伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

安野光雅・旅と空想の風景

2025年03月13日 | 展覧会・絵



安野光雅は画家・絵本作家、装丁家などとして、
マルチに活躍していたが惜しくも2020年に生涯を閉じた。

その創作活動はおもに絵本作家や装丁家としてが最も有名だ。
今回の展覧会でも宮沢賢治作品の装丁を手掛けた文庫本が並んでいたが、
ひと目で安野作だと分かる端正な装丁で、
独特のメルヘンな詩情漂う表紙に目を奪われた。


京都の大丸ミュージアム京都で開かれている展覧会、
「安野光雅 旅と空想の風景」展はそんな安野光雅の、
絵本作品やスケッチ、装丁など
デザイナーとしても卓越した才能を発揮した彼の多彩な作品を揃えた展覧会だった。


大丸・松坂屋の展覧会
https://dmdepart.jp/museum/kyoto/annomitsumasa/
安野光雅 旅と空想の風景
2025年3月11日(火)→31日(月)
大丸ミュージアム〈京都〉[大丸京都店6階]





安野光雅は彼の絵本にM.C.エッシャーの迷宮的な錯視作品を取り入れたこともあり、
そのころから面白くて楽しい絵だと、興味を持っていた。
もちろん端正な水彩で細かい描線で丁寧に風景を描いた作品たちに、
惹かれていたからでもある。



細かい描線で輪郭のはっきりした、淡い色彩が特徴である。
そしてどこかメルヘン的な部分とさりげないユーモアも漂っている。
見ていると和やかな気持ちになる絵でもある。
絵本ということもあり、見ていると対象を細かく細部まで描き込んだ絵なのに
暖かな気持ちになるのだ。




今回の大丸ミュージアム京都で開かれた展覧会では
最後の一室のだまし絵のものだけ撮影可能だったが殆どが撮影禁止だった。





展示はヨーロッパを旅した時の風景を描いた絵から始まっていた。
オランダ、スペイン、イタリア、フランス、英国などなど、
安野光雅独自の切り込み方で欧州の風景を描いた作品だった。





安野らしい遠近法を用いた古いヨーロッパの街並みや、
家が点在する田園風景などが淡い色彩で細かく細部まで描き込まれていて、
思わず隅から隅までずっと眺めていたくなる作品ばかりだった。

イギリスのトラファルガー広場を描いた細かい作品には、
よく目を凝らすと広場の一角でビートルズが演奏しているのだった。
リンゴのドラムも描かれ、ポールはちゃんと左利きになっていた。

それほど大きい画面ではないので、よほど注意深く見なければ分からない。
安野光雅の遊び心がこんなところにも発揮された作品だった。



イタリアの「ピサの斜塔」の絵は、ピサの斜塔を真っ直ぐ描き、
横の建物が斜めに建っているというこれも遊び心に溢れた作品だった。


こんな感じで、安野光雅の風景はユーモアがあって、
ずっと目を凝らして眺めていたい絵ばかりなのだった。





切り絵作品もあった。
安野が切り絵に挑戦していたことは知らなかったので、
その細かい作業にも驚嘆した。


「昔噺きりがみ桃太郎」という絵本のための切り絵だった。


安野はだまし絵も大好きだった。
鬱蒼とした森を描いた連作では、
森の中に動物たちをだまし絵として沢山描いていて、
いくつ分かるかな?というクイズになっていた。
が、一目見ただけでは分からない。
よくよく目を凝らすとなんとなく見えて来る。

このだまし絵の複製の4作品のみが撮影可能だった。



安野光雅の絵本や風景作品は細い描線で対象を細かく描き、
その中にいろんな仕掛けを施しているものや、
童心に帰るようななつかしく感じるものなど多彩だが、
故郷の津和野の田園風景を描いた作品は、郷愁を誘う暖かな空気が漂っていた。


安野光雅の心にはいつも津和野の原風景があったのだろう。






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