犬矢来とは何か。
京都の町家の前でよく見かける設備である。
京都独特のものなのかは分からない。
けれども多分、京都で特に顕著に見られるものだと思う。
犬矢来とは元来、家の軒下に設置し、
犬のおしっこ除けとして使われたものだ。
昔(江戸時代?)はよく野犬が街中にいて、
所かまわず粗相をしていたからのようだ。
また馬や牛車の泥はねを防ぐ役目もしていた。
当時は道路を舗装していなかったからでもある。
木造家屋にかかるダメージを防ぐための装置であったのだ。
もともとは竹で出来ていて、竹をアーチ型に曲げて繋げた柵のことである。
町の民家でよく見られたが、京都の過疎化で町家そのものが減り、
空き家が多くなって来て、さらに駐車場やマンション、
ゲストハウスなどが増えるに連れ、犬矢来はだんだん姿を消して来た。
今では元来の犬矢来を町で見かけることは少なくなって来た。
町の風景がどんどん変わっていくのは寂しいことだ。
それでも見かけることはある。
探してみれば、形を変えて今も存在感を放つ犬矢来もあるのだ。
見つけた時は嬉しくなってしまう。
現在では元来の犬除けのための機能としてより、
単なる町家の装飾になっているものの方が多いが、
何らかの意味があり、設置されていると思われるものもある。
近所に以前からずっとある犬矢来は、
竹が古びて来て色が変わってしまっている。
でもこれが本来の犬矢来の姿だと思う。
最近では鉄やスチール製の犬矢来も見かける。
町家というよりホテルや店舗の前に置かれていることが多い。
入り口を開けて両側に設置されている。
黒いスチール製だが紛れもなく犬矢来だ。
鉄製の犬矢来はさびて来て赤黒く変色している。
年月にさらされて変色してしまったのだ。
かなり大型なこともあり、竹ではなくとも存在感を発揮している。
本来の犬矢来とは違う用途で使われているものも。
エアコンの室外機のカバーになってる。
最近よく見かけるのがこのタイプ。
犬矢来のようにアーチ形のものでなく、
四角い木製の室外機カバーもよく見かける。
エアコン室外機を外にそのままでさらすのは無作法と考えたのか、
景観を損ねると気にしているのか、
木製のカバーをつけて室外機を隠している家がかなり多い。
京都の新たなトレンドかも?。
形を変えて木の文化が息づいていることを感じ取れて、
これはこれで面白い傾向だ。
典型的な犬矢来は宿屋や料理屋の店先に多い。
八坂神社の近くには昔ながらの竹製の犬矢来があった。
竹の犬矢来はやっぱり見ていて落ち着く。
入り口を挟んで両側に設置されていて、
小さい犬矢来が可愛い。
近所の典型的な町家の軒下にあったこれも昔ながらの竹製の犬矢来。
防火用の水を溜めたバケツを置いてあるのもお約束。
やはり犬矢来には木造家屋が似合う。
探せばいろいろ見つかった。
減ったなあと思っていたけれど、
まだまだ犬矢来文化は健在だと思うと、何だかうれしくなった。
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