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🖥理研らが国産超伝導量子コンピューターの第1号機を稼働開始

2023-03-25 02:53:00 | 気になる モノ・コト

理研らが国産超伝導量子コンピューターの第1号機を稼働開始
 ZDNetより 230325  大河原克行


 理科学研究所(理研)や富士通、NTTなどの共同研究グループは3月24日、開発を進めてきた超伝導量子コンピューターを埼玉県和光市の理化学研究所(和光地区)に整備し、理研がインターネット経由で外部から利用可能な量子計算クラウドサービスを27日に開始すると発表した。
 量子計算などの研究開発の推進や発展を目的とした非商用利用であれば利用申請が可能だという。

 いよいよ国産の超伝導量子コンピューターの第1号機が稼働する。
今回の超伝導量子コンピューターは、64量子ビットの集積回路を採用。
 この成果を基に拡張性の高い集積回路技術の進化に取り組み、今後は100量子ビットや1000量子ビットの量子コンピューターの開発を目指す。

 国産第1号機は、
理研 量子コンピュータ研究センター長の中村泰信氏や、
産業技術総合研究所(産総研) 3D集積システムグループ長の菊地克弥氏、
情報通信研究機構(NICT) 超伝導ICT研究室長の寺井弘高氏、
大阪大学 量子情報•量子生命研究センタ-長の北川勝浩氏および副センタ-長の藤井啓祐氏,
富士通 量子研究所長の佐藤信太郎氏、
NTT コンピュータ&データサイエンス研究所 特別研究員の徳永裕己氏らで
構成する共同研究グループによって開発が進められ、整備された。

 量子コンピューティングは、動作原理の違いによって、量子ゲート方式とイジングマシン方式に分類され、量子ゲート方式では、超伝導、シリコン、イオントラップといったさまざまな方式が提案されている。
 いずれも従来のコンピューターのような汎用処理が可能ながら、古典コンピューターでは解くことができないさまざまな課題への適用が期待されている。だが、どの方式が主流になるのかは見極めがついていない段階だ。

 今回の量子コンピューターで採用されている超伝導方式は、超伝導材料を用いた電子回路上で、「ジョセフソン接合」によるトンネル接合素子を用いて量子ビットを実現する方式となり、今後有力とされる方式の一つ。
 だが、量子ビットの「0と1」を表すエネルギー差のスケールが小さいため、希釈冷凍機の中で極低温(約マイナス273度)まで冷却して、熱雑音を抑えることが必要になる。

 理研では現在、量子コンピュータ研究センター 超伝導量子シミュレーション研究チームでチームリーダーを務める蔡兆申博士が率いる形で、2001年に巨視的量子コヒーレンス研究チームを発足し、量子情報科学に関する研究を開始。
 その後、さまざまな研究者が参画し、2021年には中村泰信博士のもと、量子コンピュータ研究センターへと発展した。

 量子コンピュータ研究センターでは、超伝導方式による量子コンピューターに加えて、
光量子計算研究チーム チームリーダーの古澤明博士らが取り組む光方式、
半導体量子情報デバイス研究チームのチームリーダーの樽茶清悟博士らが取り組む半導体方式の研究も進めているほか、
真空中の原子を用いる方式など、物理系に基づくハードウェア研究を同時並行で進めているところだ。
 また、量子計算理論や量子アルゴリズム、量子アーキテクチャーなどのソフトウェア研究も進めている。

 2021年には、富士通と共同で、量子コンピュータ研究センター内に「理研RQC-富士通連携センター」を設置。
 理研が取り組む超伝導回路を使った量子コンピューターの先端技術と、富士通が保有するコンピューティング技術、顧客視点に基づいた量子技術の応用知見を統合して、2023年度中に産業への適用を目標とする超伝導量子コンピューターの公開に向けた研究開発を進めており、ここで得られた知見が今回の超伝導量子コンピューターにも活用されている。

 今回の超伝導量子コンピューターは、64量子ビットの集積回路を搭載し、「2次元集積回路」と「垂直配線パッケージ」の2つの技術的な特徴を持つという。

 2次元集積回路では、正方形に並べた4個の量子ビットが、隣り合う量子ビットをつなぐ量子ビット間結合により接続される。正方形の中に読み出し共振器や多重読み出し用フィルター回路などを配置する。
 4つの量子ビットで構成する基本ユニットは、正方形の四隅に量子ビットが並び、中央に読み出し回路を配置。この基本ユニットを2次元に16個並べることで、量子ビット集積回路を作ることができる。

