金子みすゞが届いたので二、三。
こだまでしょうか
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
星とたんぽぽ
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる。
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
大漁
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰯の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰯のとむらい
するだろう。
星とたんぽぽの、
「昼のお星は眼に見えぬ」の一節は科学の目を感じる。
見えぬけれどもあるんだよ、
まさにそのとおりで、
日の光りで明るいから見えないだけで実際には存在している。
この感性というかすばらしいと思う。
某社のコマーシャルに使われているけどね。
それと、大漁。
これもいい感じです。
かねこみすずの深いやさしさがよく表れていると思う。