年末になり毎週のように忘年会の予定が入りました。(嬉しい限り…?)
昨夜も恒例となった郊外の料亭での宴会。
そこで場所が近いこともあり自家用車を会社に置いて出席しました。
翌朝、おかげで夜明け間近の通勤路を散策(?)することができました。
およそ5.5kmの道程…前々から気になっていた土手沿いを歩きながら『坊ちゃん』の一節
"温泉の町を振り返ると、赤い灯が、月の光の中にかがやいている。太鼓が鳴るのは遊廓に相違ない。川の流れは浅いけれども早いから、神経質の水のようにやたらに光る。ぶらぶら土手の上をあるきながら、約三丁も来たと思ったら、向うに人影<が見え出した。月に透かしてみると影は二つある。温泉へ来て村へ帰る若い衆かも知れない。それにしては唄もうたわない。存外静かだ。
だんだん歩いて行くと、おれの方が早足だと見えて、二つの影法師が、次第に大きくなる。一人は女らしい。おれの足音を聞きつけて、十間ぐらいの距離に逼った時、男がたちまち振り向いた。月は後からさしている。その時おれは男の様子を見て、はてなと思った。
男と女はまた元の通りにあるき出した。おれは考えがあるから、急に全速力で追っ懸けた。先方は何の気もつかずに最初の通り、ゆるゆる歩を移している。今は話し声も手に取るように聞える。土手の幅は六尺ぐらいだから、並んで行けば三人がようやくだ。おれは苦もなく後ろから追い付いて、男の袖を擦抜けざま、二足前へ出した踵をぐるりと返して男の顔を覗き込んだ。月は正面からおれの五分刈の頭から顋の辺りまで、会釈もなく照す。男はあっと小声に云ったが、急に横を向いて、もう帰ろうと女を促がすが早いか、温泉の町の方へ引き返した。
赤シャツは図太くて胡魔化すつもりか、気が弱くて名乗り損なったのかしら。ところが狭くて困ってるのは、おればかりではなかった。"
残念ながら、薄曇りの早朝から堤防歩くカップルなんている筈もなくサッサと会社に向かって足を進めながら、マタゾロ良からぬ思考が脳を廻ります…
『後輩の店で部品を調達して自転車を修理しようかな…でも多分買わされるんだろうな?』
『いや…買っちゃうだろうな、オレの性格からして分不相応なヤツヲ』
『そして怒られるンヨネ…やっぱ止めとこ。オレにはゴルフがアゼルバイジャン…』
ということで詰らぬ駄洒落と共に会社到着、約1時間の散歩でした(あぁ辛ど-シンドと読みます)