今から30年ほど前、今のようにインターネットが普及する前のアマチュア無線におけるパケット通信によるネットワークの話です。
1980年代からアマチュア無線では、144MHz帯、430MHz、1200MHz帯を使ってパケット通信というデジタル通信が盛んにおこなわれました。パソコンとTNC(Terminal Node Controller)と無線機を接続し、電波回線を使って通信を行うシステムです。
通信速度は、はじめ1200bpsでした。変調はF2で、音声で聞くとピーギャーと聞こえました。後期には9600bpsに高速化されシャーといいう音で聞こえました。下の写真は、当局が使っていた9600bps対応のTNC TASCOのTNC292です。
TNCには、メールボックス機能や中継機能があり、無線機と繋いでおくだけでそれらの機能は使えました。他に大容量のメールボックスをもつTNCや中継機能に特化したNETROM、144MHz帯と43MHz帯をゲートウェーするTNCもありました。
各地のアマチュア局がそれぞれの機能を利用し、メールボックスを利用したRBBS(無線掲示板システム)でコミュニケーションをとっていました。当然チャットもできました。
会津方部でもたくさんの局がパケット通信を行っており、1990年8月5日に「第1回10会津パケッターズ アイボール会」が開催されました。その後、10月28日に第2回、1991年2月10日に第3回、5月12日に第4回とアイボール会を重ね、1991年10月にALN(あいづ ローカル ネットワーク)を結成が結成され、当局JH7UBCが代表になりました。この時のALNの名簿を見ると75局のコールサインがありました。
ALNではまず、初心者でもパケット通信に取り組みやすいように、パケット通信を分かりやすく解説した「パケット通信 入門マニュアル」(全36ページ)を作成しました。(非売品)
原稿は、JH7UBC畠,JR7DKF佐藤さん,JR7UNT秋山さん,JH7AUY古川さん,JA7SSC阿部さん,JH7MPD玉川さん,JE7AII本田さんが分担して執筆しました。
1992年1月1日からは、ALNかわら版をオンラインで配信しました。(実際はRBBSに記事としてアップロードし、いつでも読める状態にしました。)
このALNかわら版は、1996年10月20日まで47号まで発行されました。
ALNでは、年に数回のアイボール会(今風に言えばオフ会)や書き込みコンテストなどを開催し、特に秋に行う芋煮会は楽しかったです。下の写真は、1994年10月16日に大川(阿賀野川)河川敷で開催された芋煮会です。
参加局は、JA7FLD,JH7KUK,JH7MTX,JH7UBC,JR7DKF,JR0DBR,JG7RIC,JG7SIU,JJ7CZT,JL7FZP,JL7RSYでした。懐かしいですね。そして皆、若いなー。
こうしてにぎわったALNですが、1996年頃からのインターネットの普及に伴い自然消滅してしまいました。
アマチュア無線版のSNSであったパケット通信によるネットワーク。今では懐かしい思い出です。