NPBで審判員の判定を巡り、再び「誤審」を認める事態が起きた。
事の発端は6月22日のオリックス-福岡ソフトバンク線(グリーンスタジアム神戸)の試合。3-3の延長10回2死一塁、福岡ソフトバンク中村晃選手の放った右翼ポール際の打球の判定がリクエストによるリプレー検証でファウルから本塁打に変わった。
これが決勝点になり、オリックスは3位タイで並んでいた福岡ソフトバンクに敗れ4位に転落した。福良監督は、試合終了直後からベンチ裏通路で審判団に詰め寄り激しく意見した。審判団はビデオを見て確認したことを強調し、福良監督はいったん引き揚げた。その後、球場の審判員室で、審判団に長村本部長や福良監督らも加わる異例の状況で約20分間、リプレー検証の確認作業を行った。その結果「当初はポールに(打球が)隠れたように見えたので本塁打としたが、後で見たところ、ポールの前に白いものが見えた」と、佐々木責任審判はミスジャッジだったことを認めていた。
しかし、オリックスは2度にわたり、当該場面からの試合やり直しの特例を求めているが、NPBは「やり直しは行わない」という姿勢に変更がないことからコミッショナーに提訴まで発展し収拾の目処が立たないでいる。
前代未聞のリプレー検証で誤審に変更。
そして、再び…。
6月29日の東京ヤクルト―阪神戦(神宮)。7回1死二塁で起きた。三ゴロを処理した阪神の三塁手・北條選手が、三塁へ進塁しようとしていた二塁走者・藤井選手に向かってグラブを伸ばしたが、藤井選手は走路(3フィートライン)を外れて三塁ベースへ到達。この時、北條選手が体勢を崩したため、審判員は「野手が走者にタッチをしにいっていない」と判断し、セーフの判定をした。このプレーはリクエストの対象になっておらず、阪神の金本監督は「審判団で協議して確認してほしい」と主張したが、認められなかった。試合は阪神が9-10で敗れた。
3フィートを超えているが、北條選手が走者にタッチの意思が無かったという意味不明な理由でセーフという判定に。
NPBは7月4日、阪神が試合の翌日に提出した意見書に対し、「走者アウトが適切だった」などと回答。記録や勝敗は変更しない。阪神は回答を了承した。回答を受けた阪神の谷本修球団本部長は「おわびとともに返ってきたので。今回の件は終わりにしようと思っています」とのこと。
阪神がルール確認などを求める意見書を提出し、リーグと審判員は映像を検証。セ・リーグの杵渕和秀統括によると、その結果、「タッチにいく行為があったとみて、(走路を外れた)走者アウトをとるべきだった」と判断した。また、審判団が協議しなかった点についても「協議をするべきだった」とした。
NPBでは今オフ、リクエストの対象となるプレーの再確認などを行う方針。また、3フィートラインの走路を外れた走者に対する判断基準についても、野球規則委員会で話し合う方針という。
人間が判断を下す以上、誤審は仕方ない。それも野球というスポーツであった。しかし、現在では技術の発達により明らかな誤審は誰でも確認できる時代となり、「ジャッジは絶対」という考え方はもう一世代前の概念となった。
それを解決するために今年から導入されたリクエスト制度ではあったが…シーズン前に決めたルールが不完全で現状に沿っていないことが露呈してしまった。
まず、オリックス-福岡ソフトバンク戦の誤審本塁打問題。問題だったのは『5分以内に結論を出す。判定が決まらなかった場合は判定は変わらずそのままとなる。』というルールだろう。そもそも当初は正しい判定だったにもかかわらず、リプレー検証の結果誤審になるというは前代未聞だ。おそらく5分以内に結論を出さなければならないという焦りが生んだヒューマンエラーであろう。検証時間の制限は今後検討の余地あり。
東京ヤクルト―阪神戦の3フィートラインに関してはリクエスト対象に含めるべきかもしれない。自分も学生時代、試合に出ない日は審判をやったことあるが、この3フィートの判定は難しい。判断基準が明確化されていないので、ほとんど審判の主観で判定されていしまう。つまり審判に寄ってばらつきが出やすく、複数の審判で協議する機会の多いプレーだった。せっかくリクエストという制度が導入されたのであれば、今後はリプレー検証でしっかり判定を協議するべきかもしれない。
ちなみに現行ルールでのリクエスト対象外プレー
・投球判定(ストライク・ボール)
・ハーフスイング
・自打球
・走塁妨害
・守備妨害
・インフィールドフライ
・審判員(塁審)より前方の打球
・ボーク
3フィートラインの件については意見書を提出した阪神側が回答を了承したことにより問題は収まったが、本塁打誤審問題は未だオリックスが納得する回答はない。そもそも最大の問題点は審判が福良監督の抗議を受け入れ、しかも同監督らも立ち会って、映像を見直したことだ。これは明らかにルール違反であった。決められたルールを守った上で審判が、毅然とした態度で臨んでいれば、結末は違ったはずだ。
一昔前とは違い、審判と首脳陣・選手との垣根が低くなり審判の尊厳が失われつつあるが、判定への敬意が欠如するようなことになってはいけない。審判の方々がいて競技が成り立っているということは今も昔も変わらない。今まで以上に審判の判定を軽んじることないようにするためにも、来季以降は現状に沿ったルールがしっかりと整備されることを切に願う。
