Joy Yoga

中東イスラエルでの暮らしの中で、ヨガを通して出会う出来事あるいは想いなど。

背中を押すのは未来の自分

2012-03-05 11:13:40 | エッセイ
引っ込み思案だった私はチャンスをことごとく人に譲る子供でした。
物心がついた頃には「おとなしい子」「しゃべらない子」という烙印を押されていたので、子供なりに自分はそういう風に振る舞うべきなのだと思っているようなフシもありました。
クラスの係決めや学芸会の劇の役決めなどで、華のあるポジションに心惹かれる瞬間がありながらも絶対に手を挙げることができない子だったのです。「これは誰か他の人がすること」と人知れず身を引く術にはものすごく長けていたのだけれども、役決めが終わるとちょっと思うんです、「どうして手を挙げることができなかったんだろう」と。

自分では何をしたいのかが分かっているのに、誰かと競ってまで、あるいはみんなの注目を浴びてまで、そのポジションを手に入れることがどうしても躊躇われました。小学生の私にとって、学校のクラスというものはたかだか40人程度で構成されているにもかかわらず、家庭と同じかそれ以上に大きな「世界」です。今思えば、その世界で「殻を破る」ことによって何かが変わるのが怖かったのかもしれません。


転機は中学校入学で訪れます。
私のことを「大人しい○○さん」と思っている人たちのほとんどいない女子校に進学し、人並みにみんなと会話もできるようになり少しずつ自己主張の経験を積んでいきます。同時に思春期に突入していたので、当時の私の自己主張は周囲の人が眉をひそめる類いのものであったかもしれませんが。

多感な年頃だったので様々なものに憧れ、そして感化され、そのたびに私は「これが本当の私なんだ」と未知なる自分との出会いに酔いしれていたものです。とにかく反動がひどかったので小学生の頃とは対照的に「これだ!」と思うものにどんどん突き進み、時には後先を考えない危うさもありましたが、結果的には行動力を開花させ、その力が自分の中にあると認識できた大切な時期だったと思っています。

その後、少しは大人になり、次第に「やったもん勝ち」的な考えは改めざるを得なくなりますが、チャンスというものに対する態度は子供時代よりもはるかに自由になりました。もちろん紆余曲折はあります。社会人であることや母親であること、いろいろな立場や責任が付随してくる中で優先順位は入れ替わり、心の声が聞こえづらくなることも。

それでもやはり、自分にとって本当に大切なチャンスはどこでどんな回り道をしようとも目の前にやって来るものです。そして、「それが“それ”なんだ」というのを自分自身が一番よくわかっているのです。わけもなく胸が高鳴ったり、何かピピピと閃いたり。その時に手を挙げて「やる」と宣言するのかどうか。当たり前だけど「違い」はそこから生まれてきます。

誰かが背中を押してくれると私たちは一歩を踏み出しやすいのだけれど、自分の望む相手が背中を押してくれない時もある。せっかく望む相手に背中を押してもらってるのに進めない時もある。それはなぜか。結局、一歩を踏み出すのも、背中を押すのも、他でもない自分だからです。

わかっているようで本当はよくわからない自分というものに大切な選択を委ねるのは正直、勇気の要ることです。ましてや「どうしよう、どうしよう」と迷っている時の自分の頼りなさといったらありません。そこで私はどうするのかというと、未来の自分に尋ねます。それは明日の自分であったり、10年後の自分であったり、場合によっては死ぬ間際の自分であることさえあります。

現在から未来というのは見えづらいものです。だから私は未来から現在を見つめてみます。未来の自分は知っています。このチャンスに対して本当はどうしたいのかということを。未来の私は「悪いけど、後になってぐずぐず言い訳する気はないからね」とクールな姐御肌なものだから、遠慮なく背中を押してきます。「やっちゃいな」と。


「やる」と決めた瞬間、気分がスッキリすると同時に創造性豊かな自分が動き始めます。
「自分アポロ計画」です。

下に色を付けているのは「アポロ計画」に関するケネディ大統領の演説の一部です。

我々が10年以内に月に行こうなどと決めたのは、それが容易だからではありません。むしろ困難だからです。この目標が、我々のもつ行動力や技術の最善といえるものを集結しそれがどれほどのものかを知るのに役立つこととなるからです。その挑戦こそ、我々が受けて立つことを望み、先延ばしすることを望まないものだからです。そして、これこそが、我々が勝ち取ろうと志すものであり、我々以外にとってもそうだからです。


「自分の中に眠っている可能性や能力、資質を目覚めさせること。それは喜びであり豊かさであり、そして成長である。そのためにチャンスは私たちのもとに巡ってくる。」
そんなことを思わせてくれる素敵な演説です。

当時は多くの人が大統領の演説に対し「そんな無茶な」と思ったそうですが、周囲の、あるいは自分の「そんな無茶な」を覆すのもなかなか面白いものですよ。


ナマステ&シャローム
Nozomi

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あきのさくら)
2012-03-07 09:10:22
いつもながら、
うんうん頷きながら読ませていただきました。

Nozomiちゃんの決断に乾杯!
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☆ あきのさくらさん ☆ (Nozomi)
2012-03-07 17:57:40
実に楽しい「自分アポロ計画」でした。9200kmの空の旅!(笑)
念願叶って姉さんを“巻き添え”にできたことも大成功の要因のひとつです。

そこに月がある限り、これからも私のアポロは飛んでいきますのでチャンスがあればまたぜひ便乗してください☆
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