「花粉症」撲滅するなら杉の古木を倒せ！政府の対策「花粉の生成が少ない木を開発して植えます」では解決にならない 202304

大前研一のニュース時評　「花粉症」撲滅するなら杉の古木を倒せ！　政府の対策「花粉の生成が少ない木を開発して植えます」では解決にならない理由

　ZakZak より　230416


山林から舞う杉の花粉。見るだけでゾッとする

　岸田文雄首相は３日の参院決算委員会で、「花粉症は日本の社会問題と言っていい。関係閣僚会議を開催し、情報共有や効果的な対策の組み合わせに取り組む」と語った。

「何をいまさら」と言いたくなるが、ま、国会で首相が「社会問題です」と断言したことは、一歩前進だと思いたい。

　環境省では１０年ごとに鼻アレルギーの調査を行っているが、

１９９８年に１９・６％、

２００８年に２９・８％だった花粉症の有病率は

１９年には４２・５％とどんどん増えている。

　今年の花粉飛散量は「１０年に一度」と言われるほど大量に出ているという。

私も電話していて、「声が変ですね」と言われるから「花粉だよ」と言うと、相手も鼻声で「私もです」と返される。４０％以上も同じ仲間がいるということが実感できる。また、

　私がスノーモービルを楽しむ新潟・津南町なんか、もう空気の色が違うぐらい散っている。スノーモービルを楽しむどころではなくなる。

　今回の岸田首相の発言を受け、これまで厚労省がアレルギー対応の情報提供、環境省が花粉飛散量測定などと各省縦割りで業務していたのを、省庁横断で対策を進めることになったり、かつて自民党議員らが作っていたものの、現在は休眠中の「花粉症等アレルギー症対策議員連盟」（通称ハクション議連）を再始動させようという動きもある。

　しかし、これまでやってきた対策、これから取り組もうという対策を聞いて、私は水をぶっかけたくなった。それほどひどい内容だ。

　その１つが「花粉をあまり出さない少花粉スギを植えましょう」というもの。バカを言っているんじゃない。そんなことをする前に、いま花粉をふりまいている古木を倒せ。

　もう１つ、「ヘリコプターから飛散防止剤をまいて花粉を散らないようにします」というのもあった。これは、ま、妥協しよう。

　戦時中、日本に木材が足りなくなり、スギは一番育ちが早いということで、一生懸命、植えた。戦後の復興期も木材の需要が増えると見込まれ、全国的に植林が進んだ。しかし、日本の木材は競争力がなく、結局、輸入材に押されて、使われなくなった。それが何十年もたって、古木からワーッと花粉が出てきたわけ。

　なのに、いまだに日本は使われていないスギを植えることに補助金を出している。バカとしか言いようがない。そんなカネがあるのだったら、古木を倒すことに使わなければいけないだろう。
　日本は役人が予算をつけるとやめることができない。例えば、日本はクジラを獲って世界中から非難されていたが、これはクジラが食料品として重要だった戦時中からキャッチャーボート（捕鯨船）などに補助金を出していたからだ。それが戦後も長く続いた。補助金が出るからクジラを獲りに行っていたわけ。日本人がクジラを求めているからではない。

　これも同じ問題だ。補助金があるから植林するわけ。切り倒す人が不足しているということなら、そういうことに補助金を使ってほしい。しかし今となっては花粉にまつわる利権団体がどっと増えて、今後もサボタージュがあるだろう。

　例えば、４０％の国民が苦労している花粉症は春先に薬がどっと売れる。テレビなどにもコマーシャルがあふれる。これがなくなることには当然反対の動きが出てくるだろう。

　ある医者が言っていたが「花粉症は治らないし、死ぬことはない。したがって医者は毎年処方箋を出しまくって、最も安全な収益源なんだ！」。利権団体は今や林野庁だけではない、と言うことを知るべきだ。

「花粉の生成が少ない木を開発して植えます」では、花粉症の解決にはならない。

古い木を残していたら何も変わらない。

　対策は１つ。古木を倒すこと。もう例外なく倒す。若干古くなった道路の改修よりもコッチの方が先だ。この問題に妥協の余地はない。岸田さん、利権団体にだまされないように、頼みますよ！

　ビジネス・ブレークスルー（ＢＢＴｃｈ）の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

💋国の予算については、これに限らず、色々と過去の堅持的予算措置が…

　　米の減反政策金とか…