ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

活字版ゴーマニズム宣言

2009-08-09 20:26:29 | ときのまにまに
小林よしのり氏の「活字版ゴーマニズム宣言」が初登場したとの宣伝文句にひかれて、早速読んだ。数年前に漫画本で彼の作品には触れていたが、どうしても漫画という絵と文字との組み合わせが読みづらく、彼の鋭い切り口を気にしながら離れていた。
書名は『世論という悪夢』(小学館101新書)で、彼自身が主筆を務めていた『わしズム』の2006年冬号から2009年冬号までの巻頭コラムに何点かの「書き下し」を加えたものである。率直に言って非常に面白い。特に沖縄問題やアイヌ問題については、こちらがよく知らないでマスコミが伝えるままに受けとっていたウイークポイントに鋭い分析をほどこし、マスコミの問題点を指摘しながら問題の本質をえぐりだしてくれる。賛成するか反対するかは読む側の自由であるが、少なくとも、こういう見方もあるのだということを知っておく必要もあるだろう。
わたし自身が特に注目した問題は「日本無罪論」(書き下ろし)というタイトルで取り上げられている東京裁判をめぐるパール弁護士の判決文で、今までも噂では知っていたが、あまり真剣に考えたこともないので、貴重な論争が展開されていたことを知り、非常に興味深い。日本の立場をとことん弁護し、日本無罪論を展開したパール判決を日本人ならばうれしく思い、感謝し、評価する者がいても良さそうなのに、なぜそういう主張が出てこなかったのか。むしろ、日本人全体が「あの戦争」に対して戦勝国の立場に立ってしまったことが不思議に思う。

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