓いという行為を受けることで、自分の心の中に貼り付いていた悪いものと“距離を取る”という感覚が生まれ、心を整えることができる。これは心理学的に『クリアリング・ア・スペース(空間づくり)』といい、ストレスマネジメントの一例として知られています」(諸富氏)

 認知心理学を専門とする大阪市立大学教授の山祐嗣氏は、運命を切り開く精神的要素として、近年、脚光を浴びている「レジリエンス」という概念を挙げる。

「これは、『困難に直面しても未来への明るい展望を持ち続けられる能力』を意味します。たとえば大災害に遭ってもPTSDが重症化しない、幼少期に虐待を受けていてもそのトラウマを引きずらない、といった素質を持つ人がいます。『回復力』とも言い換えられるでしょう」

 レジリエンスの高い人は、その心のあり方によって運命を克服する力が強く、仕事などで失敗してもくじけずチャレンジすることができる。結果として成功を掴み取る可能性が高くなるという。

 その好例が北京オリンピックで銀メダルを獲得した、カーリング女子日本代表「ロコ・ソラーレ」のメンバーだという。彼女たちが五輪の大舞台で結果を残せたひとつの要因としてこのレジリエンスが深く関わっていると専門家はいう。その詳細を後編記事『「心の持ちよう」でこんなに変わる…運のいい人が「絶対にやらない」たった一つのこと』で明かす。

『週刊現代』2022年3月12・19日号より

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