事の発端は6月22日のオリックス-福岡ソフトバンク線(グリーンスタジアム神戸)の試合。3-3の延長10回2死一塁、福岡ソフトバンク中村晃選手の放った右翼ポール際の打球の判定がリクエストによるリプレー検証でファウルから本塁打に変わった。
これが決勝点になり、オリックスは3位タイで並んでいた福岡ソフトバンクに敗れ4位に転落した。福良監督は、試合終了直後からベンチ裏通路で審判団に詰め寄り激しく意見した。審判団はビデオを見て確認したことを強調し、福良監督はいったん引き揚げた。その後、球場の審判員室で、審判団に長村本部長や福良監督らも加わる異例の状況で約20分間、リプレー検証の確認作業を行った。その結果「当初はポールに(打球が)隠れたように見えたので本塁打としたが、後で見たところ、ポールの前に白いものが見えた」と、佐々木責任審判はミスジャッジだったことを認めていた。
しかし、オリックスは2度にわたり、当該場面からの試合やり直しの特例を求めているが、NPBは「やり直しは行わない」という姿勢に変更がないことからコミッショナーに提訴まで発展し収拾の目処が立たないでいる。
前代未聞のリプレー検証で誤審に変更。
そして、再び…。
6月29日の東京ヤクルト―阪神戦(神宮)。7回1死二塁で起きた。三ゴロを処理した阪神の三塁手・北條選手が、三塁へ進塁しようとしていた二塁走者・藤井選手に向かってグラブを伸ばしたが、藤井選手は走路(3フィートライン)を外れて三塁ベースへ到達。この時、北條選手が体勢を崩したため、審判員は「野手が走者にタッチをしにいっていない」と判断し、セーフの判定をした。このプレーはリクエストの対象になっておらず、阪神の金本監督は「審判団で協議して確認してほしい」と主張したが、認められなかった。試合は阪神が9-10で敗れた。
3フィートを超えているが、北條選手が走者にタッチの意思が無かったという意味不明な理由でセーフという判定に。
NPBは7月4日、阪神が試合の翌日に提出した意見書に対し、「走者アウトが適切だった」などと回答。記録や勝敗は変更しない。阪神は回答を了承した。回答を受けた阪神の谷本修球団本部長は「おわびとともに返ってきたので。今回の件は終わりにしようと思っています」とのこと。
阪神がルール確認などを求める意見書を提出し、リーグと審判員は映像を検証。セ・リーグの杵渕和秀統括によると、その結果、「タッチにいく行為があったとみて、(走路を外れた)走者アウトをとるべきだった」と判断した。また、審判団が協議しなかった点についても「協議をするべきだった」とした。
NPBでは今オフ、リクエストの対象となるプレーの再確認などを行う方針。また、3フィートラインの走路を外れた走者に対する判断基準についても、野球規則委員会で話し合う方針という。
人間が判断を下す以上、誤審は仕方ない。それも野球というスポーツであった。しかし、現在では技術の発達により明らかな誤審は誰でも確認できる時代となり、「ジャッジは絶対」という考え方はもう一世代前の概念となった。
それを解決するために今年から導入されたリクエスト制度ではあったが…シーズン前に決めたルールが不完全で現状に沿っていないことが露呈してしまった。
まず、オリックス-福岡ソフトバンク戦の誤審本塁打問題。問題だったのは『5分以内に結論を出す。判定が決まらなかった場合は判定は変わらずそのままとなる。』というルールだろう。そもそも当初は正しい判定だったにもかかわらず、リプレー検証の結果誤審になるというは前代未聞だ。おそらく5分以内に結論を出さなければならないという焦りが生んだヒューマンエラーであろう。検証時間の制限は今後検討の余地あり。
東京ヤクルト―阪神戦の3フィートラインに関してはリクエスト対象に含めるべきかもしれない。自分も学生時代、試合に出ない日は審判をやったことあるが、この3フィートの判定は難しい。判断基準が明確化されていないので、ほとんど審判の主観で判定されていしまう。つまり審判に寄ってばらつきが出やすく、複数の審判で協議する機会の多いプレーだった。せっかくリクエストという制度が導入されたのであれば、今後はリプレー検証でしっかり判定を協議するべきかもしれない。
ちなみに現行ルールでのリクエスト対象外プレー
・投球判定(ストライク・ボール)
・ハーフスイング
・自打球
・走塁妨害
・守備妨害
・インフィールドフライ
・審判員(塁審)より前方の打球
・ボーク
3フィートラインの件については意見書を提出した阪神側が回答を了承したことにより問題は収まったが、本塁打誤審問題は未だオリックスが納得する回答はない。そもそも最大の問題点は審判が福良監督の抗議を受け入れ、しかも同監督らも立ち会って、映像を見直したことだ。これは明らかにルール違反であった。決められたルールを守った上で審判が、毅然とした態度で臨んでいれば、結末は違ったはずだ。
一昔前とは違い、審判と首脳陣・選手との垣根が低くなり審判の尊厳が失われつつあるが、判定への敬意が欠如するようなことになってはいけない。審判の方々がいて競技が成り立っているということは今も昔も変わらない。今まで以上に審判の判定を軽んじることないようにするためにも、来季以降は現状に沿ったルールがしっかりと整備されることを切に願う。