準結晶の合金に磁性発見 田村東京理科大教授(婦中出身)ら世界初 新素材開発の可能性
北日本新聞 より 220124
[研究装置を前に成果を語る田村教授=東京理科大]
東京理科大先進工学部の田村隆治(りゅうじ)教授(富山市婦中地域出身)が責任者を務める国際共同研究チームは、「第3の固体状態」といわれる「準結晶」の構造を持つ合金の一部に、磁石の性質(強磁性)があることを突き止めた。
世界初の発見で、昨年末に米化学会誌で発表し、物性物理研究の大きな前進と評価されている。田村教授は「準結晶の特性の理解が進むだけではなく、新しい金属素材の開発も期待できる」と話している。(楠浩介)
準結晶は特異な構造を持つ固体物質で、1984年に発見された。極めて硬く、熱を伝えにくい性質がある準結晶合金は、医療器具や工業製品にも活用されている。発見以来、磁石の性質がある準結晶があるかどうかは未解明で、長年の課題となっていた。
国際共同研究チームは東京理科大と東北大、豪州の研究機関の計14人で構成。文部科学省の援助を受け、2010年からX線や中性子を用いた解析・研究を進め、二つの合金が強磁性を示すことを明らかにした。
強磁性を持つのは、金とガリウム、レアアース(希土類)のガドリニウムの合金、金とガリウム、レアアースのテルビウムの合金で、いずれも正二十面体対称性を持つ。電子と原子の比率を調整すれば、磁石の性質や熱伝導性、電気抵抗を変えられる可能性がある。
今回の発見は、電気自動車やドローンなどのモーターのほか、磁気冷凍技術に生かせる金属素材の開発につながる可能性がある。
準結晶は特異な構造を持つ固体物質で、1984年に発見された。極めて硬く、熱を伝えにくい性質がある準結晶合金は、医療器具や工業製品にも活用されている。発見以来、磁石の性質がある準結晶があるかどうかは未解明で、長年の課題となっていた。
国際共同研究チームは東京理科大と東北大、豪州の研究機関の計14人で構成。文部科学省の援助を受け、2010年からX線や中性子を用いた解析・研究を進め、二つの合金が強磁性を示すことを明らかにした。
強磁性を持つのは、金とガリウム、レアアース(希土類)のガドリニウムの合金、金とガリウム、レアアースのテルビウムの合金で、いずれも正二十面体対称性を持つ。電子と原子の比率を調整すれば、磁石の性質や熱伝導性、電気抵抗を変えられる可能性がある。
今回の発見は、電気自動車やドローンなどのモーターのほか、磁気冷凍技術に生かせる金属素材の開発につながる可能性がある。
田村教授は「『磁場の影響下では強く磁化され、磁場が存在しない場合は磁力を持たない』という付加価値の高い材料への応用も期待できる。準結晶が磁性材料分野へと進出する第一歩で、無限の可能性がある」と期待している。
■準結晶 固体物質の構造は従来、規則的な「結晶」と、ガラスのような「非結晶(アモルファス)」の2種類しかないとされていた。イスラエルの研究者が1984年に発見した準結晶は、原子や分子、イオンが規則正しく並んでいるにもかかわらず、結晶のような周期性がない特異な構造を持っている。発見した研究者は、2011年にノーベル化学賞を受けている。
■準結晶 固体物質の構造は従来、規則的な「結晶」と、ガラスのような「非結晶(アモルファス)」の2種類しかないとされていた。イスラエルの研究者が1984年に発見した準結晶は、原子や分子、イオンが規則正しく並んでいるにもかかわらず、結晶のような周期性がない特異な構造を持っている。発見した研究者は、2011年にノーベル化学賞を受けている。