 また、個々の量子ビットに対する制御や読み出し用の配線の取り回しも工夫したという。
量子ビットと同じ平面上で配線を行う場合には、チップ内に並ぶ量子ビットの数に対して、配線を外部へ取り出すための辺の長さが不足してしまうものの、今回の集積回路では、2次元平面に配置された量子ビットへの配線をチップに対して、垂直に結合させる垂直配線パッケージ方式を採用。さらに、量子ビット集積回路チップへの配線を一括で接続できる配線パッケージも開発したという。
 具体的には、量子ビットに対する制御・読み出し用配線が信号用コンタクトプローブを介して、チップに対して垂直に接続され、この配線を通してマイクロ波信号が送受信される。

 今回の64量子ビット集積回路は、16個の機能単位から構成され、2センチ角のシリコンチップ上に形成しているが、今回の2次元集積回路と垂直配線パッケージを活用することで、容易に量子ビット数を増やすことができ、今後の大規模化においても基本設計を変えることなく対応できるという。

 量子ビットを制御するための信号には、マイクロ波の周波数(8~9GHz)で振動する電圧パルスを用いる。だが、量子ビットごとに異なる周波数のマイクロ波が必要になるため、共同研究グループは、高精度で位相の安定したマイクロ波パルス生成が可能な制御装置と、これを用いて量子ビットを制御するソフトウェアを開発したという。

 マイクロ波信号の発振器や受信機で構成された量子ビット制御装置は、今回の64量子ビット量子コンピューターでは、制御と読み出しのために入力配線を96本、出力配線を16本用いて量子計算を行うことになる。

 さらに、中央の円筒型磁気シールド内に、64量子ビット集積回路チップを入れ、制御配線および読み出し配線を接続する。
 運用時にはチップ周辺を約10mK(約マイナス273度)まで冷却する必要があり、全体を真空断熱容器の内部に収め、希釈冷凍機で冷却する方式とした。

 一方、今回の64量子ビットの超伝導量子コンピューターは、どこからでも利用できるよう量子計算クラウドサービスとして提供される。
 利用者は、理研の外にあるクラウドサーバーに接続することで、超伝導量子コンピューターへジョブを送信したり、計算結果を受信したりできる。

 サービスは、量子計算などの研究開発の推進、発展を目的とした非商用であれば、研究者や技術者が利用申請できるが、当面は、理研との共同研究契約を通じての利用手続きになり、共同研究の目的に合致した用途に限定される。

 量子計算クラウドサービスによって、量子ソフトウェア開発者や量子計算研究者、企業開発者との協力を深め、量子コンピューターの研究開発を一層加速させるのが狙いだ。
 国内の量子情報研究に関わる人材の育成だけでなく、情報技術分野を基幹とした国内産業の発展にも貢献できるとしている。

 共同研究チームは,今後も拡張性の高い集積回路を主要技術に位置付け,100量子ビットや1000量子ビットといった,次のマイルストーンに向けた取り組みを加速する姿勢を見せる。
 今回の集積回路に採用した技術を活用し、4量子ビットで構成される基本ユニットを平面上に周期的に並べることで、集積化された量子ビットの数を増やすことができる。例えば、今回の64量子ビットをさらに4×4に並べると、1024量子ビットを実現できる。

 将来的には、大規模量子コンピューターを実現し、社会実装することを目指す。100万量子ビット級の集積化の技術開発や、エラー訂正および誤り耐性量子計算の実現に向けた研究を進めいてくという。

 既に国内では、2021年7月に、創造のもり かわさき新産業創造センター(神奈川県川崎市)で米IBMと東京大学が「IBM Quantum Falcon」プロセッサーを搭載した量子コンピューター「IBM Quantum System One」を稼働させており、約1年半を経過している。
 その間、大学や研究機関、企業などが参加して、量子コンピューターの応用について研究を進めてきた。
 今回の理研・和光地区における国産初号機の量子コンピューター設置、稼働により、日本における量子コンピューター研究のさらなる加速が見込まれる。

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