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5万人の調査でわかった「ありえないクレーム」5選と店舗閉鎖の悲劇的事例
https://diamond.jp/articles/-/178700
一部引用
クレームを超えた「カスタマーハラスメント」
日本最大の産業別労働組合であるUAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)
が、2017年10月に発行した「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果・速報版」です。
その冒頭(はじめに)では、こう警鐘を鳴らしています。
「消費者の不当な要求を受け日常の仕事に支障が生じ、流通・サービス業に従事する労働者に大きなストレスを与える事例があとを絶ちません。
消費者からの不当な要求は、ハラスメントの新しい領域としても社会的な問題となっています」
消費者による自己中心的で理不尽な要求は、「悪質クレーム」として、
これまでもしばしばマスコミで取り上げられていますが、大きな社会問題として浮上してきました。
消費者による嫌がらせ、すなわち、「カスタマーハラスメント」が取り沙汰されるようになってきたのです。
セクハラ(セクシャルハラスメント)やパワハラ(パワーハラスメント)と同様に、「カスハラ」という呼称が定着する日も遠くないでしょう。
「迷惑行為に約9割がストレスを感じている」
「(クレーム対応として)『謝り続けた』と『何もできなかった』が4割を超えている」
「約5割が『迷惑行為が増えている』と感じている」
また、現場からの悲痛な肉声も収められています。
「商品の場所を案内したら、遠回りさせられたと怒りだし、『バカ、死ね。辞めろ!』と怒鳴られました」
「商品の在庫を尋ねられ、在庫が無い旨をお伝えしたところ、『売る気がないんか、私が店長だったらお前なんか首にするぞ』と延々怒られました」
「惣菜の価格が間違っていると言われ確認に行こうとしたら、待たせるなと怒鳴られ3時間説教され続けました」
「お客様が購入した包丁の切れ味が悪いとの事で返品対応した際、『高い商品買ったのに研いでも切れない』と、その包丁をむきだしでこちらの顔まで近づけてきました」
「商品不良のため返金を実施した際、丁寧に謝罪しても納得されず、土下座での謝罪を要求されました」
---------食品スーパーの事例---------
郊外にある食品スーパーは日々、クレーム対応に追われていた。
来店のたびに文句を言う男性客。夕方、店内が混雑してレジに行列ができると
「なにをノロノロやってるんだ!」
と、並んでいる間ずっと大声でレジ係を怒鳴りつけたり、レジを終えても,
「釣り銭の置き方が悪い!」
と言って、買い物かごや小銭を投げたりする。
また、「挨拶がなっていない!」と、近くにいる店員を叱り飛ばす中年の女性客や、自分の好物が見当たらないことに腹を立て、
「どうして、この店に置いていないんだ! いますぐ仕入先に電話しろ!」と無茶苦茶な要求をする老人。
あるいは、生鮮食品売場でレシピを聞かれた店員がうまく答えられないと、「責任者を呼んできなさい。あなたは不勉強です!」と激高する主婦もいる。
30代前半のチェッカーチーフは、こうしたクレームやトラブルが発生するたびに、店内をかけずり回った。
いつのまにか、「申し訳ございません」が口ぐせになっていた。「ありがとうございました!」と笑顔で接客していた新人の頃を思い出すと、涙がこぼれそうになる。
そしてある日。チェッカーチーフは辞表を提出した。
店長からは強く慰留されたが、もはや限界だった。
張りつめていた緊張の糸が切れ、心が折れたのだ。
その後、このスーパーでは、くしの歯が欠けるように地元採用のパート店員が次々と辞めていった。
精力的な仕事ぶりで部下からの信頼も厚かったチェッカーチーフに代わり、本社から派遣されたベテラン社員が立て直しを図ったが、
パートを募集してもなかなか人が集まらない。地域密着型のスーパーでは、口コミで職場環境のよし悪しがすぐに伝わるからだ。
「あのスーパー、パートさんが大量退職したらしいよ」
「チーフはひとりで頑張っていたけれど、精神的なストレスでまいったみたい」
結局、このスーパーはチェッカーチーフをはじめとする退職者の穴を埋めることができず、閉店に追い込まれた。
このように、流通・サービス業に限らず、クレーム対応で陣頭指揮をとっていたキーパーソンが辞めると、
ほかのメンバーも追随して退職することは珍しくありません。
それは、クレーム対応を「現場まかせ」「個人まかせ」にしている企業が多いからです。
長時間労働の解消など、「働き方改革」を推進することは大切ですが、同時に企業としてクレーム対応のあり方を見直すことも必要です。
クレームに向き合う人々の「声なき悲鳴」に気づけないと、経営そのものが大ダメージを受けるのです。