*
ところで、エデンには、小さな蛇が住んでいました。細くてきれいな黒い蛇です。蛇は、エデンの園で、アダムとイヴが、仲良く楽しく暮らしているのを見ると、何だかおもしろくないと思いました。
アダムとイヴが、とても美しくて、自分よりもずっといいものを、神さまにもらっているような気がしたからです。
「あんなのないぞ。わたしなんか、細い胴があるきりで、手も足もないのに」
そう思った蛇は、アダムとイヴに、いやなことをしてやろうと思ったのです。
「そうだ、馬鹿みたいなことをさせてやれ。そして、馬鹿みたいなものにしてやれ」
そこで蛇は、青い実のなる知恵の木のところに隠れていて、アダムとイヴがこちらに来るのを待ち伏せていました。
「この木の実だけは、赤くなるまで絶対に食べてはいけないのね」
「うん。先生がそう言っていたね」
アダムとイヴがそう言いながら、知恵の青い実のなる木に近づいてきたときです。蛇が突然出てきて、言いました。
「そんなのウソだよ。これを食べるとね、とってもいいことがあるんだよ」
アダムとイヴはびっくりして、蛇を見つめました。
「いいことって何?」とふたりが尋ねると、蛇は舌なめずりをしながら言ったのです。
「これを食べるとね、神さまよりも、天使よりも、賢くなれるのさ」
それを聞いたふたりは、びっくりしました。あんなに賢くて、何でも知っている天使ラファエルよりも、賢くなれるというのでしょうか?
「そうなんだ。よし、一つ食べてみようよ」と、アダムが言いました。
「だめよ、食べちゃいけないって、先生がいってたじゃない」イヴが言いました。
「きっと先生は、ぼくらが自分より賢くなるのがいやなんだよ。ぼくはひとつ食べてみるよ。まるまるふとっておいしそうだ。君は?」
「あなたが食べるっていうんなら、少しだけ」
そこでふたりは、知恵の木から、青い実を一つだけとって、半分に分けて、いっしょに食べました。
(明日につづく)
ところで、エデンには、小さな蛇が住んでいました。細くてきれいな黒い蛇です。蛇は、エデンの園で、アダムとイヴが、仲良く楽しく暮らしているのを見ると、何だかおもしろくないと思いました。
アダムとイヴが、とても美しくて、自分よりもずっといいものを、神さまにもらっているような気がしたからです。
「あんなのないぞ。わたしなんか、細い胴があるきりで、手も足もないのに」
そう思った蛇は、アダムとイヴに、いやなことをしてやろうと思ったのです。
「そうだ、馬鹿みたいなことをさせてやれ。そして、馬鹿みたいなものにしてやれ」
そこで蛇は、青い実のなる知恵の木のところに隠れていて、アダムとイヴがこちらに来るのを待ち伏せていました。
「この木の実だけは、赤くなるまで絶対に食べてはいけないのね」
「うん。先生がそう言っていたね」
アダムとイヴがそう言いながら、知恵の青い実のなる木に近づいてきたときです。蛇が突然出てきて、言いました。
「そんなのウソだよ。これを食べるとね、とってもいいことがあるんだよ」
アダムとイヴはびっくりして、蛇を見つめました。
「いいことって何?」とふたりが尋ねると、蛇は舌なめずりをしながら言ったのです。
「これを食べるとね、神さまよりも、天使よりも、賢くなれるのさ」
それを聞いたふたりは、びっくりしました。あんなに賢くて、何でも知っている天使ラファエルよりも、賢くなれるというのでしょうか?
「そうなんだ。よし、一つ食べてみようよ」と、アダムが言いました。
「だめよ、食べちゃいけないって、先生がいってたじゃない」イヴが言いました。
「きっと先生は、ぼくらが自分より賢くなるのがいやなんだよ。ぼくはひとつ食べてみるよ。まるまるふとっておいしそうだ。君は?」
「あなたが食べるっていうんなら、少しだけ」
そこでふたりは、知恵の木から、青い実を一つだけとって、半分に分けて、いっしょに食べました。
(明日につづく)