閑雲孤鶴の日々  - Fire生活者の呟き -

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女帝 小池百合子

2021年05月30日 | 書評 政治

女帝 小池百合子/石井妙子/文藝春秋/2020


都知事小池百合子の伝記本スタイルで、学歴詐称疑惑解明を目指す内容となっている。
都知事小池百合子は、国会議員時代から、隙のないファッション感覚の議員である。ファッション的にはなかなかでそれを武器にし、かっこよくかつ女性活躍の旗頭みたいに演じている面が多分にある。

この本で興味を引くのは二つある。数多くの人が、学歴詐称疑惑解明に係わっていること。信じがたい数の調査、それも同じ調査が繰り返されているのに結論が出ていないのである。結論が出ていないことを良い事に、疑惑解明が必要だとすることである。調べる手立てがないものを、同じ手法を繰り返して調べ、疑惑があるかのように書くのはいかがなものか、と思う。
ただ、調べられる当人にそれなりの自覚はあるようで、その対応経緯について、本書は詳述している。

もう一つは、家族構成、自身の育った環境、容姿的なことで、小池百合子は必ずしも幸せな環境にはなかったことだ。ハッタリと見栄とコネ営業で生計を立てようとする父、母は母でプライドの強そうなタイプ。小さい頃から上昇志向主義を課せられ、大人になってからはそれを改めて自分に課し、都知事になるまでに出世した。

これ以上成るものがあるとしたら首相の座くらいなものとなるが、この本にあるように、そんなに背伸びし続けた一生は果たして幸福なものであろうか。
少し肩の力を抜いて楽に生きる術を知らないのか、知りたくないのか、燃え尽きるまで生き方を頑として変えたくないようである。

この本を読んでいくうちに、政治家とはあまり幸福な職業ではないのかもしれないと、思いつつあるところである。


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