気の合う同窓生たちと酒を呑んだ。
その当時は進学校で連中も其れなりの知識の持ち主だ。到底ワタシなどは彼らの話の展開についていけない。仕方がないので静かに冷えた銘酒を啜る。
路地裏のいちばん奥にある居酒屋のギシギシと軋む急な階段を登った小部屋は、勤皇志士が集うに相応しい雰囲気を漂わせる。
左かと思えば右の話し、しかしその主旨は揺れずしっかりと話しにオチがつく。見事である。
尽きぬ話をツマミにして東北の地酒を啜る。
そうこうするうちに連中も酒が廻り、話しも堂々巡りになる。
『待ってました、やっと来た』
定番の話題にお決まりのオチ。
学習済みのネタに合わせて相槌を打つ。
ミンナ喜ぶ、酒を呑む。
そして楽しい夜になる。
やがて其々が餌食となって話が盛り上がる。
そしてワタシの番になる。
「ピアノを弾いていたら蓋が閉まって手を挿んだ…どう思う?」
『ナンジャ??』
意味不明の質問に答えが出ない。
「痛そうと思えばふつう。おもしろいと思った奴は発達障害!!」
『発達障害??』
要は先天的な精神障害で知的障害を伴わない症状という。
「集中力に欠け、コミュニケーション能力に問題が有り、意味のない暴力的な行動をすることがあるらしい。最近の暴力事件の加害者はこの発達障害を患っているといわれている」
『俺のことを言っているのか???』
たしかに困っている人をヘラヘラ笑いながら見ている若い連中がいる。
いまのワタシなら反吐が出そうな話だが、そうでなかったと否定できない自分もいる。
直観的で、感情的で、他人への配慮が足りないKYなワタシ…
ペチュニアの花言葉のように「あなたが傍にいてくれただけで和んだ気持ちになれる」と言われるように頑張ろう
拝